初めての喧嘩や体験
よ!
太陽の昇りと共にそれは新しい一日の始まりだけでなく、昨夜会えなかった々との再会をもたらす意味を持っていた。動物園の住人たちは目を覚まし、ベッドから起き上がり、朝食を食べ、モデルとしての新しい一日に備え始めた。アキラとエルザも例外ではなかった。二人ともにとってベッドから起き上がるのに信じられないほど辛く困難ではあった。それぞれの、全く同じ朝食を食べ、全く同じ家から外に出た。
アキラの隣からは他の男たちが次々と出てきて、共通のエリアへと向かっていた。それは全員住人たちが午前9時から午後9時まで、つまり動物園の営業時間中にいなければならない場所だ。そしてエルザの隣からは他の女たちが、反対側から同じ場所に向かっていった。
七軒の家が建っている小さなドームから出ると、七人の男の子たちは約二十メートルのトンネルを通らなければならなかった。そのトンネルは、彼らが眠る小さなエリアと、来園者が訪れる巨大なガラスのオニオンの下の主要な庭園と結んでいる。
全ての人間は庭園の異なる側から入り、中央で合流した。そこには三十八人の住人全員が集まり、朝の全体集会が開かれていた。アキラはそこで昨夜以来初めて恋人の顔を見た。この朝のミーティングでは、それぞれの展示物に、その日滞在するエリアが割り当てられた。通常、各エリアには四から六人の男女が配置された。
アキラにとって不幸なことに、彼はエルザと同じエリアには割り当てられなかった。そのため、エルザから引き離されるまでのまだ時間があるうちに、アキラは彼女に話しかけることにした。エルザに近づき、彼は会話を始めた。
「昨日は結局話せなかったよねな。何があったのか教えてくれないかな?」
しかし返事はなかった。エルザはただ黙って背を向け、反対方向へと歩き去った。アキラは人生で初めて、彼女からそんな冷たい扱いを受けた。これまで彼女がそんな風に振る舞ったことは一度もなかった。それでもアキラは諦めず、エルザを追いかけて同じ質問を繰り返した。
「もし黙ったままなら、何が問題なのかわからないよ。どうか、何があったのか教えてくれ!」と彼女の態度の理由と昨夜の涙の理由がわからず、アキラは言った。
「今はまだ話せないよ。ごめん。また後で。」エルザは冷たい声で言い、アキラの目も見ずに、今度は木々の間で完全に彼の視界から消え去った。
どうすればいいか他の選択肢がなかったので、アキラは恋人の頼みを聞き入れ、彼女を一人にする決断をした。今日一日過ごすことになっているエリアに着くと、アキラは三人の男と二人の女を見た。そしてその五つの顔のうちの一つに見覚えがあった。その持ち主に近づいて、アキラは話しかけた。
「おはよう、トーマス。何もかもわからないよ。ここは一体、何の場所なんだ?!」
「よ、アキラ。昨日のお前の活躍はもう聞いてるよ。ハハ。あの男、まだ医務室で監視下に置かれてるんだ。すごい叩きのめし方だったな! 俺にも教えてくれない?」
「え…? いや、別にそういうつもりじゃ…」アキラは自分の両手の拳を見た。そこには傷や血だらけの指の関節があった。彼は初めて、昨夜友達であるサンティアゴに与えた傷の大きさを実感した。一瞬、アキラは恥ずかしくなり、謝るべきだと思った。しかし何かがアキラの中で、まるで悪魔か野獣のように、その感情を押しつぶし、自分は当然のことをしたまでだと思わせた。
「動物園の職員が来て、動物園のオーナー自身がお前と話したいと言ってたよ。だから午後二時にヤツの部下が迎えに来て、お前を連れて行くそうだ。」とトーマスは言った。だがアキラはまだ完全にここにはおらず、自分の考えの中を飛び回っていた。
「え? オーナー? あのマティクロズシュって男のこと?」
「第一、ヤツらを男と呼ぶな。ヤツは人間じゃないし。第二、俺はそれが誰か知らない。」トーマスは答えた。
「知らない? でも動物園のオーナーはヤツじゃないの? あの、おと…いや、俺たちを捕まえてここに連れてきた宇宙人だ。」アキラは戸惑いながら言った。
「ああ、なるほど。わかった。お前らの村を襲ったのは普通の人間狩りで、俺たちのオーナーであるドラディチョトルにお前らを売ったんだ。そしてこのヤツがお前と話したいと言っているんだ。」
「でもヤツに何の用があるんだ? トーマスも呼ばれたの? 何か話したのか?」アキラは少し怖がった声で言った。
「腹を割ると、俺がここで過ごした七年間で、オーナーが直接会いたがったのはお前が初めてだ。」
「え? でも…」アキラの顔も体も一瞬で恐怖と戦慄に包まれた。それはありとあらゆる方法で現れ始めた。膝と手が震え、顔色が青ざめ、声がか細くなった。
アキラという人物への異常な関心の唯一の理由は、おそらく昨夜の行いに対する罰だった。もちろん、アキラはそれがただで済むわけがないと分かっていた。罰を受ける覚悟もあったし。しかしアキラが本当に心配し怖れていたのは、永遠に別れて二度と恋人に会えなくなる危険だけだった。もしそれ以外ならどんな罰であってもアキラは何でも耐えるつもりだった。
しかしその会話までにはまだ五時間あったので、アキラはその話をしばらく脇に置き、トーマスに、エルザからは聞けなかったことを尋ねることにした。昨夜の芝居で、自分が気絶した後で何が起きたのか。
「トーマス、昨日のことを知らないの?」
「え? 教えてもらわなかったのか?」
「うん。」アキラはうなずいた。
「でもお前の彼女は? エルザも何も言わなかったの?」とトーマスは驚いて聞いた。
「そうなんだ。今は話したくないって言われた。」アキラは大きなため息をついて答えた。
「ま~一周回って無理もないな。俺が言うべきじゃないと思うよ。彼女自身が話すべきのことだ。」
「で…でも、なぜ?! どうか教えてくれ! 俺にとってすごく大事なことなんだ!」
さらに数分間説得した後、トーマスはついに陥落し、昨夜の芝居について話し始めた。
「お前らは、観客の前でセックスをしなければならないと言われたよな?」
アキラはうなずいた。
「お前とサンティアゴが部屋から連れ出され、血が片付けられた後、ついに彼らは乱交を始めたんだ。」
「らんこう? それは何だ?」
「大勢の人が互いにセックスをし、パートナーを入れ替えることだ。」トーマスは、昨日サンティアゴに起きたことを未然に防ごうとするかのように、少しアキラから距離を取りながら言った。
「え? でも…」
アキラは頭の奥ではすでにすべてを理解していたが、必死にその考えを押し殺そうとしてた。何か誤解や嘘であってほしいと願っていた。アキラは、自分が昨夜眠れずに頭の中で想像していたような事態にはならないと念じていた。しかし不幸にも、現実は彼が想像した通りに起こった。アキラの頭の中でまだ曖昧だったのは、異性の身体とその行為自体だけだった。
アキラ、エルザ、そして集落の他の若者たちの両親は、愛の営みは互いに真心で愛し合う二人だけの私的なものであり、外部からの介入を決して許さないものだと教えていた。
「何?」
「何ってどういう意味?」
「何時間続いた?」
「正確には知らないが、お前らは新人で、すべての宇宙人が見たがっていたし。それに変態的なものも含めてな。だから五、六時間くらいだったと思うよ。」
五と六という数字がアキラの頭にこびりついた。彼は、自分の彼女をあんな恐ろしい場所に、あれほど長い間、無防備なまま一人で置き去りにしたことを悟った。その数字はアキラの脳の奥深くまで恐怖させた。その間にアキラは変な言葉があることに気づいた。
「それはどういう意味だ?」
「ん? 何の話だ?」
「さっきの言葉よ。『変態』って。何か変わったものでもあったの?」
「ああ、そうか。お前らは誰もそれについて教えられなかったんだな。」そう言ってトーマスはアキラに近づき、何かを耳元で囁き始めた。それは五分ほど続き、その一分一分に、すでにひどいアキラの表情はさらに悪化し、恐怖と嫌悪と反感のあらゆる色合いで染まっていった。
アキラの、かつて人間が支配していた惑星を征服した宇宙人たちへの憎しみは、想像を絶するほどに昂った。もし彼にアニメや漫画のように憎しみで力を得る異常能力があれば、全エウドクリルの半分を一瞬で殺せただろう。
その間ずっと、二人ともはまさにその宇宙人たちに見られていた。透明な壁の向こうで微笑みながら手を振ってた存在に。アキラの視界に入ると、彼は村が襲われた日から溜め込んできたすべての怒りと憎しみを抑えようとさえしなかった。彼は拳を握りしめ、下唇を歯で噛みしめて血を流させた。地球の表面から永遠に消し去りたいと願う存在たちが、まるで取るに足らない無害なおもちゃであるかのようにアキラのことを見つめ、手を振り、笑いながら、自分たちの優越性と違いを感じさせ、見せつけていた。
それを見たアキラは頭に血が上った瞬間、猛然とヤツらの方へ突進した。宇宙人たちは最初は少し驚いたが、やがて青年が自分たちに興味と注意を示しているのだと思ってさらに笑顔で手を振り始めた。
しかしアキラはガラスの柵まで走り着くと、右手を振りかぶって、宇宙人の顔がある場所をめがけて全力で殴った。エウドクリルたちから見れば、まるでノミか便所虫か、通り過ぎ、自分から壁に激突し、血痕を残したかのように見えた。
まさにそのような血痕が、アキラの拳があった場所に残った。昨日から完全に治っていない傷は、自己保存の感覚を一切欠いたその一撃に耐えられず、さらに重傷を負い、医師の診察が必須になった。
少し怖がったというより、むしろその行動に驚いた二人の宇宙人は、アキラが昨日動物園に来たエウドクリルたちの間で話題になっていた例の男性だと思った。それにこの思いは正しかった。
そのため、これはアキラが用意したパフォーマンスの一部だと考えて拍手し始めた。それに気づいた周囲のエウドクリルも、ガラスの上の赤い跡のそばに集まり、その跡を残した人間を見つめ始めた。それによってアキラの中の憎しみと怒りと完全な無力感はさらに燃え上がった。アキラはまだ自己保存の本能を回復できずにエウドクリルの顔がある方向のガラスを全力で殴り続け、自分自身にさらなるダメージを与え、観客をさらに熱狂させた。
これが永遠に続くかと思われたが、隣に立っていたトーマスは、最初は呆然としてどうすればいいかわからなかったが、やがて我に返り、アキラをドームの境界から引き離すに走った。その行動はもちろん宇宙人たちの気に入らずブーイングと叫び声で迎えた。
アキラを透明な壁から数メートル引き離し、トーマスは彼の左肩を支えて医務室に連れて医者がアキラの傷を診て治療するために向かった。ついさっきまで体内にたまった過剰なアドレナリンでエネルギーに満ちていたアキラの両腕は、今ではまったく生気を失い、垂れ下がった。最小の風にも揺れていたのように見えていた。そしてアキラの拳から滴る血は、まるで橇で雪の上を引いたかのように長い跡を残していた。
最初の数分間、二人の男は黙って歩き、言葉を交わさなかった。沈黙を破ったのはアキラだった。数分前にすべての力を出し尽くした彼は、怒りも憎しみもアキラの口調や話し方にまったく影響を与えず、ただへろへろと疲れ果てていた。
「なぜヤツらはあれが好きなんだ?」
「何の話だ?」
「芝居のことだ。ヤツらに性器がないなら、なぜそれを見るのが好きなんだ? ヤツらの文化にセックスという概念がそもそもないだろう。どうやってそれを知ったんだ?」と理解できずに、アキラは自分の最大の敵の思考の本質と動機を知りたがって聞いた。
「俺の考えでは、その理由はまさにそのせいだと思う。」
「何が?」
「ヤツらには性器がないって。それで、人間にはそれがあるのを見るのが好きだろうなって。」
「自分にないものを見て何が面白いんだ?それが論理的だとは思えないな。」骨折した両腕の青年は少しの苦情を送った。
「まあ、ごめんなさいな。俺は学者じゃあるまいし。百万冊本を読んだら、答えられるかもしれないな。」
「ハハハハ。まあトーマスが頼むなら、許してあげようかな。」とアキラは少し笑顔で答えて続けた。「じゃあ、なぜヤツらが人間とそっくり同じに見えるのか説明できるか? 祖母の話では、ヤツらは五メートルの紫色の多肢の怪物だった。それは嘘なのか?」
「そうは思わない。ここにいる間に話した人々はみんな、同じ話をしていた。まさにお前が今話したのと同じだ。紫色の高い怪物。もしそれが嘘なら、これまで一度も会ったことのない大勢の人間が同じ描写をするはずがない。」
「ふむ。じゃあ、おばあさんは嘘をついていなかったのか? すまなかった。」アキラは小声でつぶやいた。
「何て言った?」トーマスはアキラの顔に寄りかかっている男性の言葉が聞こえずに聞いた。
「いや…独り言だ。気にしないで。」
その後、男たちは医務室に着くまでの長い時間、心の内を話し合うことができた。道中、アキラは新しい友に、妹のリナが連れて行かれた飼育室や、何か戦いについて尋ねた。また、これらの壁の外の世界についても聞いた。しかしトーマスは最初の二つの質問にも後の質問にも答えられなかった。自分たちが今いる場所「動物園」についてしか話せなかった。
「ここは最も美しく魅力的な人間のための場所だ。普通は誰でも入れるわけじゃない。まあ、お前は別だが。ハハ。」トーマスはアキラをからかって言った。しかし彼の言葉には真実もあった。アキラがここにいるのは、エルザのおかげだからね。
「それはあまり友好的じゃないな。」アキラは少し傷ついた様子で返した。しかし、自分でも気づかないうちに、この一言とその前の会話全体のおかげで、アキラはエウドクリルに向けられた怒りから気をそらし、友とただ話すことでリラックスすることができた。
「ただ一つ覚えておけね。ここの人間は二十六~七歳くらいになると、性別を問わず連れ去られ、二度と姿が見えなくなる。それから数日後、新しい連中が連れてこられる。まさに数日前のアキラたちのようにね。」トーマスは言った。
「二十六か?トーマスは今何歳だ?」
「二十四だ。だからあと二年はあるよ。この場所の恐ろしい秘密を知るまではね。ハハ。」
「みんな生きているんだよな?」とアキラは目と声に希望を込めて聞いた。彼は、あの人たちが単にここから解放されたと信じて数年後に自分とエルザも同じようにされることを願っていた。
「まあ、俺はそんなに楽観的にはなれないな。あの連中は、特にドラディチョトルは、どうやって金を稼ぐかしか考えていない。俺たちのことなんてどうでもいいよ。だから、まだ金を生み出せる者を解放するとは思えない。もしかしたら飼育室か戦いに送られるのかもしれない。誰にもわからないな…」
聞き覚えのある言葉を聞いて、アキラは祖母が小さい頃の世界ではお金が主要な資源であり、それを稼ぐことが地球上のほとんどの人々の人生の主要な目標であり意味だったと話していたのを思い出した。その瞬間、アキラは初めて人間とエウドクリルの間に類似点を感じ、あまりに気持ち悪くなって、折れた腕で歩いている美しい庭園の赤いバラの花壇で嘔吐してしまった。
「おい、アキラ! 大丈夫か?! どうしたの?!」トーマスは新しい友達を心配してた。
「大丈夫だ。心配するな。何の問題ないよ。さあ、行こう。」アキラはトーマスに心配は無用だと説得しようとした。
「本当か? ちょっと休んだ方がいいんじゃないか?」
「大丈夫だってば。さっさと行こう。」
やがて二人の青年はドームの周囲にある金属製のドアの一つにたどり着いた。そのそばには二人の動物園の警備員が立ていた。ドアを開けてアキラを医者の診察室に案内した。トーマスと別れる前に、アキラは新しい友人に聞いた。
「あの医者、人間か、それとも宇宙人か?」
トーマスはためらわずに答えた。
「人間だよ。」
しかしそれは嘘だった。そしてアキラは、医者のいる部屋のドアが彼の前に開いたとき、それが嘘だとすぐに悟った。アキラは人間がどのように見え、どのような匂いがするかをよく知っていたし、宇宙人がどのように見え、どのような匂いがするかも知っていた。だから目の前の存在がどの種族に属するかを判断するのは難しくなかった。しかし、この点でアキラは例外的な人間だった。他のすべての人間が同じように、そして何より正確に、人間とエウドクリルを見分けられることできなかった。おそらくこの能力は、今日一日で、地球の侵略者に対するアキラの否定的な感情が限界に達したことで培われただろう。
しかし医者と二人きりになっても、アキラは何もしなかった。ただ黙って従順に医者の言うことをすべて実行した。診察の後、アキラの両腕にギプスがはめられ、錠剤を飲まされた。診察は三十分もかからずに終わった。
診察室を出て、警備員の一人に付き添われてドームに戻ると、トーマスが待っていた。彼はアキラの顔を見て、アキラが医者が人間だという言葉が嘘だったことを知っているとすぐに理解した。しかし互いに相手が理解していることを知りながらも、二人はその件については一言も発しなかった。今日も、明日も、その後も。
すると、すでに時間は午後二時をはるかに過ぎていたが、動物園の職員たちがアキラを迎えに来て、ヤツらのボスであるドラディチョトルのところへ連れて行こうとした。
トーマスはその状態の友を行かせたくなかったので、一緒に行くことを申し出た。三人のエウドクリルにとっては、無害な人間を一人連れて行くのも二人連れて行くのも同じことだったので、ヤツらは承諾した。しかしトーマスは着陸地点までしか同行させなかった。そこで友達らは一時的に別れなければならなかったが、アキラを同じ場所に戻すことを約束して、二人の宇宙人がアキラを連れて空へと舞い上がった。
着陸地点――それは、大きいで透明なカプセルがこのドームに上から侵入する場所である。来園者がこの美しい庭園を散策し、人間と接触するためのものだ。そのようなカプセルの一つを待って、二つの異なる種族を代表する三つの生き物がそれに乗り込み、急速に上昇した。
もちろん、アキラにとってこれらはすべて初めての経験だった。そして彼は、祖母がそんな技術について一度も話したことがなかったことに二重の驚きを感じた。しかしそれも無理はない。これらの技術はエウドクリルたちが以前に征服した惑星の一つから持ち込んだものである。そして医者の診察室でアキラがもらったあの錠剤も同じだ。
七十メートルの高さまで上昇すると、アキラたちはドームの頂上に達した。それは庭園で最も高い木よりも十五メートル高くそびえていた。驚いたことに、ドームの頂上にはドアも透明な壁もなかった。だからこの構造物をドームと呼ぶのは正確ではない。それは、最も高い地点に半径五メートルの開口部があるドームと表現できる。
三人乗りのカプセルで飛び出し、アキラはついに二十一世紀最後の十年間の地球がどのように見えるかを目の当たりにした。だから彼は空中にいる時間を最大限に活用しようとした。しかし、アキラが特に重要な情報を得たとは言えない。
動物園に住む人間たちの自由なエリアを囲む透明なフェンスの周囲は、それは太陽の光を少し反射して歪めていたが――ただの森と野原だけだった。遠くに何かアキラが初めて見るものがかすかに見えたけどそれは何かと特定できなかった。後でドラディチョトルとの会合から戻る途中、アキラはそれが自分のドームに似た何かであることに気づいた。あの場所からも似たような太陽の光を反射する光線が発せられていたからだ。
カプセルが地面から離れてから十分後に地上に降りると、アキラは黒くて長い車に乗せられた。その名前を彼はもちろん知らなかった。しかし2026年に生きていた人々には「リムジン」として知られていた。それに乗ると、アキラの目の前に現れたのは、派手なピンクのスーツに金の鎖、指輪、時計を身につけた宇宙人だった。周囲のエウドクリルたちに自分がどれだけ金を持っているかを示しているかのように。
ヤツは口から何か長い茶色いものを取り出すと煙が出てきて、その後言い始めた。
「俺がドラディチョトルだ。お前の上司…いや、主人だ。時間がないので本題に入るよ。お前には剣闘士の闘いに行ってもらいたい。」
「剣闘士の闘い?」
「そうだ。昨夜あのクズをボコボコにしたおかげで、お前は多くのエウドクリルに気に入られ、インターネットで人気になった。で、彼らは俺にお前を剣闘士の闘いに送れと言ってきているよ。」
「エウドクリル?なにそれ?」とアキラは友人への侮辱を無視して聞いた。
「ああ、知らなかったのか? ハハ。俺たちのことだ。俺と、お前をここに連れてきたあの二人だ。それはお前たち人間と同じだが、俺たちの種族は自分たちをエウドクリルと呼んでいるよ。」
ついに、アキラの頭の中で形成されていたイメージが形を得た。アキラは初めて、自分が憎む相手の顔と名前を一致させた。「エウドクリル」――その言葉は永遠にアキラの脳に刻み込まれ、死ぬまでそこにあり続ける。
そして驚くべきことに、彼の記憶の隣の棚には別の言葉が収められていた。それは「エルザ」だった。こちらの言葉が同じ文字で始まり、それらに関連する感情が同じコインの表裏であっても、アキラは決してその二つの側面のうちの一方を裏切らないと決意した。たとえそれがもう一方を犠牲にすることになっても。
「 いつ闘う準備ができる?」
「でも俺は闘いたくない。」
「どうやら貴様は、誰と話しているのか理解していないようだな! 問題はお前が望むかどうかではない! 俺はお前が闘うと言っている、つまりお前は闘うんだ! 他に質問は?!」この小汚いガキが、ドラディチョトル自身に比べればただの砂粒に過ぎないのに、よくもそんな口をきけるものだと、強い苛立ちと完全な理解不能をもって、アキラの向こうに座るエウドクリルは言った。
「俺は両腕を骨折したところなんだ。治るまでに一ヶ月か二ヶ月は必要だ。」と青年は、その間に何とか策を講じようと願って答えた。
「それを心配しているなら、心配無用だ。今夜には新品同様になる。」
「え? でもどうやって…」とアキラが言い終わらないうちに、主人はアキラが去るべきだと念を押した。
「時間がない、さっさと俺の視界から消えろ! 明日の朝、俺の部下がすべて説明するから。」
「ちょっと待っ…」またしても最後まで言うチャンスも与えられず、アキラが車に乗ったのと同じドアが開き、彼をここに連れてきた動物園の職員のうちの一人がアキラの襟首を掴んで車から引きずり出した。
アキラは同じ方法でガラスのオニオンに戻り、連れて行かれたのと同じ着陸地点に着陸した。そこにはトーマスが待っていた。
エウドクリルたちは青年たちを解放し、彼らの視界から消え去り、二人きりにした。折れた腕の青年は、過去三十分間に起きたことを友達に話し、自分の頭の中で説明のつかない空白を埋めようとした。
しかし二つの頭を持っていても、アキラは謎のうちの一つしか解けなかった。それはドラディチョトルの言葉、今夜までに腕が治るというものだった。トーマスが教えてくれたところによると、あの医者が与えた錠剤は、数時間でどんな傷や骨折、傷跡も治してしまう。小さな切り傷なら数分で完治する。
残りの謎はすべて、依然として解かれないままだ。トーマスがアキラを家まで送り届けた後、別れを告げ、早い回復を祈って言った。
「また明日ね!」
同じ返事が返ってきた。しかしアキラが家に入り、エルザに電話をかけようとした時、アキラは彼女の朝の頼みを思い出した。そして今、この広い家に一人で残され、誰とも話すことができないアキラは、人生で初めて孤独を感じた。これまでは、今にいる寝室ほどの大きさの小屋に、両親、祖母、そして弟と妹と一緒に住んでいた。
今は、誰のところにも行けず、誰とも話せないアキラは孤独になった。彼は今自分が感じている感情が何という名前か知らなかった。だから一瞬もためらわず、彼はこのクソッたれの家からも、自分を狂わせるこの呪われた感情からも逃げ出すことにした。もちろん、彼が走るべき道はただ一つだった。その道には迷いも分かれ道も曲がり角もなかった。ただアキラを目標へと導く真っ直ぐな道だけがあった。
庭園の直径を走り抜け、アキラはついに目的地に到着した。途中で息を荒くなったり、喉が乾いたり、心臓は狂ったりほど早いペースで走っていた。そして、骨が癒えたときに自然に落ちた二つのギプスを失ったアキラは、手にまったく痛みや不快感を感じず、途中からペースをもっと上げて、予定より三分早くエルザの家に到着した。
ベルを鳴らすと、すぐに大きな足音が近づいてきて、ドアが開く直前に止まった。エルザは恋人の顔を見ると、もう内側から蝕まれていた感情に耐えられず、アキラの胸に飛び込んだ。恋人たちはその姿勢で数分間過ごした後、ようやく最初の言葉を交わした。
「エルザ、トーマスが昨日何が起きたか話してくれた。エルザのことを守れなくて本当にごめん。エルザが俺に怒る権利があるのはわかってる。でも…」
「違うの! そうじゃないの!」エルザはアキラの言葉を遮った。
「最後まで言わせてくれ。」アキラは落ち着いた声で続けた。「エルザは怒ってもいいし、恨んでもいい。でもただ、君にだけは知っていてほしい。俺は…」
「あなたは全部間違って理解していない! 今朝私がアキラと話さなかったのは、あなたを怒っているからじゃない! その逆なの…私はもうアキラの目を見る権利がないって!」とエルザは叫んだ。
「え? でもなぜ?」エルザの言う意味がわからず、アキラは言った。
「私…私は…あなたを裏切ったの…他の男と浮気したの。ごめんなさい…」エルザは声を落として答えた。
それを聞いてアキラはますます強く彼女を抱きしめ、家の中に入ろうと提案した。そこで二人は会話を続けた。彼女の話によると、アキラはトーマスが話さなかった詳細のいくつかを知った。アキラが気絶した後、残りの六人は誰も宇宙人の要求に従おうとしなかった。耐えきれなくなった動物園の職員たちは長い鞭を取り出し、命令に従わないアキラの同族たちを打ち始めた。このパートも観客には主要な芝居に劣らず気に入られ、数回の打撃の後、主要な芝居も始まった。
「アキラは信じないかもしれないけど、私たちは何か錠剤を渡されて、一時間もしないうちに体の痕跡が全部消えたの。今でも信じられなくて、どうしてそんなことが可能なのかわからない。」
「信じるよ、エルザ。」
「どうして?」
「ま~、エルザの言葉なら何でも信じるつもりだし、それに、今朝両腕を骨折したけど、あの錠剤のおかげでもう治ったんだ。」
「何? 腕を折ったの? どうして? 誰が折ったの?」エルザは大きな心配と不安の声で言い、優しくアキラの手を取って調べ始めた。
「そんなに心配しなくていいって。もう大丈夫だから。エルザはどうだ? 痛かったの?」
エルザは、昨夜起きたすべての真実をアキラに話すだけでも精一杯だった。もうそれに戻りたくなかった。だから彼女は目を閉じてうなずいた。
彼女のあまりにも可愛らしい様子を見て、アキラはこらえきれずに立ち上がり、エルザの肩に手を置き、キスをしながら優しく彼女をソファに押し倒した。その後、二人の恋人は初めて愛し合い、アキラはエルザの家に泊まった。
今夜、三十八人の人間がそれぞれの家で眠りについた。でも朝には三十七人だけが自分のベッドで目を覚ました。トーマスは二度と誰にも見られることはなかった。
読んでくれてありがとう。




