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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第12章「なす術もないパニックを焼き捨てる神の使いへ」
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第94話 「ハイウェイロード」




挿絵(By みてみん)




 逃走するバスは港を離れ、河上のバイパス道路に入った。

 絶景だ。

 きらきらと太陽の光が反射し、水面が宝石のように輝いている。

 

「なんてこっだ……」


 トラはまだ、バスの側面に貼りついたままだ。というか、バスが止まらずに走り続けているので、貼りついてるしかなかった。

 器用にフォックスを抱きかかえながら、ズシンと運転席をのぞきこみ、シーカを(にら)みつけた。


「久しぶりだな。ま゛た会えて、うれしいぜ」


 すごいダミ声……首から血がしたたる。


 シーカがフフンと鼻を鳴らして、トラを無視した。

 アクセルをさらに踏みこむ。

 ブオオオオオ!


 助手席のニニコは、まだ気絶しているらしい。

 (くち)半開きのなさけない姿でシートに寝かされている。


「聞いでんのか? いったん止めろ゛や」

 ガンを飛ばすトラ。

 腰を曲げて、運転席に顔を近づける。長靴の重さで、ドアはバキバキと(ゆが)んだ。



「う、うるさい、やつだな」

 ようやくシーカは(にら)み返す。

 猛スピードで走るバスの内外(うちそと)から、ガンの飛ばしあい―――


「さ、さっさと・降りろ。バスが、こ、壊れる」

「壊れ゛るって? お前みたくか?」




挿絵(By みてみん)




「やめたまえ君たち、なんでケンカを……」


 同じくバスの外。

 ドスンドスン!

 槍をバスの壁に刺しながら、ルディがトラに近づいてきた。まるでクモだ。やれやれと言いたげに、ケンカの仲裁に入る。


「言い争いなんかしてる場合かね、危ないからやめなさい」


 トラとシーカが聞くわけない。

 無視して2人は口論をつづける。


「おい゛。ニニゴに変なこと、してねえだろうな゛」

「だ、だ、誰が……ふざ・けるな」


「ハッ! ロリコン誘拐魔の言うことなんか信用できるかよ」

「……は?」


「自覚ねえってのか? もっと言ってやるぜ、ティーン向け(・・・・・・)ストーカー」



 シーカの目の色が変わる。

 ボゥと " ()() " を光らせた。そして、運転席のドアを(たた)く。


 ドパンッ!!

 ドアを消し飛ばした。


 バスの側面に、大穴が()いた。

 金属粉が舞い飛ぶ。




挿絵(By みてみん)




「う゛おッ!!」

 カーブに差しかかった瞬間、トラの足場が消えた。そこに遠心力も加わり、トラは(ちゅう)に浮く。当たり前だがフォックスもろともだ。


「うひゃあ!」


 後方へ飛ぶ。

 真後ろにいたルディに、ドシンとぶつかった!


「トラく……ドシン! ぐえっ!」

 

 トラの超重量に激突され、ルディまで落っこちた。()(もり)のトゲが、すべて車体から抜けてしまう。

 ズボ、ズボ、ズボ!


「シーカくん! バスを止め……」


 ルディは叫ぶ。

 だがもう遅い!

 

 宙を舞う3人。

 ガードレーンのはるか上を飛び越え、高速道路の外へ……川にむかって落ちていく。


「ああああああああああああああ……」


 誰のものともつかない悲鳴。

 直後に、ドボォンと落水音が聞こえた。



「し、しま、ルディ……」

 あわてて速度を(ゆる)めるシーカ。

 うっかり、ルディまで落としてしまったことに気づく。やってもうた。



 と―――



『シーカ、このまま走れ! 追手(おって)が来たぞ!』


 空から怒鳴(どな)り声。

 後方から煙羅煙羅(えんらえんら)が追いついてきた。バスに並走するように飛びながら、シーカを怒鳴りつける。


 追手と聞いて、シーカがサイドミラーに目を向ける。


「う、げ!」


 10数台のパトカーが、猛烈なスピードで追いかけてくるではないか。

 ものすごいサイレン。

 ファンファンファン!!

 ファンファンファンファン!!


「まままま、マズイ……!」

 

 シーカは困った顔を浮かべる。

 どうしよう、しかしルディが……だがすぐに、アクセルを踏みこんだ。


「ル、ル、ルディ。ご、ごめん」


 逃走するシーカと、ニニコと……煙羅煙羅(えんらえんら)ロボ。

 けたたましいサイレンを鳴らしながら、パトカー群は追跡する。


 

 落っこちた3人は?



 逃走する護送車を、パトカーが追う。

 ファンファンファンファン……やがてサイレンは遠ざかっていった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※




「……行ったか。オーナー、オーナー!」


 トラがフォックスの耳元でささやき続ける。

 だが、反応はない。

 フォックスは気を失ったままだ。

 

 護送車から振り落とされたトラとフォックス。

 2人はいま、高速道路の真裏にいた。


 トラの長靴によって、道路の裏側に貼りついている。 

 もちろん逆さまにだ。

 まるで2匹のコウモリ……


 眼下に……いや、頭上というべきか? 2人の頭上に、大きな川面が広がる。フォックスはともかく、トラは落ちたら助からないだろう。


 だが、ルディは落水した。

 数分前にドボンと水柱が上がったのを見たから、たしかに落ちたはずだ。だが……いくら待っても浮いてこない。

 死んだか?



「オーナー、オーナー……ダメだ」

 

 フォックスは目を覚まさない。


 ズシ、ズシ。

 ゆっくりと、トラは歩きはじめた。

 引き返すことも、高速道路の上に出ることもできない。逆さまの状態で、シーカたちが向かったほうへ足を進める。

 ズシ、ズシ、ズシ……


 これから、どうしようか。




挿絵(By みてみん)




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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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