ハロルドさんに捕まった
新居ゲット記念バーベキュー開催!ということで屋上にやって来た。
屋上を囲うように木の柵を設置する。中央あたりに木のテーブル、テーブルの両サイドにテーブルと同じ長さの木の椅子を出した。バーベキューグリルに木炭をセット。魔法で火をつける。パプリカ、玉ねぎ、ジャガイモ、そして霜降りの牛肉をカットして皿に盛られた状態をイメージして出した。
「水丸焼けたよ~。」
焼き肉のタレをかけて水丸に渡した。まずは野菜からだ。
《レン、美味しいね~。》
左右に揺れながら食べる水丸。そしてお楽しみの霜降り肉だ。もう何というか、見た目も匂いもヤバい。間違いなく美味しいという予感しかしない。水丸が肉を皿に入れる私の手元を食い入るように凝視してる。
「はい、どうぞ~。」
水丸が渡した皿に飛びついた。
《%#&▲×!?》
何言ってんのかさっぱり解らんが上下左右に激しく揺れている。私も食べた。
「うまっ!!」
思わず足をバタバタさせてしまう。私と水丸は興奮しながら肉を完食した。
「はあ~、おいしかったね~。」
《お肉すっごいおいしかった~。》
水丸はうっとりとした顔をしている。しばらく肉の余韻に浸ったあと、片付けをした。木炭は水丸に消化してもらい、テーブル、椅子、グリルを魔法できれいにしてからリュックに仕舞う。魔法が何でも使えるようになってからのお気に入りの魔法だ。掃除洗濯が一瞬で終わる。ズボラ人間の憧れの魔法だろう。同じ物を出すよりイメージも簡単だ。
二階に降りたら暗かった。ライトの設置を忘れてました。天井にライトを設置した。(紐を引っ張るやつ)魔石が残り1個になった。これからは魔物を売る時に魔石は手元に残そう。
部屋は明るくなったが物は無い。満腹でやる気が出ないので、せっかくの新居だが今日はテントで過ごしす事にした。
翌朝かなりのご近所さんになったギルドに向かった。魔物を狩って魔石を入手しようと思っていたのだが、ギルドでも売っていた事を思い出したのだ。ギルドに入り販売コーナーを見に行く。一番安い紫色の(動力の魔石)をとりあえず10個購入し家に帰ろうとしたら
「レン、ちょっと来なさい。」
ハロルドさんに腕を掴まれ応接室に連行された。
「レン、近所のボロ小屋に引っ越ししただろ。」
「いえ、改築したのでもうボロ小屋じゃないですよ。って、知ってたんですか?さすがギルド長!」
「さすがギルド長!じゃない!あの家はもう噂になってるぞ!一瞬できれいな二階建ての家になったってな!」
あ、そういえば深く考えずに魔法で改築したな。でもそんなに噂になる程の事か?豪邸にした訳でもないのに。
「えっと、あれくらいなら他にも出来る人がいると思って…」
「いないの!いたとしても普通は膨大な魔力をボロ小屋の改築なんかに使わないの!そんな事したら魔力が枯渇するの!」
そうなのか。知らなかった。
「ご心配をおかけしてすいませんでした。でも既に噂になっているみたいですし何か面倒事があったらその時に考える事にします。大丈夫です、きっと皆すぐ忘れますよ。あはは。」
「あはは。じゃねえよ、まったく…」
しかし脳天気なレンを見てると仕方がないか、と思えてくるハロルドだった。