はっぴーえんど?
そのまま僕が連れてこられたのは、大きな城の一室だった。
そのベットの上に僕は寝かせられて、そのままセフィルにキスをされる。
「んんっ」
小さく僕は呻いた。けれど、そのキスは唇が触れただけですぐに離される。
それが物足りなくて、僕はセフィルを見上げた。
そんな様子にセフィルも気づいて微笑み、
「どうして? 俺にもっとして欲しいのか?」
「うぐ……知らない」
そんなそっぽを向いてしまう僕に、セフィルは小さく微笑んで、
「会いたかったよ、透。透は、どうだった?」
「……会いたくて堪らなかった。セフィルは、もうこっちの事は大丈夫なの?」
「大丈夫というか、やる事は一杯あるが透達の世界にいけることが分ったので、兄さんと一緒に仕事を放り出して透達の世界に行く事にしたんだ」
「そうなんだ……そういえば兄さんの部屋でがたごと音が……は! 確か、ウェザーさん、当真兄さんを東の離宮に閉じ込めようとしているんじゃ……」
「何で透がそんな事を知っているんだ?」
「山田祐樹に聞いた! 助けに行かないと……」
そんな焦って起き上がろうとする僕を、セフィルはベットに押し倒して、
「……あの、当真さんにべた惚れな兄さんが、離宮に閉じ込めるなんて出来ると思うか?」
「……そうだね。……所でセフィル」
「何だ?」
「僕のこと、きちんと透って呼んでくれるようになったんだね」
「ああ、ベットの上だからな」
そういえば、名前を呼ぶのはベットの上と相場が決まっていると、セフィルは言っていた。
つまり……というわけで。
「お手柔らかにお願いします」
そう僕はセフィルに答えたのだった。
あの後、セフィルに散々されて切れた僕と、同じくウェザーに色々されてしまった切れた兄の当真が、“新・魔族”を作り上げたりする事もあった。
ちなみにそれはすぐさま解体させられて、僕はセフィルにたっぷりと体にお仕置きをされて、もう二度とやる気が起きないようにさせられた。
ほかにも、再びあのジョセフィーヌが暗躍し、色々とこじれたり、更に僕と当真がエロい目にあったりといつもの日常が帰ってくる。
そういえば、本物のドラゴンも接触してきたのだが、彼らのイケメンぷりは半端なく、それにとろーんとしていた僕がセフィルに気づかれて、色々と危険な目にあった。
セフィルは以前にもまして、僕を束縛したくてたまらないらしい。
それに嬉しさを感じてしまう僕も、自分自身どうなのだろうと考えてしまうけれど、今が幸せなので別にいい。
後他に分かったことといえば、この世界には猫がいて、セフィルが猫好きだという事だった。
そんなこんなで、この世界の日常は、過ぎていく。
冬休みが終わった後も時間を見てちょくちょく異世界に行って、セフィルとの一時を楽しむ。
こちらとあちらの時間が違うのは仕方がないけれど、それでも以前よりも近くで触れ合える今は幸せだった。
あと、本当にどうでも良い話だが、山田祐樹は今も彼女とラブラブらしい。
クリスマスプレゼントを喜んでくれた! と嬉しそうに僕に語るのだが、ここで、彼女自慢しやがって……と反撃すると、セフィルに僕の体をたっぷりと愛を教え込まれるので、学習した僕は今はただただ頷くのみである。
そして金曜日の夜。
そんなこんなで異世界の罠に囚われて、今日も僕はセフィルの待つ異世界へと行った訳だが……。
当真が切れていた。
良く見るとそこかしこに赤いキスマークがついているが、
「もう嫌だあの変態!」
そう嘆き、怒りに体を震わせる当真。
一度手に入ったら、ウェザーさん、容赦なく当真兄さんを愛しまくっているんだよなと、僕は実の兄を気の毒に思う。
そんな当真は僕の肩に手を置いて、真剣な表情で、
「もういい、このまま魔族全員連れて逃げてやる! というわけで透も来なさい!」
「何で!」
「心細いからです!」
「……いやまあ、ジョセフィーヌさんの暗躍もアレだから良いんだけれど」
「じゃあ行きましょう!」
逃げ出した当真と僕を追いかけて、セフィルとウェザーが走り出すのはいつもの事。
それに巻き込まれたなんやかんやで、結局もとの鞘に収まって。
僕達の異世界の楽しい日々は、まだ終わりそうにないようだった。
[END]
以前お月様の方で書いたBLを一人称にして、エロ抜きで書いてみました。いや~、文章を削れる削れる。今度から文章が長くなりそうだったら、お月様投稿してエロなしにするのも手かな、と考えてみたり。とりあえず、色々挑戦中。