目覚めたら、女神様の胸の中 20
「め、めがみさまっていうことは………神様!?」
「えぇ、新咲の星と同じ神というくくりで意味合いは一緒になります」
「ぅえぇぇええええっ!!?」
心底驚いたと言うか、本当に驚いた。
今までの数々の出来事を思い出し、薄々何か人外な空気を感じるなとは思っていたが、まさかの神様だとは思わないだろう。
しかも異世界転生。
にわかに自分は今夢か何かを見ているのだろうかと頬や腕をつねってみたが、ただただ痛いだけだった。
「って事はコレは現実……」
キャパオーバー過ぎて頭がくらりとしてきたが、ここで今意識を失うわけにはいかない。
半ば無理矢理自身を納得させる形で現状をひとまず呑み込む事にして、私は当然ながら理由を聞いてみることにした。
「っその、不躾な質問になってしまうのですが、何で私だったのでしょうか?事故をきっかけにとは言っていましたが、こう言ってはなんですが同じ日に事故は他にも、それこそ世界中で起きています。素朴な疑問ながら私を選ぶ理由がまったく思い当たりません」
そうなのだ。
私は普通に過ごしてきて、それこそ平凡に学校に通って会社員を勤めていた。特筆すべき項目もないし、言ってしまえば多くいる人の中の一人だ。
何故私なのかと疑問で一杯になるのも無理からぬことだと思って欲しい。
そして、自己紹介中も今もずっと女神様の腕の中に囲われているので、そろそろ距離を取らせて貰いたいのだがこの腕はいつ解かれるのだろうかと伝えたい。先程からニコニコしている笑顔が眩しくて、ずっと気恥ずかしさで顔も見れない状態が続いているのだ。
顔面偏差値が高い人を直視するのは、心臓に悪い。
「あらあら、まぁ、大変失礼いたしました。私としたことが、貴方に触れてお話できることが嬉しくて嬉しくて。この時を待っていたからこそ喜びもひとしおと言ったところなのです。…ですが、新咲を困らせるわけにはいきませんね。名残惜しいですが、ここは一度納得頂いたということで適度な距離を保ちましょう。…少しの間ですが」
最後に何かボソッと呟いてその腕を解いてくれたが、まだ先の疑問には答えてくれていない。
居住まいを正す思いで、改めて女神様の答えを待った。
「では、新咲。現状を理解してくれたこと大変感謝いたします。さすが私の新咲です。その上で貴方の疑問に答えてゆきましょう」