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【じんぶつしょうかい】

・勇者…異世界人。異性である魔人が気になる。

・魔人…護衛兼案内人。被害が見受けられない村の様子が気になる。

・使い魔…狼もどき。村は勿論だが、鈍感な主人の今後が気になる。


・村長…村が困窮しているのを、何故か全面に押し出す。

・村人A…痴漢男。

・村人B…窃盗犯。

・村人C…巨乳が好き。

【探偵(笑)の調査】


魔人「こういう風に、妙なことを頼まれたりするから目立つ格好は控えた方がいいよ」

勇者「別にいいだろ、勇者なんだから」

魔人「…キミ、目的忘れてないか?」


村長「ささやかですが、召し上がって下さい。えぇ、何せ食べるのも困っていますからこれしかないのです」

勇者「いや、気にしないでくれよ!(コソコソ)なぁ、これって食べ物か?なんか、どろっとしててキモいんだけど」

魔人「粟や稗と、細かな野菜を煮たものだよ。煮過ぎな気がするけど(スプーンで焦げを掬いながら)」

勇者「宴ってもっとこう、豪華なものが出るんじゃないのか?酒とか」

魔人「お酒は大人になってから。さっきも村長がいってたけど、食料がないんじゃないか?イヤなら、食べなきゃいい」

勇者「そっか、どっかで何か買えばいいよな。食べないどこ」

魔人(だから、買う食料がないんだって)


魔人「そうだ(村人を呼び止め)。山に入ってドラゴンと戦った狩人たちって、どこにいる?話しを聞きたいんだけど」

村人A「えっ…(目を泳がせ)まっ、まだ怪我が癒えずに休んでいます」

勇者「うわっ、可哀想に。大変だな」

魔人「ふ~ん。じゃあ、お見舞いがてら聞きに行こうかな。それぞれの家、教えてくれない?」

村人A「えぇと…(キョドキョド)も、もう疲れて休んでしまいました!」

魔人「あっそ。狩人が何人いるんだか知らないけど、みんな休んでるんだ」

村人A「うっ…」

勇者「止めろよ!怪我人は休んで傷を癒やすのが仕事だろうっ!」

魔人「真実ならね(ボソッ)ところで(別の村人を呼び止め)。若い娘さんたちは今、どうしてるの?見掛けないけど」

村人B「あっ…(目を逸らしながら)怯えて家に引き籠もっています」

魔人「まあ、そうだよね。じゃあ、若い男は?見掛けないけど」

村人B「……えっ、あっ。む、娘たちの護衛をしています!」

魔人「そう、若い男女を一緒にしてて大丈夫?」

勇者「おいっ!若い男のこと聞いてどうすんだよ!まっ、まさか誘惑する気じゃ…」

魔人「する意味がない」


村長「ハハハッ、勇者様はなかなか嫉妬深いようですな!」

魔人「待て、関係ないから。ただの案内人と勇者だから」

村長「これは失礼!若いお二人のことに、そう口を出したらいけませんな!」

勇者「アハハッ(余裕綽々な顔をしつつ)彼女は照れ屋ですから」

魔人「おい、人の話しを聞け(キレ気味)」




【あら、こんなところに埃が(冷笑)】


魔人「…えらい目に遭った」

勇者「そうだなー。なんかやたらとドロドロしたお粥?みたいのを勧められたな。断るのに苦労した!」

魔人「ボクがいってるのと、意味が違うけど…あれは食べなくて正解だよ」

勇者「えっ、そんなに不味いのか?」


村長「仲がよろしいようで!さあさあ、お疲れのようですから宿泊場所にご案内しましょう」

勇者「(ビクッ)ありがとうございます!(小声で)さっきの、聞こえてなかった…よな(ボソボソ)」

魔人「意外に小心者だな、キミ」


村長「さあさあ、今夜はここにお泊まり下さい」

勇者「…へっ?ここ、一軒家だよな?」

村長「えぇ、ここに住んでいる者は集会場で休むのでお気になさらず!村の中心からも遠いですので、安心してお二人でお楽しみ下さい(意味あり気な笑み)」

魔人「何を楽しめっていうんだ。そもそも、二人きりにするーー」

村長「勇者様方、お休み下さいませ!」

村人「「「「「おやすみ下さいませ!」」」」」

魔人「(グイグイ押されるのに抵抗中)話しを…って、さっきと同じだこれっ!?うわあぁぁ~っ!?(競り負けて家に押し込まれる)」

村長「では、失礼します」


パタンッ


勇者「(目の前でドアを閉められ唖然)ほ、本当にいいのか、ここに泊まって。あっ、布団がある」

魔人「(同じく唖然としつつ)いいんじゃないか?…それに、人が最近まで住んでた形跡がないし」

勇者「へっ?でも、布団はあるだろ?…他は家具くらいで、物はないけど」

魔人「それが、生活感がない状態っていうんだよ。布団だってほら、何となく湿気ってる」

勇者「オレの部屋の布団もそうだけど…」

魔人「偶には太陽光に当てな?フカフカになって、寝心地がいいよ。…ほら、見えるところは掃いてあってキレイだけど、端や棚に埃が溜まってる。(棚をなぞった指先に付着した埃を見せる)慌てて掃除でもしたんじゃないかな」

勇者「オカン?それとも姑?」

魔人「違う」




【やっと二人きりだね(テレテレ)】


魔人「…屋根と寝床があるだけマシか。(ベッドの布団を端に寄せつつ)抵抗があると思うけど、靴は脱がない方がいい。剣はベルトから外しても、手の届くところに置いとくか、抱いといて」

勇者「抱くなら、柔らかいものがいい」

魔人「はい(枕を手渡す)」

勇者「違くて!(でも受け取る)」


勇者「あのさ…(意味なく枕を揉みながら)やっと二人きりになれたなっ」

使魔「やれやれ、やっと終わりましたよ」

勇者「うわっ!?(驚く余り枕を上に飛ばす)」

魔人「おかえり!それと、お疲れさま~」

使魔「ただいま戻りました」

勇者「いっ、いつの間にって、痛っ!?(枕、頭に直撃)」

使魔「勇者殿は、どうかされたのですか?」

魔人「さぁ?」


魔人「やっと三人になれたな。これなら安心だ」

勇者「なんか、オレがいったのと意味が違う」

魔人「…なんだ?」

勇者「いや、いいよ。もう」




【探偵(笑)の考察】


魔人「どうだった?」

使魔「マスターの予想通り、家から出られない程の重傷者どころか、後遺症が残っているような方はいませんでした」

魔人「ドラゴンと戦って、命からがらって感じのニンゲンは一人もいないのか?」

使魔「命のやりとりをしていながら、村人全員誰一人も怪我をしていないのは不自然ですね。“ドラゴン”と呼ばれる程の│瘴獣ミアズマがいるのであれば、無事でいる方が難しく、こんないい方は何ですが、田舎の村が持てる装備では戦うのは無謀です」

魔人「ふぅん。で、もう一つの方はどうだった?」

使魔「そちらも、予想通りです。男女共、十代半ばから三十代前までのニンゲンは悉くいません。多くは、年老いた住民ですね。この家同様に、住み手がいないものが多いです。荒れた畑も多く、食べるのがギリギリであるのは確かです」

魔人「山の方は、さすがに今は調べられないよなぁ。…まあ、この状態じゃ山の手前の獣や実りは取り尽くされているかもしれない」


使魔「どうされますか。ここから出た方が、安全かと思いますが」

魔人「まぁ、そうだな。親友経由で、この国の役人に連絡しといてもらうとして、ボクらは今晩は隠れとくか」


勇者「おいっ!なんの話しをしてるんだよ!」

魔人「ん?…そうか、説明しないといけないな」

勇者「なんだよ、いったい」

魔人「あぁ、この村はなー……」




【彼らの裏の顔】


村人A「(家のドアをゆっくり開け)おい、寝てるか」

村人B「寝てる寝てる。大丈夫そうだ(足音を殺しながら入ってくる)」

村人C「こっちが小僧の方か?黒髪が出ている。なら、こちらが……(布団をバサッと捲る)」


村人A「おぉっ、田舎ではお目に掛かれないような美人だな」

村人B「若いな!妙に色気があるし(ニヤニヤ)」

村人C「胸はないのにな!」

魔人「(ピクッ)…Zzz……zz…(青筋が浮かんでいる)」


村人A「おい、自称勇者様の装備を袋に詰めとけ(麻袋を仲間に放る)」

村人B「チッ、そっちは娘っ子かよ(麻袋を受け取り、鎧を詰め込む)」

村人A「(魔人に縄を掛けながら)へへっ、柔らけぇな。(ニヤケながら)あとで、好きなだけ触れば良いだろ。村長も文句いわないさ」

村人B「そうだな(ニヤニヤ)」

村人C「こっちに、小僧の服が落ちてたぞ。(麻袋に学ランを入れ)こいつら、すぐに寝ちまったみてぇだな」

村人B「薬、入れ過ぎだったんじゃないかぁ。それか、疲れて使いものにならなかったか(馬鹿にした笑いをもう一つの布団に向ける)」

村人A「オレだったら、いくらでも相手出来るのによ!ガハハハッ」

布団の山「(ピクッ)…………(冷気放出)」

村人C「寒っ!(震えながら)もっ、もういいんじゃないか?」

村人B「(腕を擦りながら)荷物には、これといって金目の物はねぇしな。いいんじゃないか?」

村人A「うしっ!勇者様(笑)を袋に詰めて~(布団ごと、別の麻袋に詰め)他の奴らに、山に捨てさせるとするか」

村人BC「おう!(鎧を詰めた麻袋を担ぐ)」

村人A「そういや、剣はどうした?」

村人B「見当たらねぇな。宴中に、外して村長に見せてたみてぇが」

村人C「誰か、その隙に盗った…とか?」

村人A「ハッ、とんだ鈍い勇者様だな。まあ、いい。高い授業料だと諦めてもらうさ(魔人を担ぎ上げる)」


バタンッ


勇者「(村人たちが遠離るのを確認して隠れていた場所から出て来る)…うっ、嘘だろ」

使魔「いいえ、これがこの村全体で行っていたことです」

勇者「そんな…(唇を噛み締め)あいつがいってたことが、正しかったのかよ」

使魔「…えぇ、残念ながら。勇者殿、ツラいとは思いますが、マスターを救いに行きましょう」

勇者「ああ…(俯き)」


使魔「ほら…(優しげな声で促す)私はこれでは動けません。手を貸して下さい、勇者殿(麻袋の中が大きく動く」

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