36 テスト結果
36話目でやっとこ、十万文字達成です。
ありがとうございます!!
ここまで書けたのも皆様のおかげです!!
ありがとうございます!!
テストから二日が過ぎた週末の金曜日。今までにないほど努力を重ねて頑張ったテストの答案用紙が今日いよいよ返される。
○
一限目 数学
「では、テストを返却するぞー」
見た目ヤクザの数学の先生が名簿順にテストを返していく。
俺も取りに行く、見た目が怖いから、すぐ受け取って席に戻ってきた。
さて、いよいよ、数学の点数を見る。
…………94点。
裏にしてあった答案用紙をめくると出てきたのは、94という数字。
よかった……苦手教科だったが、なんとか90点以上、ノルマは達成できた。
隣の夏帆を見ると、夏帆が机の下で小さくグッジョブしながら、テストをこちらの方に少しずらしてきた。
………86点
前回は、69点だったから驚くべき成長だ。俺も机の下で小さくグッジョブした。
一限の数学はまあまあな出来だった。
二限目 国語
優しそうなおばさん先生、それが国語の先生だ。
先生は優しく、答案用紙を生徒に返却していく。俺も優しく受け取った。
また同じように、めくろうとしたら、
「よっしゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁぁあ!!!74てぇぇぇんんんん!!」
棚山がそう叫びめちゃめちゃ喜んでいる。
確かに凄い!頑張ったな、平均40点。嫌いだけど素直に祝福する。
さて、棚山に祝福のエンジェルメッセージ(祝福はするが伝えるとは言ってない)を送って少し脱線してしまったが、俺も回答用紙をめくる。
…………92点。
やばい……これは予想外であった。
見直し時点では満点だと思っていたのに、これはイタすぎる。
隣の夏帆を見てみると、
………96点
うそだろ……。負けた。
夏帆は俺の答案用紙をみて、さっきよりも大きく喜んでいる。
なぜかいつの間にか張り合っている状況になりつつあるのだが、これ、俺負けたりしないよな?
不安を残しながら、二時間目は終わった。
三限目 英語
三限の英語の先生は、体育会系の先生である。丸刈りの四十代。てっきり保健体育とかの先生かと思ったら
いきなり
「Stand up please!!!Hello everyone!!」とか、唐突にEnglish始めるから最初の授業は思わず吹いてしまった。
「ギャップ萌え」ならぬ「ギャップ吹き」
あの時は流石に失礼なことしたなと思って今は下を向くだけにしている。
決して笑いを堪えているわけではない。
その先生が体育会系の先生みたいに大きな声で生徒に回答用紙を返していく。
俺は、
「 Koya Hatagawa」
と発音良く呼ばれたので、少し俯きながら回答用紙を取りに行った。
人はギャップに弱いと言うがこれは本当だとつぐつぐ思う。
回答用紙をめくると、
………………98点
よし!最高だ!
満足する点数で嬉しかった。どうやら俺のギャップティーチャーは英語を教えるのが上手いらしい。
ここで隣の夏帆を見る。
………85点
俺が笑顔で夏帆の方を向いてしまうと、コメディーの神様が久々登場して、速攻でフラグを奪ってしまう気がしたから、俺は緊張して彼女の答案用紙をみた。
勝ったが、俺の答案用紙を見た、夏帆がものすごく悔しそうにしている。
あれ?俺たちって、勝負してたか?
そんな疑問が浮かんでくる。あの子、俺のことバケモノとか言ってたけど、もしかしたら貴女もバケモノの仲間入りすることに気付いているだろうか。
彼女の自頭が恐ろしいことに俺は気付いた。
これ、もしかしたら簡単に越されてしまうかもしれない。そんな恐怖さえも抱いた。
四限目 社会
久々の登場、社会の先生だ。
今は梅雨時なので、もう薄着だ。すごい汗をかいていて教卓の上にタオル常備、首にもタオルを巻いて、社会の教師か農家のおじさんか見分けがつかなくなっていた。
もうここで、如雨露やくわ持ってたら完全に農家になっていた。
でも今手に持っているのは、チョーク。なので教師の方である。
その先生が暑そうに扇風機の下に留まりそこからテストの答案用紙を返却する。
どうやらこの時期に扇風機の風は先生にとっての生命線。砂漠でいうところオアシス。
乾いた大地に流れる恵みの雨を喜ぶかのように風に当たった先生はそれはそれはいい笑顔を見せた。
それになぜか和んでしまう、クラスメイト。無論俺も同じだ。先生のためなら多少遠くともそこまで取りに行こう、そんな衝動に駆られたのだ。
回答用紙を渡され、自分の席に戻り、回答用紙をめくった。
…………100点
その点数を見たとき、俺は言葉を失った。100点なんてそれこそ冬のあの一位を取ったとき以来だった。
しかし、俺の目標は学年トップになること、今すぐに喜びたい気持ちを我慢して、隣に目をやった。
…………80点
彼女はやっぱりすごかった。
一体どれほどの勉強をしたのだろうか、これまで80点以下がない凄い好成績だった。
そして、夏帆が俺の点数をみると、一瞬「え!?」と声を出した。
俺が思わず、そっちに向いてしまうと、彼女はすぐに反対の方を向いた。しかし、机の下で、小さく拍手していたのはきちんと見えていた。
五限目 理科
本来なら、五限は昼休みの後なのだが、今日は午前中が短縮授業なので、五限も午前中にある。
午前授業を短縮にする理由は、昼休みに学年順位が張り出されるからである。
だから、五限も午前中にある。
半袖白衣を着た理科の先生が来た。白衣の意味を成してない気がするのだが、理科の先生いわく、これが今科学界で大流行しているサイエンスファッションらしいのでそっとしておく。
ちなみにヨウ素液のシミがトレードマークらしい。
半袖先生も同じように回答用紙を順に返していく。
俺は同じように自分の席に戻り、回答用紙をめくる。
………………98点
満足する点数だった。化学の部分が少し不安だったがどうやら合っていたらしい。
とにかく、良かった。
そして、最後の教科になった隣確認。俺はいつもと同じようにちらっと目線だけ、隣を向けた。
…………82点
彼女は快挙を成し遂げた。順位は絶対に確実に上がっているだろう。全教科80以上なので400点は確定しているのだから。
そして、最後、彼女はこちらの方を一瞬だけ向いて、口パクで、「あ り が と う」と言った。そして、すぐに反対の方を向く。
夏帆は俺にお礼を言っていたが、今回の結果は彼女が努力した証である。
全教科返され、夢葉たちが、夏帆の周りにやってきて点数を見て驚いている。
どうやったの!?すごくね!?など、褒められて嬉しそうにする彼女の笑顔は、最高に輝いていた。
○
昼休み
いよいよ、学年順位が張り出させる。五限目の終了のチャイムと同時に弁当を取り出し、すぐさま中身を食べ始めた。いうまでもないが中身は質素である。
チャイム終了と同時に弁当を食い始めたので、クラスメイトからはかなり変な目で見られたが……慣れている。傷付かない。
五分ほどで、弁当を全て平らげ、学年順位が張り出される場所まで、急いで移動した。
そこには、もう既にかなりの人がいた。
先生が大きな紙を持って掲示しようとしているいよいよだ。
掲示されると、女子のキャーキャ叫ぶ声や、よっしゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁぁあ!!!と雄叫びをあげる男子がいた。(ちなみに掲示されるのは50位まで)
俺も近づいて、その掲示物をみた。前回の五位から見ていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5位 田辺海音 465点
4位 三河ミクル 469点
3位 左近寺晃大 476点
2位 金森愛華 480点
1位 幡川洸夜 482点
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その一位の場所を見たとき、息が止まりそうになった。まさか、本当に自分があの一位を奪還できるときが来るなんて。
感慨深いものがある。
念願が叶いすごく嬉しかった。
俺はすぐさま教室に戻って、紙とペンを取り出した。
そして、紙に「ありがとう、夏帆のおかげだ」と書いて彼女の机の中に入れた。
彼女が俺を煽ってくれなければ、プレッシャーをかけてくれなければ俺はダメだったかもしれない。
だから感謝する。より明確で逃げられない目標を立ててくれて。
感謝の意味を込めて、紙を机の中に入れた。
それと、俺は決心した。
彼女のあの返事を。
また今日からこの章が終わるまで、1日1話投稿を頑張ってみます。
皆様、ブックマーク、評価、是非よろしくお願いします!




