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ある朝、目を覚ますと、髪色が変わっていまして……? ~それぞれに相応しい未来が待っていました~  作者: 四季


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2/2

後編

 ◆



 新たな聖女の誕生と王子の結婚に民らが盛り上がっていたちょうどその頃、エンヴェリットはメアリーという女性と交際していた。


 ただ、二人の関係は純粋に想い合っているといったものではなく、綺麗な関係を築けてはいなかった。


 エンヴェリットはメアリーを愛し結婚しようと考えていた。

 だがメアリーはエンヴェリットを金づるとしてしか見ていなかった。


 そんなこともあり、二人は日々すれ違っている。


「メアリー! どうして待っていてくれなかったんだ! 俺が帰ってくるまで起きて待っててくれるんじゃなかったのかよ!」

「知らなーい」

「裏切ったのか!? この俺を! 俺を馬鹿にしてるのか!? なあ! 答えろよ! 早く、いいから、答えろよ! 俺を見下してるのか!?」

「何でもいいじゃない、べつに」

「良くない! ……俺たち、本当に愛し合っているんだよな?」

「まーねー」

「なら俺の言うことは全部聞けよ! っていうか、聞くべきだろ! それがメアリーのやるべきことだろ!」


 エンヴェリットはメアリーを思い通りにしたのだが、メアリーはなかなか言うことを聞かない女性で、それゆえたびたび喧嘩になってしまう。ただ、エンヴェリットはメアリーに惚れているので、切り落としてしまうというわけにもいかず。結果的に毎回エンヴェリットが折れている。それゆえエンヴェリットは損してばかりだ。気まぐれなメアリーの前ではあまり賢くないエンヴェリットなど無力。


「それよりさ、これ、買ってくれない?」

「何を言って……」

「買ってくれるなら、これから毎日夜遅くなっても待ってるわよ」

「本当に!?」

「ええ。だから、この、ジュエリーを買ってほしいの」

「ああそれ……って、ええ!? た、たた、高ッ!! ……や、でも、買ってやるよ。買う、買う、だから……だから、これからずっと毎晩待っててくれよ」

「もちろんよ! 買ってくれるならずーっと待ってるわ」

「よっしゃあああああ!! じゃあ買う! 今すぐ買うからなあああああ!! まずは金を集めてくるうううううう!!」


 それからもエンヴェリットはたびたびメアリーに頼まれ高級品を購入。しかしそんなことをしているうちにお金がなくなってしまった。だがそれでもメアリーはこれを買えあれを買えと言ってくる。エンヴェリットの経済状態は極めて悪いものとなっていて、しかしそれでもメアリーに嫌われることが怖くて拒否できないエンヴェリットは借金してまで買うようになっていき、やがて彼は破滅した。


 悪い集団からお金を借りてしまったエンヴェリットは、当初の予定通りきちんと返済することはできず、罰として命を取られてしまったのだった。


 メアリーはエンヴェリットが亡くなったことを知っても悲しまなかった。


 そんなメアリーにもやがて天罰が下る。

 というのも、次の金づるを見つけようと酒場に繰り出していて危険な男に手を出してしまったのだ。

 いつものやり方で上手くお金を引き出そうとしたメアリーだったが、逆にはめられほぼ強制的に詐欺に加担させられてしまい、その結果罪人として捕らえられた。犯罪者集団から捨て駒としか見られていなかった彼女は、捕らえられた後間もなく牢屋に送られ、そこで体調を崩して落命した。


 男は利用するだけの存在――そう考えていたメアリーは、気づけば逆に利用されていて、それにより一人寂しく死んでいくこととなってしまったのだった。


 メアリーの死を悲しむ者などどこにもいない。


 人を騙し、人を傷つけ、犯罪に片足突っ込みかけているような悪事に手を染め好き放題生きてきた彼女の周りには、心から愛してくれる人は残っていなかった。


 だがそれは彼女がその道を選んできたからだ。


 良い行いをしてきたなら幸せな道へ。

 悪しき行いをしてきたなら不幸せな道へ。


 ……すべてがそうではないけれど。


 ただ、相応しい結末というのは誰にでも与えられているものであり。

 良いものも、悪いものも、どちらも。

 その人の生き方がその人の未来を決める、それはある意味絶対的な理である。


 青い空は澄んでいる。

 どこまでも綺麗で。

 国を統べる者たちの清らかな心を映し出しているかのようだ。


 エンヴェリットとメアリー、小さな悪人が二人そっと消えたことには誰も気づいていない。



◆終わり◆

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