表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八重結び  作者: KEI
あとがき

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/86

あとがき 『八重結び』を終えて

ここまで『八重結び』をお読みいただき、ありがとうございました。


実は、この作品で最初に書いたのは第0話でした。

公開しているものは、後から設定に合わせてかなり調整していますが、最初に出てきたのは「八十年前の地下道で、防火扉を閉めた日」の話です。


ただ、その時点では、特に小説を書くつもりはありませんでした。


第0話を書いたあと、ふと考えました。


怨霊って、そもそも何なんだろう。


壁を抜ける。

でも、人の首を絞める。

実体があるのか、ないのか、よく分からない。


気体なのか。

固体なのか。

それとも、状態を変えられるのか。


そんなことを考えているうちに、かなり雑に言うと、


> 存在確率を調整できれば、それっぽいことができるのでは?


という発想に行き着きました。


量子力学のトンネル効果などを、かなりふわっとしたイメージとして借りています。

もちろん、厳密な物理として扱っているわけではありません。

あくまで創作上の発想です。


そこから、


* 偏向:空間上の存在確率に偏りを持たせる

* 固定:存在確率が高い状態をその場に固定する

* 希薄:存在確率を減らす、散らす、分解する

* 凝縮:存在確率を高め、集める

* 観測:存在確率を読む

* 同調:存在確率に自分を合わせる


といった術式の基本系統が出てきました。


ただ、一つ一つの系統だけだと、どうにも弱そうです。


では、組み合わせればいい。


これが「接続」の基本設定です。


接続する以上、上限もあるだろう。

人間が安全に扱える限界は、八個くらいではないか。

では、その倍くらいまで無理やり伸ばすと、禁呪になるのではないか。


そんな感じで、八接続、十六接続、禁呪という考え方が出てきました。


作中でも瀬良が言っていますが、


> 難しければ術者が減る。

> 術者が減れば事例が減る。

> 事例が減れば事故が起きやすくなる。


このあたりは、設定を作っている時にかなり自然に出てきた考え方です。


そして、十六接続を安全に分解したら、六十四接続くらいになりそうだなと思いました。


そこで主人公に、


> だったら八人でやればいいじゃん


と言わせたら、ちょっと爽快なのではないか。


ここで「八重結び」という言葉が出てきました。


ただ、それだけだと少しシンプルすぎました。


十六接続を八人で分けて終わり、では面白くない。

それなら、まず「安全化禁呪」という形に一段階置いて、そこからさらに危険を取り除いたものを「八重結び」にしよう。


そう考えたあたりから、設定作りが一気に地獄になりました。


まず、安定化。

これは対立系統で中和する。

つまり、術式には対立構造が必要になります。


次に、押し上げ。

作中でいう「枝」です。

これは、術者本人にもはっきり見えない、言語化しきれない暗黙知として置くと面白そうだと思いました。


さらに、それを分担させる。


最初は八人で済むつもりでした。

でも、考えれば考えるほど、


八人だけでは足りない。

隙間を見る人がいる。

外側から観測する人がいる。

署名を確認する人がいる。

責任を持つ人がいる。

術具を支える人がいる。


十六人、三十二人と増えていき、


> 八重結び、いったい何人参加してるんだよ。


という状態になりました。


そうして、だいたい今の作品の形になっています。


そして、ここで重要なことを忘れていることに気づきました。


キャラを、誰一人考えていない。


そうです。

この物語は、設定だけが先行しきってしまった作品です。


読んでくださった方の中には、「伏線をちゃんと拾っている」と思ってくださった方もいるかもしれません。


逆です。


答えを先に設定しています。

伏線っぽいものは、後から配置しています。


極端なことを言うと、この作品は、


> 0話 → 6.5話 → 7話 → 8話 → 8.5話 → 6話……


くらいの順番で作っていると言っても過言ではありません。

本当にそんな感じです。


最初の作品なので、一般的な小説がどのように作られているのかは、正直よく分かっていません。

たぶん、少し特殊な作り方をしているのかもしれません。


設定を作って、構造を決めて、成立条件を並べて、事故条件を洗い出して、そこから登場人物を配置する。


ある意味、職業病のようなところもあります。


職業は一応伏せておきます。

推測してみるのも、少し面白いかもしれません。


ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。


『八重結び』は、退魔士を「祓う人」ではなく、調査し、対処し、報告し、経過観察まで行う専門業者として描く話でした。


怪異を倒して終わりではなく、

名前を確認し、記録を残し、責任の線を引き、帰ってきたことを確かめる。


そういう地味な部分まで含めて、ひとつの作戦になる。


その面倒くささを、少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです。

作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yaemusubi_top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ