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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第12章「なす術もないパニックを焼き捨てる神の使いへ」
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第92話 「ジャッジメント」



 もうひとり、煙幕の向こうから現れた。


「困るじゃないか、シーカ君。そいつは私が殺すんだ……」



挿絵(By みてみん)



 今度こそ、ニニコの表情は真っ(さお)になった。

 ドクロの仮面と―――トゲだらけのプロテクターをつけた男が現れたではないか。


 2つのアイテムに呪われている。



 覚えておられるだろうか?

 教会で、シーカと一緒にいたルディ神父だ。 

 (第7章を参照のこと)

 

 赤煙のなかを、亡霊(ぼうれい)のごとく現れたルディ神父。長い白髪(はくはつ)をゆらりとなびかせて、レインショットに歩み寄る。

 

 レインショットも、彼に気づいたらしい。ゆっくり近づいてくるドクロ仮面を、ぽかんと見つめ返し……


「……君も、魔王軍か?」

 まだ言ってやがる。


 なにも答えないドクロ仮面。

 2秒……3秒……ようやく答えを返す。

「ちがう。絶望したか?」



 パッと表情が明るくなるレインショット。

「そ、そうか! やっぱりそうか……は、はは、そうかそうだろう! た、助けに来てくれたんだな、はははは!」

 救いの神が現れたかのように、顔を(ほころ)ばせる。

 いや、違うってんじゃん。

 これが……たったいま両手を消し飛ばされた人間の反応なのか? 狂気―――



 ドクロ仮面、いや、ルディ神父の恐ろしい声。

 まるで悪魔のような冷たい声……


「よく聞け。私は殺し屋だ」


「そ、そうか。はは、ははは」

 笑うレインショット。


「 " アルベル・スタジアム事件 " を覚えているな? 貴様が極左(きょくさ)テロ組織に横流しした「(はく)リン(だん)」で、1844人が殺された事件だ。お前の売った白リン弾でな。覚えているな?」 

 

 

「はははは、はは……は?」

 笑い……そして、レインショットの顔は絶望に染まる。



   アルベル・スタジアム事件?

   第56話「ミーティング」を参照のこと。


   アルベル・スタジアム事件―――



「犠牲者遺族と被害者らの願いだ。貴様を殺す。どうだ……絶望したか?」


 絶望したか?

 その言葉に反応するかのように―――ルディ神父の胸甲が、トゲを伸ばす。

 ギリ、ギリ、ギリ!

 金属を引きちぎるような音を立てながら2メートルを超える長さに伸びる1本のトゲ。いや、もう(ヤリ)

 とがった先端が、レインショットに向けられた。


「は、ああ? あああああ! ああああああ! わ、私の、私の、う、腕が……!」

 いまごろ腕の心配をするレインショット。

「う、腕がァァアあああああ!!」



 ルディは許さない。

 

「絶望してくれたならいい。地獄に落ちろ」

「落ちた地獄で、また(さば)かれろ」



挿絵(By みてみん)



「永遠に死ね」


  

 ドスッ。


 レインショットの(はら)に、(やり)が突き刺さった。

「!! ぴぎゅ、う! うぐ、ぴぎゅ」

 人間のものとは思えないうめき声。


 長い槍が、腹にめり込んでいく。

 絶対に治療不可能な場所に。

「あ゛ぎゅブ」

 ごぶ、と血の(かたまり)を吐き出す。


「ごぶ。ビチャビチャ、ごぶぉ」

 立て続けに血を吐きつづけるレインショット。その四肢(しし)が、びくびくと(うごめ)く。

 

 ぐい、ぐいと押しこまれていく槍。


 槍が……レインショットの体を持ち上げた。

 高く、高く、旗頭(はたがしら)のように高く。

 中空(ちゅうくう)に、獲物を(かか)げるように。モズの速贄(はやにえ)のように、高く高く……



挿絵(By みてみん)



 胸甲の声が響く。


『661人目……』


 ズドン!!


 (あら)たにトゲが伸び、1本目とほぼ同じ場所を刺す。

 そして、


   どばッ!!!!


 6本のトゲが、レインショットの背中から飛び出した。

 血の雨―――


 体内で、槍の先端が松葉(まつば)のごとく、3(また)枝分(えだわ)かれしたに違いない。

 まるで(モリ)……2本の銛によって、その体はゴム人形のようにあらぬ方向にゆがむ。

 いや、銛がそれぞれ左右に開いてゆく!


「くぎゅ、くぎゅ!」

 痙攣(けいれん)止まらぬ、レインショットの腕。

 もがく。

 ま、まだ生きている……


 あいたた、と目をそむけるシーカ。



 

『661人目……ルディ神父。これであと5人(・・・・)です』

 胸甲が、(しゃべ)った。


「なんだ? “ ()(もり) ” 」


『私の呪いですよ。呪いが解けるまで、あと5人です』

「そうか。そんなに殺したか……すっかり忘れていたよ」


『……私はあなたから離れたくはありません、ルディ神父』

 


 血の雨―――


 バヅンッッ!!!

 レインショットの体が、ふたつに裂けた。

 

 ドシャリ、ドチャア!

 派手な血をコンクリートにブチまける、レインショットの左半身と右半身……


 血の雨が、降り注ぐ。

 吐きそうになるほどの血のにおい。

 でも、そんなことはどうでもいい。


 惨劇(さんげき)を、処刑を、()の当たりにするニニコ。絶句したまま硬直し、そして、


「ぎゃあああああああああああああああ!!」

 叫ぶ。

「ギャあああああああああああああアあ!!」


 叫ぶ、狂ったように。

 でも逃げられない。

 動けない。

 腰が抜けました! 

「あ、ああああああああああああああああ!」

 

 ノドが裂けるほどの狂号をあげるニニコ。

 恐ろしさでどうにかなっているのだろうか。



「よ、よ、よしよし」

 なだめるシーカ。


「ぴゃあああああああ……ふぅ」


 気を失ったらしい。

 こてんと(うし)ろに倒れそうになる少女を、シーカはあわてて支える。


「あ、あ、あ」

 そのまま()き上げ、歩き出した。

「ね、ね、ねんねん、こ、ころり」



挿絵(By みてみん)



 死体のようなニニコをお姫様だっこして、シーカは赤煙のなかへ消える。

 誘拐(ゆうかい)―――いや、どこへ!?



 神父の祈りが続く。

「天に()します、われらの神よ……」



   次の瞬間!!!


  「シーカァアアアアア!」



 ズシイイイイイイイイイイイ!!

 港全体が、揺れる。



挿絵(By みてみん)



 大振動に、ルディが振り返った。


 赤い煙の向こうから、ズシンズシンと轟音が響く。

 振動、ズシン! 

 振動!

 

 トラが近づいてくる。

 鬼のごとき様相で。

「シーカァ! ニニコから離れやが、れ……2人ともいねえじゃねえか!」


 大絶叫。

 両腕の手錠がギシと(きし)む。


「どこだシーカァア!!」



 ……フォックスは? 

 まだ気を失っていた。



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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


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