77.化かし合い
「生まれつき、ねぇ。」
納得がいかないような含みのある声でセージは言うが、ある意味体質なのは変わりがない。
「そんで、あんたは何でそれを隠したいん?自分がそれを素直に聞くと思ったん?」
穏やかな笑みと言えば聞こえがいいが、何を考えているか分からない表情だった。
いま対峙している彼は私がイメージしていたセージ像にとても近い。
「(つまり言葉通りの答えが聞きたいわけではないのか。)」
セージは単純に疑問を持って聞いているわけではなく、私に利用価値があるか、危険かを判断しようとしている。
その事実に少しだけ私は嬉しくなった。
もしあのまま、自暴自棄で考えなしの行動のままセージが突き進んだとしたらこの学園はとんでもないことになったかもしれないし、この作品の一ファンとして世良錆二というキャラクターにひどく落胆したままだっただろう。
目の前にいる彼はどれくらいかは分からないが、冷静さを取り戻し現状を把握しようと努めている。
「しいて言えば召喚獣たちが何でもかんでもできると思われても困りますし、呼び出すたびに報告するのも面倒。中には人間嫌いの子もいますから単純に危険ですしね。」
と私は半分本音で話す。
「今日までセージ君の能力を黙っていましたし、協力していただけると思っていたんですが、まぁ確かにこれから先、皆さんに知れ渡ると言うことになったら確かにあまり魅力的な等価交換ではありませんね。」
再び下手に出て私の願いを聞く必要はないとその申し出を下げようと言葉にする。
セージへの頼みには大した価値はない。これによって私を縛り付けることはないのだと知らしめておく。
「ほぉ、そんであんたは自分の能力を先生方に暴露すると?」
そうされたくなければ私の為に力を使えとまるで私が脅しているようにセージは受け取ったようだ。
目を細めて口角を上げているものの、瞳の奥はまるで笑ってはいなかった。
「まさか。別にそこまで無理して力を使ってもらわなくてもかまわないと言うだけです。セージ君の能力に関してもわざわざ触れ回るなんて私にメリットがありません。むしろ面倒ごとが増えそうで遠慮したいです。」
そう言って笑えばセージ君は表情を取り繕うのをやめ、天を仰ぎ首を骨をならした。
「わっからんわぁ。何が目的なん?」
どうやら腹の探り合い早めたようで、今度の質問は言葉通りのもののようだ。
それを残念に思っている私がいた。
「(もう諦めちゃうのか。)」
たった数年前のことだが、私は自分が13歳のころを思い出せない。
別段変わった子ではなかったと思うが、こんなに早く自分の望む者を手放すような冷めた子供ではなかったはずだ。
「(子供らしくもっと貪欲に…でもそれだと私の望むセージではなくなるのか。)」
果たして早々に色々と諦めてしまったセージが私の望む彼なのかは分からないが、諦めが早いなと単純に思った。
「目的、というものは特にないですけど。うーん。しいて言えば面倒に巻き込まれなければそれでいいな、と。」
これも本音。
その面倒が命がかかることならばなおのこと。
「何を考えているのかは分かりませんが、セージ君の行動は何か目的があるのかなと思いまして。その上で同学年である私が巻き込まれなければそれで。…私も少々立場が特殊でして出来る限り目立たず過ごしたいんですよ。」
そう笑いかければ顔を顰められた。




