パエリア
セレスティーヌの希望でパエリアを食べることにした魔王たちは、住民たちから一番おいしいと噂されているお店へと入り、パエリアを注文した。
「それにしても、パエリアを出してるお店がたくさんあるんだな。しかも、お店によって若干見た目が違うんだな」
魔王はパエリアのお店へ向かう道すがらに見た、様々なパエリア店を思い出しながら呟いた。
「パエリアは、この町にとってそれこそ発展を支えた宝物ですからねぇ。色んなパエリア店があるのも、仕方のないことなのです」
「それって……どういうことなんです?」
「さっきも少しお話したように、この町は今でこそ港町として栄えているけれど、515年前はちっぽけな漁村だったの。けれど、勇者様がやって来てパエリアのレシピを伝えて以来、パエリア目当てに多くの人が漁村を訪れ、そして魚も多く取れることから住むようになったの。そして、ある程度大きくなると漁村はディーナと名前を変えて、ますます発展を遂げていったわぁ」
「だからパエリアは、町を発展させた宝物ってわけか」
セレスティーヌの話を受け継いだ魔王に、セレスティーヌは肯定するようにゆっくりと頷いた。
「わたしは食べたことがないけど、パエリアの美味しさはよく噂で聞いたから楽しみだわぁ」
それに、とセレスティーヌの話に続いてシエラが勢いよく乗り出した。
「なんといっても、あの綿菓子を作った勇者様が伝えた料理ですからね!想像するだけでも涎が止まりません!」
二人の待ちきれないといった感情を読み取ったかのように、すぐに注文していたパエリアがテーブルに届けられた。




