(十一)八重士たちの評価
◆ 十二 八重士たちの評価
透は、そこでようやく息を吐いた。
黒瀬が言う。
「よくやった」
透は、自分の手を見る。
「……俺、ちゃんと役に立ってました?」
篠宮が少し呆れた顔をする。
「そこを疑うんですか」
「いや、八重士の人たちがすごすぎて」
北辰院が、署名札を畳みながら言った。
「すごいだけでは、今日は足りなかった」
透は振り向く。
北辰院は続けた。
「我々は、それぞれの席を持った」
「だが、席と席の間は空く」
「そのうち一本を、お前が空けたままにしなかった」
雪代も言う。
「一度、固定側からこちらへ伝播しかけました」
「固定側で何かあったようですね」
「三枝さんの枝で、安定を取り戻したように感じました」
透は少し戸惑う。
「……そんな感じ、だったんですか」
雪代は頷いた。
「はい」
「隙間を太くして逃がしたのではなく、細くして戻した」
「あれは、こちら側から見ても分かりました」
風祭が、少し笑う。
「偏向としては、派手じゃない」
「だが、いい仕事だ」
「流すべきところだけ流した」
透は、返す言葉に少し詰まった。
風祭は、軽い声で続ける。
「同じ系統として、あれは褒められる」
透は頭を下げた。
「……ありがとうございます」
北辰院が言う。
「礼を言う」
「名前が残っている」
美緒が記録を閉じる。
「全員、帰還確認済みです」
白鳥が式守の画面を見る。
「八重結び、全段階完了」
土御門は、地下道の奥を見ていた。
「八重士だけでは届かんかった」
「術具だけでも、記録だけでも、式守だけでも届かん」
「それぞれが持てるものを持った」
「それで、ようやく結べた」
※第8話「八重結び」は全十二回です。
続きます。
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