聖百合
自転車はリュックにしまい登山道の脇にあったスペースにテントを出した。昨夜テント内にソファーと棚を用意した。棚にはペットボトルのお茶とりんごジュースを詰めておいた。ソファーにぐで~っと座り水丸にりんごジュースをあげ私はお茶を飲んでひと息ついてからテーブルに、いか天うどんを出し水丸と昼食を食べた。私は辞典を出し、この山に生えている薬草を確認した。途中見つけたら採取していこうと思う。山には牙猪や大角鹿が出るらしい。辞典に対処方法を聞くと
[水丸の攻撃で倒せます。]
まじか。
「という事で、頼りにしてるよ水丸。よろしくお願いね。」
《うん。水丸がんばる!》
私達は山に入っていった。獣道よりはいくらか歩きやすいといった感じの道を登っていく。傷復草や胃復草はこの山にもその辺に生えているが、ここまでで結構採取したので無視。周囲を確認しながらゆっくり山道を行くと魔復草を発見した。道から少し外れているが、そんなに奥ではない。
「水丸、あの辺は大丈夫かなー」
《うん、なにもいないよ~。》
安全に魔復草を採取できた。道に戻りゆっくり進む。そろそろ日暮れが近そうだ。テントが置けそうな場所を見つけないと。辞典の地図を確認しそこに向かう。道を外れると歩きにくい。足元を確認しながらゆっくり進む。
《レン、右から来るよ》
水丸が私の後ろから飛び出し右側に水丸チョップを出した。眉間をチョップに貫かれた大角鹿が天国に旅立った。
「水丸強いね~!ありがとう。」
戻ってきた水丸を撫でた。
《えへへ。水丸がんばったよ~。》
水丸に血抜きしてもらってからリュックに大角鹿をしまった。地図の場所には病復草が生えていたので採取してからテントを出した。
翌日も薬草採取をしながら山を登った。途中牙猪に遭遇したが水丸チョップで呆気なくお亡くなりになってた。もうすぐ山頂らしい。なんかワクワクする。山のてっぺんてテンション上がりませんか?私は上がります。
《レン、なんか変。あっちが、変。》
「なんか、魔物がいるの?」
水丸が向いた方向を私も見たが何の異常も無いように思える。
《なんか行かないといけない感じがする》
水丸が行かなきゃ駄目なら行かないと。水丸は私の願いをきいてくれたんだから私もきくべきだと思う。水丸が先導し私は後についた。山頂から下りに向かうだろうという方向に道からずれて進んだ。水丸が止まる。
《この辺がなんか変なの》
私には何が変なのかわからない。辞典に聞いた。
「水丸がこの辺をなんか変って言ってるんだけど?」
[地面から聖百合の気配がします。]
「聖百合ってなに?」
[他の薬草と混ぜるとその効果が最大になるとても珍しい花です。]
「なんで水丸がその気配に反応してるの?」
[聖百合が水丸に吸収される事を望んでいます。水丸はそれに反応しています。]
「なんで花がそんな事を望むの?!」
「この聖百合は地上に咲いていたのですが、この近辺に嵐と落雷があった際に地中に埋まったそうです。地中でも根からなんとか養分を吸収してたのですが、もはや枯れる寸前の状態になってます。特殊個体である水丸の気配を察知し自分の能力を少しでも受け継いで貰える可能性にかけ水丸に消化してもらいたいそうです。]
「水丸が苦しんだりしない?」
[苦しむ事はありません。何の影響もない可能性もあります]
「どこに埋まってるの?」
地中に表示された場所を慎重にシャベルで掘った。もはや枯れているように見える聖百合が姿をみせた。
「水丸、聖百合が水丸に消化して欲しいんだって。どうする?」
《わかった~。いいよ~。》
お気楽に水丸は聖百合を消化した。




