表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第12章「なす術もないパニックを焼き捨てる神の使いへ」
94/250

第94話 「ハイウェイロード」



挿絵(By みてみん)



 逃走する護送車―――


 港を離れ、河上のバイパス道路を渡る。

 絶景だ。

 きらきらと太陽の光が水面に反射し、宝石のように輝く。

 

 運転席の真横に貼りついたトラ。

 器用にフォックスを抱きかかえながら、ズシンと運転席をのぞきこんだ。窓越(まどご)しにシーカを(にら)みつける。


「よ゛う」

 すごいダミ声……首から血がしたたる。


 シーカがフフンと鼻を鳴らして、トラに目を向ける。ちっとも(ひる)まない。

 アクセルをさらに踏みこんだ。

 ブオオオオオ!


 助手席に、気絶したニニコが寝かされていた。白目をむいて、(くち)半開きのなさけない姿だ。


 ガンを飛ばすトラ。

 腰を曲げて、運転席に顔を近づける。長靴の重さで、ドアはバキバキと(ゆが)んだ。

「久しぶりだな。ま゛た会えて、うっとうしいぜ」


「だ、黙って、ひ、ひ、引っついてろ」

 ムッと(にら)み返すシーカ。

 猛スピードで走るバスの内外(うちそと)から、ガンの飛ばしあい―――

「こ、ここで、お、降りるか? こ、壊れる」


「壊れるって? お前みたくか?」

 バキバキ。



挿絵(By みてみん)



 同じくバスの外。

 ドスドスと、槍をバスの壁に刺しながら、ルディがトラに近づいていく。クモかよ、こいつ。

「やめたまえ君たち、なんでケンカを……言い争いしてる場合かね」


 やれやれと言いたげに、ケンカの仲裁(ちゅうさい)に入る。

 こいつらが聞くわけないが。

 案の定、無視して口論(こうろん)をつづける2人。


「おい゛。ニニゴに(みょう)なこと、してねえだろうな゛」

「だ、だ、誰、が……ふざ、けるな」


「信用できるか。ロリ御用達(ごようたし)の誘拐魔をよ」

「……は?」


「もっと言ってやるぜ、ティーン向け(・・・・・・)ストーカー」



 シーカの目の色が変わる。

 ボゥと " ()() " を赤く光らせ、トラが引っついた壁の真裏をバンと(たた)くと……


   ドパンッ!!

   消し飛ばした。


 バスの側面に()く大穴。

 金属粉が舞い飛ぶ。



挿絵(By みてみん)



「う゛おッ!!」

 カーブに差しかかった瞬間に、足場が消えた。遠心力で(ちゅう)に浮くトラ。当然、フォックスもろとも。


 後方へ飛ぶ―――真後ろにいたルディに、ドシンとぶつかった!

「トラく……ぐえっ!」

 

 トラの超重量に激突され、刺さっていた()(もり)のトゲは、すべて車体から抜けてしまった。

 ズボ、ズボ、ズボ!


「シーカくん! バスを止め……」

 ルディの叫び。


 もう遅い!

 

 宙を舞う3人。

 ガードレーンのはるか上を飛び越え、高速道路のそとへ……川にむかって落ちていく。

「ああああああああああああああ……」


 誰のものともつかない悲鳴。


 直後に、ドボォンと落水音が聞こえた。



「し、しま、ルディ……」

 あわてて速度を(ゆる)めるシーカ。

 うっかり、ルディまで落としてしまったことに気づく。やってもうた。



   と―――



『このまま走れ! 追手(おって)が来たぞ!』


 運転席の窓の外。

 後方から煙羅煙羅(えんらえんら)が追いついた。並走するように飛びながら、シーカを怒鳴(どな)りつける。


 追手、の言葉にシーカがサイドミラーに目を向けた。


 10数台のパトカーが、猛烈なスピードで追いかけてくる。

 ものすごいサイレン。

 ファンファンファン!!

 ファンファンファンファン!!



 ヤバイ……


 一瞬、困った顔を浮かべるシーカ。

 だが、すぐさまアクセル全開で、護送車のスピードを上げた。

「ル、ル、ルディ。ご、ごめん」


 高速道路を逃げるシーカと、ニニコと……煙羅煙羅(えんらえんら)ロボ。

 けたたましいサイレンを鳴らしながら追跡する、パトカー群。


 

 落っこちた3人は?



 逃走する護送車を、パトカーが追う。

 ファンファンファンファン……やがてサイレンは遠ざかっていった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



「……行ったか。オーナー、オーナー! だめだ……」


 トラがフォックスの耳元でささやき続ける。

 だが反応はない。

 気を失ったままだ。

 

 護送車から振り落とされたトラとフォックス。

 2人はいま、高速道路の真裏にいた。


 トラの長靴によって、道路の真裏に貼りついている。もちろん逆さまに。まるでコウモリだ。

 眼下(がんか)に……いや、頭上というべきか?  


 2人の頭上に、海に面する川が広がる。

 落ちたら浮いてこれないだろう。


 だがルディは落水したらしい。


 数分前にドボンと水柱が上がったのを見たが……いくら待っても浮いてこない。死んだ、か?



「オーナー、オーナー」

 目を覚まさない。

 ズシ、ズシ。

 ゆっくりとコンクリの天井を踏み鳴らしながら、護送車が向かった方にトラは足を進める。

 ズシ、ズシ、ズシ……



 これから、どうしようか。



挿絵(By みてみん)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ