81.追いつく情報
「盗まれた名簿が世良の実家から見つかった。」
そう三井先生は私たちに報告しに来た。
キヨがセージと話してくる、そう意気込んだ日。
勉強会の名目で使っている教室に先生はやって来た。
「盗まれた名簿が世良の実家から見つかった。」
そう聞いたとき家宅捜索的なことは魔法界ではどう扱われているのか、なぜ私たちに報告するなど色々思ったが、それ以上になぜ名簿を破棄していなかったのかというセージの杜撰な管理に私は少しばかり苛立った。
敵役なら敵役らしくもっと上手く立ち回りなさい。
そうされて困るのは自分なのにそんな気持ちがあった。
「なぜそれを僕たちに。」
代表して聞く形でレオが言った。
三井先生は少しだけ何も言わず、それから何かを決意したように口を開く。
「つまりこれで結城の見た夢は限りなく予知夢と言うことが立証された。」
「それだけで?」と誰も口にしなかったのはそれよりも早く、先生が話し続けたからだ。
「世良の周辺を調べてたところ、関係者の多く、それから不特定多数の人間の記憶と魔力が奴によって奪われていた。」
この言葉を聞いて私は少し驚いた。
流石にそれは行きつかないだろうなと思っていたからだ。
もちろん両親や幼馴染に関してはセージを調べようと思えば発見されるかもしれないが、何の関係もない不特定多数の魔法使いから奪った魔力。
これに関しては知りようがない、それこそセージの日々の行動を防犯カメラの映像で追いそこで誰かが倒れたという事実に行きつき、さらにその人物から他者の魔力を調べるなんてある意味警察じみた地道な行動が必要になる。
「(それともそんな魔法があるのかしら?サイコメトリー的な?)」
そうでもなければ、先生もしくはそれよりも上の人たちか何かがわざわざ防犯カメラの映像を見せてもらいに行ったと言うことになる。
「(いや、魔法界なわけだしもっと簡単なやり方があるのかも。)」
一人全然関係ないことを考えている中、レオたちはセージが多くの人の記憶と魔力を奪ったという事実を聞かされ呆然としていた。
「(こんな中、どんな方法で情報を集めたんですか?なんて聞くのはまずいかしら?)」
気にはなるが空気は読むべきだろうと口は開かず、おそらくはキヨの望んだ無罪のうちに相手を思いとどまらせるという結末は難しくなった。
「それは、どんな罪になるんでしょうか?」
そう聞いたのは、セージの起こした行動がどれほどの時間拘束出来る力を持っているのかと言う質問だった。
キヨには悪いが私は事件さえ起きなければこの際、セージの罪科何てどうだってよかった。
一人の処罰の行方よりも多くの人の命の方が優先。
とりわけ自分命は最優先だ。
「…魔法界には法を犯したものを収監する組織はない。」
唐突に知らされた魔法界の新事実に私は驚き、言葉がなかった。
それって、無法地帯ってこと?
キヨが罪に問われなかったのもそのせい?
でもそれだったら結実が捕まったら死刑と言うのはどこから来たの?
私は信じられない事実にひたすらに混乱した。




