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だいたい居る人

――帝国暦三二一年・夏終盤 東ロンバルディア帝国騎士団領 第七騎士団 本庁――


「クリス」

「なんだ!」

「これ確認しろ」

「はいはい」

 自然だった、あまりにも。


 ココが静かに止まる。

 目の前。

 完全武装の男が、書類を抱えていた。

 かなり違和感があった。

「……クリスさん」

「ん?」

「騎士団の中隊長ですよね?」

「そうだな」

 普通に答える。

「……なぜこちらに?」


 クリスが止まる。

「……なんでだろうな?」

 本人も分かっていなかった。


 ■第七騎士団 本庁・執務室

 レオンは普通に書類を渡してくる。

「これも頼む」

「お前、俺をなんだと思ってんだ」

「クリスだ」

「そうだけどよ!!」

 だが受け取る、慣れていた。


 一方、ココは静かに見ていた。

 完全武装。

 騎士用長剣。

 軍靴。

 中隊長章。

 なのに。

 やっていることは書類整理だった。

 おかしい、かなり。

「……事務官では?」

 小さく呟く。


 その横。

 フィアナが頷いた。

「私も最初、事務官だと思ってました……」


 クリスが即答する。

「武装した事務官はいねぇよ」

 正論だった。

 だが、説得力はかなり薄かった。


「でも書類運んでますよ?」

 ココが静かに言う。

「……運んでるな」

 クリスも認めた。


 一方、ニルは笑っていた。

「ガハハ!! 便利すぎるだろこの人!!」

「笑うな」

「中隊長ってもっとこう!!」

 ニルは腕を組む。

「前線で指揮してるイメージだったぞ!!」

「俺もそうだったんだよ最初は」

 遠い目だった。


 ■第七騎士団 本庁・廊下

 その後。


 レオンが普通にクリスを呼ぶ。

「クリス」

「今度はなんだ」

「南の件で少し相談したい」

 一瞬、ココが止まる。


「……相談もするんですね」

「するな」

 ヴァルトが頷く。

「かなりする」

「なんで中隊長に……」

「知らん」

 ヴァルトも即答だった。

 かなり適当だった。


 ■第七騎士団 本庁・資料室

 さらに数十分後。


「クリス中隊長」

 エリシアが資料を持ってくる。

「第六中隊から確認連絡です」

 一瞬にして、クリスが止まる。


「……俺第六だっけ?」

 空気が止まった。

「えっ!」

 リリアが固まる。


「お前、自分の中隊忘れたのか?」

 ヴァルトが呆れる。

「いや最近戻ってねぇから……」

「戻ってください」

 エリシアが静かに言う。

 かなり正しかった。


 ■第六中隊・訓練場

 一方その頃。

「中隊長?」

「見たことないですね」

「名前は知ってます」

「強いらしいです」

 そんな扱いだった。


 ■第七騎士団 本庁

 第六中隊・訓練場から戻る。


 クリスはまた書類を運んでいた。

「……やっぱ事務官では?」

 ココが小さく呟く。

「違ぇよ」

「騎士だ」

「相談もするし、書類も運ぶけどな」

 かなり終わっていた。


 リリアが小さく笑う。

「クリスさん、昔からずっとここに居ますよ?」

 自然だった。

 まるで家族みたいに。


 ココが少しだけクリスを見る。

 少しだけ。

 警戒度が上がった。


 そして、レオンはまた言った。

「クリス」

「……今度はなんだよ」

「こっちも頼む」

 クリスは天井を見る。


 もう、だいたい居る人だった。

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