ハリネズミの毛布 ~お日さまを編むおばあさんの贈り物~
ハリネズミの男の子がいました。
名前はトゲオちゃん。
まだ小さいハリネズミです。
トゲオちゃんは、とっても寒がりさんで、いつもトゲトゲにふくらんで、ブルブルとふるえています。
だから、夜眠る時はたいへん。
ママが、どんなに枯れ葉をかけてやっても、寒くて寒くて、なかなか眠れません。
枯れ葉のベッドにくるまり、ママにギュウっと抱っこしてもらって、ようやくうとうとします。
ママとくっついていると、ポカポカするんです。
ある日。
トゲオちゃんはお散歩をしていました。
お日さまが優しくふりそそぐ、良いお天気の日です。
すると。
森のひだまりの中に、ひとりのおばあさんがすわっていました。
小柄で、ちょっとふっくらした、なんだかかわいらしいおばあさんです。
白い髪をキュウっと結んで、小さな丸いめがねをかけています。
肩には、キラキラ光るショールをかけていました。
おばあさんは背中をまるめて、手に持った銀の棒をせっせと動かしています。
銀の棒が何かを引っかけるようにクイッ、クイッと動くたびに、キラッ、キラッと光がはじけます。
編み物をしているのでしょうか?
でも、おばあさんの周りには毛糸玉はありません。
それなのに、おばあさんのひざの上には、薄い金色の編み物がふっさりとかかっています。
「おばあちゃん、何してるの?」
トゲオちゃんが、おずおずと声をかけると、おばあさんは優しい声で答えました。
「編み物だよ」
「でも、毛糸がないみたい」
「ふふ。お日さまを編んでいるからね」
おばあさんが小さな丸いめがねでトゲオちゃんを見ました。
「おやおや、そんなにトゲトゲにふくらんで。怖くないよ。こっちへおいで」
「ううん、違うの。ボク、寒くてふくらんじゃうの」
「そうかい」
おばあさんは、銀の棒をクルクルっと動かして、見えないところをハサミでチョンと切りました。
「おチビさん、お名前は?」
「ボク、トゲオ」
「そう、トゲオちゃん。このショールをトゲオちゃんにプレゼントしましょうね」
「ほんと!?」
おばあさんが腰をかがめて、トゲオちゃんに薄い金色のショールをふんわりとかけてくれました。
とても軽くて、そして、ポカポカします。
まるで、ママに抱っこしてもらっている時みたい。
それに、お日さまのにおいがします。
「ポカポカだ!」
「ふふ。お日さまだからね。これで寒くないでしょう?」
「うん!おばあちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
おばあちゃんとさよならして、トゲオちゃんはおうちに走って帰りました。
「見て!ママ、毛布もらった!」
「あらまぁ、これ、どうしたの?」
「森で、おばあちゃんにもらったの。すごくあったかいんだよ!」
「じゃあ、明日お礼に木の実を持って行きましょうね」
ほんとうはショールなのですが、トゲオちゃんにとっては毛布なのです。
トゲオちゃんは、うれしくて、うれしくて、その薄い金色の毛布をかけて枯れ葉のベッドに横になりました。
ポカポカだぁ。眠くなっちゃう。眠くなっちゃう・・・
トゲオちゃんは、ポカポカの毛布にくるまって、朝までぐっすりと眠りました。
でも、朝起きてから、ママにもギュウっと抱っこしてもらいましたよ。
ポカポカで、ポカポカだぁ!
あまえんぼうのトゲオちゃんです。




