表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第2章「紛れもないジョークを焼き捨てる決意へ」
20/250

第20話 「フォーリンダウン」




挿絵(By みてみん) 




「あああああ! おあああああ!」


 完全に理性を失っているトラ。橋の裏で右往左往しながら叫ぶ。くりかえすが、橋の裏で(・・・・)だ。


 ドスン、ドスン!

 逆さに貼りついたまま、地団太(じだんだ)()んでいる!

 ドシンドシン!


「登れねえじゃねえかイエエエエエ!!」



※ ※



「オーナー……オーナー!? どこ??」


 周囲を見まわすフォックス。

 だが、トラの姿はどこにも見えない……と思いきや! 

 

 ドシン!

 ドシーン!!


 とつぜん、橋が大揺(おおゆ)れをはじめた。

 太鼓(たいこ)を打つみたいな振動が、橋を揺らす。


 グラグラ、グラ!


「うわッ、ひゃあ!」


 衝撃のたびにフォックスの体が()ねあがる。

 関節技をかけられっぱなしのシーカは、そのたびに肩を()じられた。



「ぐあ、ああ! は、離せ……」

 シーカの悲鳴。


 (ひざ)をついて激痛に()えているだけでも地獄。さらに橋がグラつくたび、左肩がねじ曲げられる。

 折れる……と、とても立てない!

 


『さっさと反撃せんか、シーカ。悪い子(・・・)だ……!』

 イラだったように、声を荒げる()()


 悪い子。

 その言葉を聞いたとたん、シーカの様子が変わった。


「う、う、あああああああ!!」


 なんと。

 なんとシーカは立ち上がる。苦痛にゆがむ顔に、脂汗(あぶらあせ)がふき出す。


「ああああああああああああ!」

 肩の関節が、異常な曲がりかたをしているではないか。脱臼(だっきゅう)寸前―――しかし、シーカは立ち上がった。



「マ、マ、マジかてめえ! ようし、見てろ……!」


 フォックスが、さらに右腕に(ちから)をこめる。

 本当に腕をへし折ってやる!


 だが!!

 だがそのとき!



「俺じゃあアアアアア! 殺す―――!」


 トラの大絶叫!!

 次の瞬間!

 

 ズドオオオオオオオオオン!!

 

 シーカ、フォックスの足元(あしもと)が、ドカンとフッ飛んだ。爆発のごとくバラバラに砕け散る木材、木材、木材!

 トラが、橋の真裏(まうら)から蹴りを(たた)きこんだ!

 

 なんちゅう破壊力……大穴が開いてしまった。




挿絵(By みてみん) 




「ぐえ!」

 ひっくり返るフォックス。


「ごあッ!!」

 無数の破片はへんを全身に浴び、シーカも転がる。

 


「お、お、俺の怒りを教えてやる……!」

 般若(はんにゃ)のごとき顔で、トラが橋の上に戻ってきた。その姿はまるで、地底から()い上がってきた悪魔のようだ。

 ズシン。

 ずしいいいいん!

「おのれ()あああああ! 覚悟しやがれぇええ!」


「あいてて! ぎゃあ、こいつ生きてる!」

 腰をぬかすフォックス。

 トラが死んだと思ってらしい。


 

『なにをしておるシーカ! 立ちあがれ、モタモタするな!』

 わめき散らす()()


「グ……うう……」

 シーカは今度こそ動けない。

 うう、と(うめ)き声を()らすばかりだ。苦痛にゆがむ顔……歯を食いしばる。

 

 だが、朽ち灯は許さない。


『我を怒らせる気か、シーカ。悪い子だ……』



 ビクッ!

 シーカの顔が、ぞっと強張(こわば)った。


「う、グ……は、はい、オーナー……!」


 なんと……

 なんと最後の力をふりしぼって、ふたたび立ち上がった。


 なにが彼をここまでさせるのか。

 とてつもない精神力で、朽ち灯をガシャンと構える。臨戦態勢!


 

 しかし……

 彼の目の前では、とんでもない修羅場が展開されていた。



「うぎゃー! オーナー、やめてええええええ!」

 ジタバタ、ひー!!


「うるせえ、死ねええええ!」

 うおおおおお!!


 怒りの絶頂のトラ。

 重量挙(じゅうりょうあ)げのごとく、フォックスを頭上に(かつ)ぎあげた。まさか、橋から投げ捨てるつもりか?


 いや、違う!

 シーカに投げつける気だ! 


 メイドを凶器にするトラ。彼の怒りは、それほどまでにすさまじい。


 必死に抵抗するフォックス。

 やだやだ!

 ジタバタ! 


堪忍(かんにん)してオーナー! なんでもするから! 下ろせ、このアホ!」

「お前は死ぬんじゃ―――!!」


 なにを言ってもムダ……



「くらいやがれええええ!」

「ひゃああああああああああああ!!」


 投げた。


 ドゴォ!!


「グァヘッ!」

「ブゴッ!!」


 直撃。

 シーカの顔面に、フォックスの頭突(ずつ)きが叩きこまれた。




挿絵(By みてみん)  




 頭突き、と呼んでいいのだろうか。

 マネキン人形のごとく、フォックスがシーカに激突した。



「ぐは……」 

 血反吐(ちへど)()いて、シーカはブッ倒れた。握りしめた2枚のパーツが、とうとう彼の手からこぼれ落ちる。


「それは俺のじゃああああ!」

 目の色を変えて飛びかかるトラ。

 ドスンドスン!

 ドスンドスン!!


 パーツまであと3メートル。



 そのとき――――――



 バキ……

 バキバキ、バキバキバキ……


 バキ、バキ、バキバキバキバキ!

   

 橋が崩れはじめた。


 長靴の大暴れに、とうとう耐えられなくなったのだろう。橋桁(はしげた)が折れてしまった。


 崩れ落ちる。

 大音響をあげて、木造橋が崩れ落ちる。


 

 ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!


 

「ギャ――――――!」

「うわ――――――!」

「ああ――――――!」


 とてつもない数の木片とともに、3人は川になだれ(・・・)落ちた。

 

 ガラガラガラ!!

 ドドドドドドドドォォォォ……


 それと、ほぼ同時だった。

 炎上していた隣の橋も、すさまじい轟音(ごうおん)をたてて崩れ落ちた。もうメチャクチャ……


  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ