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[二部九章]いたくて、あつくて、くるしくて。

まぁなんとなく分かるでしょう。とある人物のお話です。


痛い。


苦しい。


熱い。


何もかもが焼けるようで、悲鳴すらも上げることができない。


そんな僕を、“主”は嗤う。


たすけてと懇願しても、その言葉は届かない。


涙を流して嘆いても、苦しみは終わらない。


この苦しみが始まったのはいつからだっただろうか。


ぼくが生まれ育った場所は、すごく寒いところで、毎年毎年狩りをして獲る獣たちが年間の食事量となっていた。


足りない分は、仕事ができなくなった人たちを食事にした。


だから僕らの部族は、ずっと飢えに苦しんでいた。


その年、一番初めに食事とされたのは、一番年を老いた老人だった。


それから、怪我をして狩りができなくなった青年。


動物の皮を(なめ)すことのできなくなった少女。


そして、ある日、“主”が訪れて、ぼくの手を取った。


「彼を捧げてくれれば、今後君たちの部族が飢えることは無いようにしてやろう。」


“主”はそう言った。


ぼくは、なんだかその“主”の纏う雰囲気が好きじゃなくって、みんなに止めるように伝えた。


けれど。みんなは、ぼくを捧げることを選んだ。


だって、一人の犠牲で、今後犠牲者が出なくなるんだったら誰だって飛びつくだろうから。


そこからの記憶は曖昧だった。


知らない場所に連れてこられて、“何か”をされた。


その瞬間から、ぼくの身体はぼくの物ではないような感覚に陥った。


あつい。


くるしい。


しんぞうが、のうが、けっかんが、ぜんぶが、燃えているみたいだった。


いたい、いたい、いたい、いたい


ずっと叫んでいたのに、“主”は嗤ってそれを見るだけだった。


痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いたすけて痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


終わりのない苦しみ。


ある日、“主”が言った。


「苦しいのをやめたいか。」


ぼくはうなずいた。だって、いたいのはもういやだったから。


すると、“主”は一枚の写真を見せつけてきた。


そらと、おなじいろのこ。


「この子に助けを求めれば、もう痛くなくなる。」


そう、“主”がいった。


だから、たすけて、たすけてと、そうこころのなかでさけびながら、あのおんなのこをさがした。


みつけたとき、おんなのこはぼくをしんぱいしてかけよってきてくれた。


けど。


「‥‥‥‥ぇ、」


ちいさなこえとともに、おんなのこはまっかにそまった。


ぼくのいたみは、くるしみは、おわらなかった。


どうして。


どうして、どうして、どうして、どうして、どうして


だれかにきこうにも、こえがでない。


たすけて、だれか、あのこと、ぼくを、たすけて。


こぼれるなみだすらあつくって。


くるしくて、くるしくて、くるしくて、


もう、おわりたくって。


そんなふうに、まちをあるいていたら、“主”のこえが、きこえた。


「よくやった。」


だったら、もういたいのはおわりでしょ?


そういいたかったのに、こえがでなかった。


そして、“主”のこえは、つづけた。


「だからもう、おまえはいらない。」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


いたいのは、くるしいのはおわるんじゃなかったのかと


いくらそらにむかってさけぼうとしても、こえがでなかった。


あつい。いたい。くるしい。


そうして、ぼくはそらにむかってさけんだ。


ころしてくれと、こえにならないこえでさけんだ。


けれど、もうなにもかえってこなくって。


あぁ、だまされたんだと、そのときはじめてきがついた。


みんなは、どうなったんだろうか。


けれど、もうだんだんとあたまがまわらなくなっていって。


たすけをもとめたおんなのこ、そらのいろのこ。


あのこのことがふと、あたまにうかんだ。


いたかっただろうな。


くるしかっただろうな。


ごめんなさい。


ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。


こぼれるなみだがすごくあつくって。


いたくって。


ぼくはそらにむかってさけんだ。


こえは、でなかったけれど。


おねがいだから、だれかたすけて、って。


あのこのことも、ぼくのことも、たすけてって。


でも、そらはなにもいわない。


だから、またぼくはないた。


ないて、こぼれるなみだのあつさで、またいたくって。


こえにならないひめいをあげつづけた。


おねがい。


おねがい。だれか。


だれか、たすけて。


もういやなんだ。くるしいのも、いたいのも、あついのも。


ぜんぶぜんぶ、いやなんだ。だからもう


ころしてくれと、ぼくはそらにむかってさけんだ。






この子が今後どうなるか。

まぁ、流れで大体わかると思います。

だって、それらに抗うのがあの子だもの。

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