初めまして、異世界 75
「ふぃー…やっとおちついた〜」
「すまん、余計な一言を付け加えたばかりに動揺させてしまった…」
「え、いやそんなこ…じゃなく、ううんっ!ぜんぜんきにしないで!!それに、さっきのことばはサイラスさんなりのおちゃめさをまぜてみただけのことなんでしょ!そのまえにいってたきらくに〜っていうことばをゆうげんじっこうしようとしてくれたんだもん、ありがとうサイラスさん!…ただ、ジョーダンかまじめなのかはんだんがつきかねるばあい、たまにいまみたいにむせたりすることもあるのだけどまったくきにしなくていいからね…」
「…………だいぶ真剣かつ真面目な本音を、打ち明けたつもりだったのだが………」
「ん?なーに、サイラスさん?」
「いやなんでもない」
ぼそりと深刻そうな表情で何やら呟いた本人に直接聞き取れなかったので聞き返せば、即座に問題無いと言わんばかりの返答を貰うとともに「これはこれでいい傾向でもあるから気にせずとも良いか…」と、謎の解析と納得をされたのでますます疑問符を浮かべていたところ、それまで静かに休む形で近くにくつろいでいた両隣のキラとハクロウから「ご主人は気にしなくて大丈夫だよ。…ちょっと馴れ馴れしいけど」とか「ご主人の緊張がほぐれるなら俺も、めいっぱい、我慢するぞ…!」と、ワケのわからない同意?と三者三様の「気にするな」という言葉を貰ったので一先ず気にしない方向性で行けばいいか…と無理やり納得はしたものの、一人と二匹が見せた以心伝心もしくは意志疎通のある様子に、いつの間にこんなに仲良く!?と若干疎外感を感じなくもない複雑な心境となりながら、男子はすぐに仲良くなって良いなぁ…とちょうど食べやすい温度になった食事を再開しながらひたすら羨ましいと嘆くのだった。
「……………ウップ、ご主人それ誤解」
「え?なにがゴカイ?」
「………別段俺たちは仲良しではないからな……?」
「ササ、サイラスさんまでなんでわかるの…っ!?」
「そりゃ、まぁ…」
「あんなに可愛いご主人の百面相だもの、僕らにはすーぐわかるよ!」
「ほんとに!!?」
「……俺はご主人の元気が無くなったことしかわからなかった……キュウン」
「あ〜、だ、だいじょうぶ!ハクロウもきにしてくれたんだよね、ありがとう!!イイコイイコさんだよ、えらいね〜!」
「ウ…ワンッ!!!」
「あ…そうだっ、イイコさんでおもいだしたのだけどさきにわたしのゴハンをたべちゃってるけど、キラやハクロウのごはんは?チキューにいたときいつもホメるときにおやつをあげてたから、いまになってにひきのたべものがないなっておもって。…もしかしなくてもいまおなかすいてるよね、いままできづかなくてごめんっ!!」
「ああ、そこは心配いらないよ。ご主人」
まん丸体勢からのっそり体を起こしたキラは何やら左前足についた土の欠片が気になったようで、ペロペロ手入れをしながら何でもない事のようにこの世界に来てからの自分とハクロウの体のつくりの変化について話し始めてくれた。
「どうも僕らはチキューの時と違って、この世界ではずーっと食べてなくても余裕で動ける体になったみたいなんだ。試しに食事が面倒になった時に食べたいと思うようになるまで食事をしなくても狩りは絶好調だったからね!仕留めた奴は全部ハクローにあげたよっ」
「えぇえええっ!?ちょ、へいきだったの!??」
「俺も毎日食べなくても動けるのは知ってたんだぞっ!けど、ゴハンを食べないとお腹がきゅるきゅる言うしそれに、キラが毎日何かくれたからなっ、俺も色々持っていったんだ!」
「………前の時はこいつジジイだったし、最後は寝てばっかりいるから何か口に入れてやらなきゃってずっと思ってて。今も思ってるからたまに渡してたんだ」
「っ…!!!ふぐぅっ!!……そっか、ハクロウはさきにいなくなっちゃったからね。キラがよくいろんなものをはこんでたのはそういうりゆうからだったんだ…」
「…………だって、体も冷たかったしあったかくしなきゃって……」
「ふぐぅううう…っ!!!キラ!!つらかったけどいまはみんないっしょだからねっ!!だからあまりムチャしちゃだめだよ…っ!」
「…ごめん、ご主人。チキューの時のことも合わせてだけど、所々ご主人がいないこともあって食事に興味が持てなくって…。仕方なくハクロウのとこに寄ってたんだよ、うん。…まぁ、ゴハンの事は僕らで狩りをすれば解決する問題だからいいとして、ご主人はリョーリっていうものをしないと食べられないんでしょ?それは僕らには出来ないことだから遠慮なく食べていいんだよっ!」
「そうだぞ!!」
二匹の強い勧めと同意によりこれ以上ゴハンに関して深掘り出来なくなってしまった私は、それならばと今世一緒に同じ物を食べることは可能かと問えば、二匹ともにこの世界の食事は口にしても平気だそうで人間が食べるものでも可能かどうか、また一つ女神様に確認してみたい事が増えたことへジレンマをじりじりと抱いていくのだった。




