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34 テスト勉強 ②

すみません。遅れました。



「ね、ここどうやんの?」


「ああ、それはだな――」


あの話の後、俺たちは気を取り直して勉強に励んでいた。話が完全に脱線してしまって、少し時間をロスした。


その分、ハイペースで課題を終わらせていく。そして時々、夏帆が問題を尋ねてくるので、その都度教えての繰り返しだ。


しばらくやったので、休憩の時間を設けることにした。

夏帆は、「なんか持ってくる。」と言って再び部屋を退出した。その間に俺は、また課題を開き取り組む。


今回の俺は本気も本気だ。俺より上の上位者を完膚なきまで叩き潰す。それが俺の目標である。

もうテストでは、しばらく一位を取れていない。取れたのは去年の冬だ。もう六月。そろそろ取らなければ推薦にも関わってくる。


毎回100点三昧の会長はもう既に大学の内定を貰っていた。幾ら何でも早すぎるが、会長だ。

もうなにも考えない。というか考えたくない。


大学は推薦がある方が有利だ。

より良い条件で大学入学を果たしたい俺にとってはテストの点数は絶対である。

だから睡眠もいつもより少し削っている。このテスト期間はバイトを週5から週2まで削り、もう勉強している。

1日の勉強時間ざっと、六時間。

もしかしたらもう少しやっている可能性大だ。それくらい俺は本気だった。


必死になってシャーペンを走らせていると、夏帆が何かを持ってきて、戻ってきた。


「コーラとポテチがあったからこれおやつにしよ?」


「なんだ、そのコンビ………」


「最高でしょ?」


「そうだな……」


あまり、コーラは飲まないしポテチも食べていないが、小学校低学年の頃は、コーラとポテチをよく持ち歩いていた。あれは確かにマイベストフード。そして、奇跡的相性。

あれを考え付いた人は天才だと低学年の頃思って崇拝していたほどだ。その味は今でも鮮明に覚えている。


疲れ切った頭にコーラのブドウ糖補給。これは最高のオヤツである。


ポテチ片方にオヤツタイムが始まった。


バリッと、ポテチののり塩味を食べる。

俺は昔からのり塩派だ。ポテチの味は大きく分けて三種類ある。うす塩、コンソメ、のり塩。それ以外は食べたことがない。


俺は三種食べ比べしたが、どうものり塩が一番合っていた。それ以来、のり塩教を布教している。


一方で夏帆はコンソメ味。バリバリと大量に口に運んでいる。女子としての品はどこへ?


そんなに食べて大丈夫か?というほどあっという間に平らげてしまった。俺がまじまじと見つめていると、


「ちょ!そんな見ないで……」


「いや、素晴らしい食いっぷりだと思って……」


「私、女子ですっ!!」


「知ってるけど……」


「わかってても言わないで!!私も分かってるの!でも、ポテチには目がないの!!普通に傷付く!!」


どうやら知っていたらしい。一袋2分で平らげてしまうからなんかの吸引機かと思った………とは、言わない。


改めて言うが、火に油は注がない主義だ。


俺は、マイペースにのり塩とコーラを………オヤツを楽しんだ。


夏帆はまたコンソメの袋を………


「マジか………」


俺がそう言うと、


「た、たまたまお腹空いてただけ。も、もうお腹いっぱいだし……」


と言って、コンソメを置いた。


「のり塩いるか?」


「うん、もらう」


これがいわゆる別腹ってやつなのだろうか?コンソメ主食。のり塩スイーツ。

いっぱい食べる。そういえば、前の喫茶店とかでも特大のパフェとか頼んでたな。誕生会もやたらスイーツばかり食ってたし……

THEオヤーツモンスター。そう命名しよう。


彼女がオヤツに目がないことに若干驚きながら、コーラを飲んでいると、夏帆が俺の課題を見て、


「すごい量やってるね……」


とボソッと呟いた。


「まあな。俺はこんぐらいやんないと不安で寝れなくなる」


「やんなくても、十分順位いいんでしょ?」


「前回は、5位だった。やるごとにだんだん下がっている」


「いや、私からしたら羨ましい限りだけど………私なんて32位だし……」


「意外と頭いいんだな」


俺がそう言うと、彼女は頰を膨らませ、


「嬉しいけど意外がよけいっ!!」


しまった……口が滑った。

ダメだ。最近偶に、思ってる事がそのまま口に出てしまう事がある。気をつけなければ………


俺がそんなことを自分に言い聞かせていると、


「そうだ!!いいこと思いついた!!」


彼女が唐突に声を上げた。


「なんだ?そのいいことって………」


俺がそう尋ねると彼女はニコッと笑い、


「テストの点数を上げるためには、目標が大事だよね?」


「ああ、そうだな。その方がいい点数が取れる。」


「じゃあ、私は学年15位以内に入る……」


「お、おう、頑張れ……」


「だから、入れたらなにか一つ何でも言うこと聞いて?」


「は?」


予想外の言葉に俺はそのまま反応した。


「だから、その点数が取れれば何かしてもらえるって思えたらなんかやる気でない?」


「いや、そんなことは……」


「私はやる気が出る。だから、私が15位になったら私のお願い何でもきいて。」


「高い物は……」


「買わなくていい。物は買わせない」


そこまで言われてしまうと俺も断る理由がない。それで彼女がいい点数が取れるなら、お安い御用だ。

俺は了承した。


「その代わり、洸夜が学年1位とったら私も何でもお願いきくよ?」


「俺だけハードル高くね?」


「私は洸夜なら出来ると思ってる。これは一種の勝負だよ。お互い頑張ろ。」


少し無理矢理だが、俺にはそのくらいの無理難題の方がやり甲斐がある。

頑張ろう。俺はこのテスト期間、全てを勉強に注ぐことにした。


それと、彼女の返事もこのテスト期間のうちにある程度答えを出そうとそう決意した。

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