ハロルド受難
ハロルドはギルドに戻るとジェロームからの面会予約に
「いつでも応じる。」
と返事をするよう職員に指示し、ため息をついた。(やはり面倒は避けられなかったか。)
間もなくジェロームがやってきた。
「ハロルドさん、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが今日は父の三男としてレンさんのお話しを伺いたいと思います。父は、レンさんの能力をギルドは把握しているか?把握しているのなら是非報告するように、と言ってます。」
はあ、とため息をつきハロルドはジェロームに言った。
「ギルドと協力してレンの能力を絶対に他言しないように約束してほしい。誰かに利用されたら危険だ。」
ジェロームは頷いた。
「父はレンさんの協力を得てこの領地がより豊かになる事を望んでいます。能力によっては王にも黙っていると。なので是非教えて頂きたい。」
ハロルドはレンについて答えた。
「レンは異世界から転移してきた人間だ。」
記憶喪失だと聞いていたジェロームは驚いた。
「転移当初は生活に必要な物が出せるというくらいで危険は無いと思っていた。だが最近魔法で何でもする事ができるようになったらしい。原因は従魔のスライムだ。あれはレアスライムで対象の能力を上げる力があるそうだ。レンの魔力は底が見えない。こんな事が世間に知られれば誰でもレンとスライムを利用しようと考えるだろう。あんたもあの家の件でそう思わなかったか?」
ジェロームは
「正直そう思いました。」
と答えた。父からの連絡が無ければ強引な方法を考えたかもしれない。
「もし洗脳でもされたらどうなるか…。レンの存在自体が混乱の元になるからギルドはレンの能力を隠そうとした。ただレンは超絶の世間知らずだ。だからあっさりあんたらにも感づかれた。」
はっとした顔をするジェローム。
「もしかして、うちの店に売りに来た砂糖もレンさんが魔法で…?」
ハロルドはため息をつきながら
「はあ。あいつあんたの店にそんな物を売りに行ってたのか。なあ、解るだろ?レンがどれだけ世間知らずか。」
ジェロームはハロルドに同情した。
「ギルドと私達で協力すれば大丈夫ですよ。ハロルドさんの苦労も軽減できるんじゃないでしょうか。お一人では大変でしょう。」
ハロルドは大きく頷き同意した。
「ああ。正直あの家の件で何か言ってくるとは思っていたからな。レンに注意した時あいつ何て言ったと思う?あれくらいなら他にも出来る人がいると思った、だぞ。」
ジェロームはハロルドに大いに同情した。そして
「何にせよ一度レンさんとハロルドさんには父に会って頂きたいのですが。」
「ああ、それなら明日の朝レンが俺に会いに来るそうだ。またとんでもない事してそうな予感しかしないがな。レンとの話しが終わってから一緒に伺ってもいいか?」
ジェロームは頷き
「父には報告しておきます。明日朝迎えに来ますので三人で行きましょう。」
「悪いな、頼む。」
そう言ってハロルドはジェロームを見送った。
レンと水丸は二人のやり取りを知るはずもなく、仲良く星空空中散歩を楽しんでいた。




