05-09.エピローグ
ティアちゃんズの武力は圧倒的だった。
『騎士様』こと『クラウディア』は、数々の困難を乗り越えて鍛え抜かれた剣を振るった。
『ユーキちゃん』こと『ユースティキア』は、魔王の懐刀の名に恥じぬ八面六臂の活躍ぶりだ。
『モルモル』こと『モルレティア』は、金獅子や黒獅子にだって劣らない高い身体能力を見せつけた。
『ナノカちゃん』こと『ティアレア』は、たった一年で鍛え直したとは思えない程見事な魔術を放ってみせた。彼女に味方する数少ない忠臣たちも力を貸してくれた。
『トリス』こと『トリスティア』は、積年の恨みを晴らすべく、圧倒的な実力差を示してみせた。今回ばかりはストレス発散になったのではなかろうか。
そして『ティア』は、真の魔王と呼ばれるに相応しき力を解き放った。コントロールはまだまだだった。デスクワークばかりで功夫が足りていなかった。お陰で城が消し飛ぶところだった。トリスティアが舌打ちしながら防いでくれた。
ほんの数時間の内の出来事だった。
王妃と魔族が手を組み、ノリと勢いで城を落としてしまった。この国は増々混乱に包まれるだろう。周囲の国々もこれまで以上に本気で攻め込んで来る筈だ。魔族征伐という大義名分を得てしまったのだから。
けれど心配は要らない。私たちは決して負けはしない。
魔王国も盛り上がっている。新魔王様は人間の国のド真ん中に攻め込み、そこから世界征服を実行中だ。なんて勇敢で命知らずの魔王様なのだ。かつてない大(馬鹿)者だ。と。
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「アルバお姉ちゃんが!? 今度は勇者に!?」
どうしてそうなるのぉ~~~!?
「マズイのだわ。今の魔王国は無防備なのだわ」
ティアが最新情報を聞いて頭を抱えた。
「魔王国にアルバを止められる者は残っておりませんわ」
モルモルが冷静に分析する。
「我が行こう」
騎士様が抜けたことを言う。
「分を弁えて騎士様。騎士様がアルバお姉ちゃんに勝てるわけないでしょ」
「くっ」
『ナズナ。言い過ぎ。事実だけど』
トリスもひっどいんだぁ~。
「ユーキちゃん行ってくれる?」
「お任せを。我が主」
ユーキちゃんは自力飛行が可能なんだぜ♪ 実力も十分で取り回しの良いユニットだぜ♪
ただ、切り札みたいな存在でもあるから、極力手元に残しておきたかったところではあるけども。
ワイバーン隊の馬車はそんな速度出ないし。馬車本体の強化加工を急がないとだ。
「あなたたちの頭は結局誰なの? ややこしいわね」
ナノカちゃんが首を傾げた。
「ティアだよ♪」
「ナズナなのだわ♪」
「意見がすれ違っているじゃない」
おっかしいな~。私たちは一心同体だったんだけどな~。
『過去の話』
そうだね♪ 今の私の相棒はトリスだもんね♪
『良い気味』
もう少しティアに優しく出来ない?
『無理』
なんで?
『うるさい』
もう。都合が悪くなるとすぐそれだ。
「ティア。ジャンケンで決めよっか」
「おっけ~♪ なのだわ♪」
「いいわけないでしょ。ティア。あなたがトップよ。あなた向いてるもの」
「承知したのだわ♪」
「むぅ~。ティアってナノカちゃんに甘いよね。浮気か?」
「酷いのだわ♪ そんなわけないのだわ♪」
「ハーレム作ってる菜沙が言えたことじゃないでしょ」
「ダ~メ。ティアは私のだよ」
「どのティアよ?」
「全部♪ フルコンプしようぜ♪」
「ナズナ♪ 調子に乗りすぎなのだわ♪」
あかん。嫁がキレた。
「じょ、冗談だよ♪」
「それはよかったのだわ♪」
危ない危ない。ふ~。
「そうだ♪ あの領主様に同盟を申し込もうよ♪」
「寝返ってくれるのだわ?」
「筋肉褒めとけばどうとでもなるって♪」
きっと♪ たぶん♪
「雑すぎるのだわ。モルモルとナズナで行ってくるのだわ」
「よし♪ 任せとけ♪」
「流石に無理がありますわ。ユーキとナズナ様が同時にこの場を離れれば守りきれませんわ」
「そんなことないっしょ? なにせ真の魔王様だよ?」
「この国ごと吹き飛ばすおつもりですの?」
にゃるへそ。
「ト~リス♪」
『やだ』
「そこをなんとか♪」
『うっさい』
う~ん……困った。
「先にアルバを籠絡した方が早いのだわ」
それもそうね。そのためにはもう一度お姉ちゃんに思い出させないとね♪
「アルバがいれば領主を味方に付けられる可能性も上がるのだわ」
そうかな? そうかも?
「ぱっと行って帰ってくるのだわ。最悪全部吹き飛ばすのだわ」
「よし♪ 任された♪」
「待ちなさい!」
あはは♪ も~♪ 全然纏まんないな~♪
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永き戦乱の果て。魔王国はその領土を広げていった。
トリスティアの名前は祖国からも消えていたけど、その痕跡は深く深く刻み込まれていた。
かつてとある王国を追放された公爵令嬢。
名も消えてしまった彼女は、一人彷徨い、魔王国へと流れ着いた。
どんな運命の悪戯か、『真の魔王』と呼ばれることになった彼女は、人類に反旗を翻した。
これが人魔大戦のあらすじだ。
今現在、世界中の多くの人間や魔族の間に語り継がれているお話だ。真実と若干異なるのは御愛嬌。昔話とはそういうものだから。
世界は一時の平和を取り戻した。
世界を統一せし魔王は未だ健在だ。
いつから生きているのかもわからない。
それ程に長い年月が流れ去った。
今では人間と魔族が隣り合って暮らしている。憎しみあうことも……無いとまではいわないけれど、少なくとも種族間の争いは終わりを迎えた。遠い昔に。
「だからもういいかなって。そろそろ引退してさ。私たちの時間を過ごしてみるのはどうかな♪ また旅でもしてさ♪」
「もちろん付き合うのだわ♪」
「……やだ。ゴロゴロしてる」
「あはは♪ 二人はいつまでも変わらないね♪」
「「そういうあなたこそ」」
「ふふふ♪ それが取り柄だからね♪ 私はいつだって前向きなのさ♪」
こんな楽しい世界だもの♪
心の底から楽しまなきゃもったいないもんね♪
これにて完結です!
本作を最後まで見守ってくださり、ありがとうございました。皆様の日常のなかで、一時の楽しみとなれていましたら幸いです。
次回作のご案内です。引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。
【虚空少女の風騙り】
[N1790MI]
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