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第2話 校内バトルに大きな理由は必要なのか?

今回は5000字くらいと、ちょい長めです。


時間がある時にでも、ゆっくり見て頂きたいです!

リンゴンリンゴン……


構内にチャイムが響き、いよいよこのクラス初のホームルームだ。


俺はあらかじめ用意していた自己紹介を心の中で何度も繰り返している。


チャイムが鳴り終わってから少しして先生が入ってきた。

整えられていない髪に無精ひげの生えた、見るからにやる気の無い男の先生だ。


「どうも、担任の赤羽だ。今日から君らの担任になる。能力はLV2物体浮遊だ、色々ものを浮かせられるぞ。よろしくな。(あーだる……)」


聞いてわかる通り、この学校は先生も能力者だ。

まあ、能力の育成も内容に含まれているから当たり前か。


ちなみに普通の人なら能力は1人1個持っている。

まぁ、俺はLV5全ての能力だから……ここからも、どれだけ意味の無い最強の力か分かってもらえるだろう。


「じゃあ、出席確認するぞー(うわ、30人もいるじゃねーかよ)」


そこからは出席確認と、自己紹介をした。


練習の甲斐あって良い感じにキマッたが、能力の説明のとき死の略奪者(デススティーラー)って言ったら、(え、何その能力……怖……)とか(LV5!?……でも使い所無いじゃないwww)とか、みんなからの心の声がアツかった。


しかしこんな俺も軽く超えてきた奴がいる。

夜坂、その人だ。


あいつはいきなり、


「よお、俺は夜坂裕也。クラスメイトって事で良いんだよな、まぁ俺の戦友はただ一人。俺の横にいる死の王だけだからな……」


まずここまでで思いっきり突っ込みたくなった。


正直こんなやつと俺が同属性なんて思われたくないからな。


しかし、こいつはまだ続けた。


「今日は気分が良い。特別に俺の一番の能力を見せてやろう!」


たしかに、こいつの番までに何人かは自分の能力を使いながら自己紹介している人もいた。


例えば、


LV2『生活支力(ノーマライズ)』無属性

前線通知(カムズトゥルー)

ありとあらゆる流行を予知できる。

これから流行るネタや桜がいつ咲くか予知するときに便利。(桜が満開になる日を教えてくれた)


LV1『微力(プアレ)』無属性

微調整(チェンジマイクロム)

微調整ができる。

椅子のガタガタを直すときに便利。(隣のやつのガタガタする椅子を直していた)


LV1『微力(プアレ)』光属性

蛍火(ミニライト)

蛍くらいの明かりを生み出せる。(やってくれてたみたいだけど正直分からなかった)


などだ。


…………


あれ?「底辺」とか「お払い箱」とかの評価って本当なのか!?


いやいや、そんな事はない。

自己紹介でわかったがこのクラスはいい人ばかりだ。

間違っているのはネットの評価だろう。


さて、夜坂はちょっと珍しい能力を2つ持つ能力者(ゼルク)なのだ。

その一つはなんとLV3草属性 魅惑の花園(ネメシスフラワ)だ。


戦闘で大活躍、骨折くらいなら一瞬で無かった事にできる優れた能力だ。


俺は当然こっちを紹介するんだと思っていた。


しかし……


「見よ!我が黒き混沌の炎を!!」


なんと、もう一つの方を出してきた。


LV1『微力(プアレ)』闇属性

漆黒の炎(ダークフレア)

黒い炎を両手から出せる。

生暖かい。

あまり明るくない。


うん。

無能。


「フハハハッ!これこそが我が力なり!!(よし!うまく言えた!)」


まぁ、こんな感じで俺のLV5なんかはコイツみたいなイタイ奴の紹介に劣ったわけだ。


ちなみに後で、


「なんで魅惑の花園じゃないんだよ」


って聞いたら、


「フッ、あれは仮の能力。真なる力は黒き炎にあり……(確かに強いけど、かっこ悪いじゃん)」


との事だ。


この学校……本当に大丈夫なんだろうか……


■■■


今日は自己紹介で学校は終わりだったので、今は夜坂と林道と3人で学食で昼を済ませて、それぞれの寮に帰る予定だ。

なんか学食って、青春な感じだよね。


するとその時、どこからか大声で叫んでる声が聞こえた。


「大ニュースだ!!氷冷女帝と迅速の赫がデュエルするらしいぞ!!第2アリーナだ、急げ!!」

「女帝と赫だって!?」

「キャー、女帝様よ!今すぐ行かなくちゃ!」


ん?

なんだか厨二くさい名前の奴らが対戦するみたいだな。

それにこの学校中の騒ぎよう……何か凄い人達なのだろうか。


この一件に真っ先に食らいついたのは夜坂だった。


「おぉ、決闘か……闇の力を持つものとして是非とも立ち会いたいものだな!(なんだろう?気になるから行きたいな!)」


かっこ良くも悪くもない微妙なポーズを取りながら言った。


「私も〜気になるかなぁ」


林道も乗り気な発言だ。

まあ、林道が気になって無い事はお見通しだが、俺はたしかに気になる。


「見に行ってみるか?」

「これも、一興ッ!」

「さんせー」




と言うわけで見に来ました。


この学校には1〜10までのアリーナがある。

簡単に言えば能力で形の変わるデカイ体育館だ。


その第2アリーナの観客席に今は居る。


目の前に広がるのは圧巻の光景だった。

平野のようなフィールドに、男女それぞれ1人ずつが、白熱の戦いを繰り広げているのだ。

周りは興奮で渦巻く生徒達でびっしり。


何故このような事が起きるのか。

ざっくり説明すると、迅速の赫と呼ばれているガタイの良い3年の男先輩が、氷冷の女帝と呼ばれるスラリとした2年の女子の先輩に"デュエル"を申し込んだらしい。


では"デュエル"とは何か、これも簡単に言うと、生徒同士のいざこざを戦闘の勝敗によってケリをつけると言うものだ。

いかにも能力の専門校らしい解決方法だと言えよう。

この二人の間に何が起きたかは知らないが、この2人の先輩はこの学校で1・2を争う戦闘力を持つらしい。

よってこの騒ぎようである。


現在の戦況は赫が有利と言った感じか。

名前の通り、赤色のどでかい円柱を出したかと思えば、それを女帝めがけてビュンビュン飛ばしまくっている。


対して女帝は守りの一手といった感じ。

猛スピードで飛んでくる円柱を、ギリギリで凍らせては止め、凍らせては砕きをして、しのいでいるように見える。


さて、ここで俺の能力が少しだけ意味を成す。


心が読める『生命理解(ライフハッカー)』これの能力を思い出して欲しい。


そう、相手の全てが理解出来るのだ。


よって相手の能力やさっくりと戦闘能力も分かる。


んじゃ見てみますか。


葉山岳人(はやまがくじん) 18 ♂

○能力

LV3『戦闘支力(パワライズ)弾丸作成(クリエバレット)

弾丸を作ることが出来る。

大きさ硬さは規定以内なら自由に変えられる。

LV3『戦闘支力』空気圧縮(エアバレル)

空気を自由に圧縮できる。

強力なエアガン並みの圧縮も可能。

二つ名:迅速の赫


なるほど、この2つの能力によって攻撃しているのか。


じゃあ、あちらさんもっと。


雪宵冷香(ゆきよいれいか) 16 ♀

○能力

LV3『戦闘支力』絶対零度(エターナリーレイ)

物を零度以下に出来る。

範囲はかなり広く、夏は体育館でも冷房があるかのように冷やせる。

二つ名:氷冷の女帝


ふむふむ、こうして見ると葉山先輩が圧倒的に有利な気がする。


雪宵先輩は小柄で身も細い。

制服の上でもスタイルが良いのがはっきりと分かる。が、正直戦闘向きとは思えない。


俺が2人の情報を集め終わったその時だった。


おっ?

戦況が動いたぞ、葉山が仕掛けた!


葉山はその巨体には似合わない俊敏な動きで距離を詰めた。


そのままの勢いで雪宵の周りにぐるっと一周弾丸を作る。

20はあるだろう弾丸は回転し始め、発射準備が整いつつあるようだった。


「フッ、勝負あったか……」


夜坂が偉そうに言った。


「すごいなぁ」


林道は……多分よく分かっていないだろう。


俺もこれは勝負アリだと思った。

雪宵先輩は完全に囲まれているし、逃げ場はないだろうからな。


その時!


ピキッ……

ビキビキッ!!


なんと、葉山の弾丸が全て割れた。

いや、爆発したようにも見えた。


「うわっ、なんだ!?」


葉山はかなり動揺しながら叫ぶ。


が、もう遅い。


ピキンッ!


氷の柱が葉山を捉える。


そして……


葉山の体が氷漬けになった。


「「「………」」」


正直、一瞬の出来事すぎて何が何だか分からなかった。

会場のシンとした雰囲気からも、誰もこの戦いに追いつけなかった事が見て取れよう。


その空気を察したように雪宵は解説を始めた。


「私の勝ちね。単純な話よ、葉山先輩の圧縮した空気を冷やした。気圧差が生まれて暴発……ってとこ。まあ、相手が悪かったようね」


それだけ言い残し、パチンと指を鳴らした。


すると葉山を覆っていた氷が砕け、膝からドサリと地面に手をついた。


「「「ウォォォォ!!」」」


やっとこの状況に理解が追いついた会場から、歓喜の嵐が巻き起こる。


これには夜坂も少し興奮気味だ。


林道は……今の説明で理解できてないっぽいな……。



何はともあれ面白いものが見えた。


「凄かったな、特に戦闘には頭も使わなきゃいないってとこが今回分かったことだな」

「フッ、なかなか良い所に気がついたな死の王!俺も大満足だ!(雪宵先輩!マジカッケー!!)」

「私見てたらお腹空いちゃった、学食いこー」


あ、そういえば昼ごはんまだだった。

今はもう2時をまわっている。


「じゃあ、遅めの昼食いに行きますか」

「賛成だ!」


■■■


俺たちは今、先の余韻に浸りながら遅めのランチタイムをとっている。


何と学食も、というかこの学校でかかるお金はほぼ国が負担してくれるため当然無料なのだ。


なので少しだけ高級そうな物を頼んでみた。

たしか、ラム肉と春の野菜のソテー・3種のソースを添えて だったと思う。


ちなみに夜坂はオムライス(大好物)、林道はよく分からない名前のどんぶりを頼んだ。


正直俺は今まで高級料理なんて食べたことが無かったため、美味しいか?と尋ねられると、比較対象がないため多分としか答えられ無いが、俺みたいな一般人の舌からしても、これはうまいと思った。


豚や牛には無いラム肉特有の旨味が、春野菜と相乗効果を発揮しまさに絶品だった。


昼食が終わった後は寮に戻るため林道は女子寮なので別の方向へ、夜坂は闇の力がどうたら言いながら何処かへ行ってしまった為、一人で寮に戻る事にした。


戻る事にした。


したんだけどね……


迷いました。


さっきからずっと教室が続いていて、一向に男子寮が見えてこない。


まあ、初日だしね、仕方ないよね。


そんな事を思いつつ歩いていると、どこから雪宵先輩の声と葉山先輩の声が聞こえてきた。


また何か勝負でもしているのかと思って声のする方向へ行くと……


2人が笑いながら話していたのだ。


「え?」


しまった。

あまりの衝撃さに声に出てしまった。


「ん?どうした、新入生か?」

「あら、あなたもスイーツに興味があるの?」

「あ、いえ……その……」


頭の処理が追いつかない。


「あぁ、なんでさっきまで戦ってた2人が笑いあってるのか不思議なんだな」

「新入生だもの、私たちの事を知らなくても無理はないわ」

「えっと……お2人はどういった関係で?」


すると、教室の中にいた2人が入り口まで来て説明してくれた。


「私たちはスイーツ研究会をやってるの。 で、さっきの勝負はコレをかけて戦ったのよ」


雪宵先輩は胸ポケットからチケットの様なものを2枚取り出しヒラヒラさせた。


「これは?」


率直に聞いてみる。


「これは来月の校内スイーツの予約チケットよ!!」

「こ、校内スイーツ?」


今度は葉山先輩が答えてくれた。


「晴嵐高校は月に一度限定スイーツの販売があるんだ。結構レアだから予約チケットを取らなくちゃまず買えん。しかしこれまた絶品揃いと来た!」


ガタイの良い18歳とは思えない、スイーツを愛する少女の様に続ける。


「なんでな、少しでも多く欲しいわけだ。だから俺たち2人は月1でデュエルしてチケットを掛け合う訳だな!」

「勝率は半々くらいだけど、今回はどうしても食べたいクレープだから、奥の手使っちゃったわよ」


そう言いながら、大切そうにチケットを眺めた。


「いやぁ、こりゃ一本取られたな!でも次は負けんぞ?」

「かかって来てください。でも私、スイーツの為なら本気ですよ?フフフ」

「そりゃ俺も本気で行かなきゃならねえな、ガハハハ!!」


2人の言っていることに違いは無いようだが、それって……


「つまりお2人は、スイーツのためにあれだけの戦闘をしたと言う事ですか?」

「おう!!」

「もちろん」


…………



やっぱ俺、この学校が心配でなりません。

お読みいただきありがとうございました!


次回から主人公の活躍も少しはあるかもです。

気が向いたら見に来て下さい!



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