[二部九章]合流
やーーーっと合流ですよ。長かった‥‥‥‥‥
あれからしばらくして。
そろそろ何か情報があるんじゃないかと思った頃。
「おい、ノワール。お前羽なんか飛ばした?」
そう伽羅繰様に言われて、不思議に思いながらも作業部屋の方へと向かうと、天使の物らしき羽に括りつけられた手紙を持った伽羅繰様が立っていました。
『えー、私ではないですね、間違いなく。‥‥‥‥‥気配的にはマスターのお姉様でしょうか。
でしょうか。それにしても天使とは‥‥‥‥こう、相性が悪いので触れるのが躊躇われますね。』
そう告げると、さっさと羽から手紙を外し、中身を読み始める加羅繰様。
「あ、お前当てっぽいぞ。何?天使としての魔力は、手紙が着く頃には尽きてると思うから触れても大丈夫‥‥‥‥‥天使の知り合いなんかいたのか?お前。」
『えぇ、まぁ。前にお話ししたマスターの姉君に当たる人物が、天使としての特性をお持ちなのです。それで、何か続きがあるのではありませんか?もしよろしければそのまま読んでいただけると助かるのですが。』
流石に、万が一残った天使の力に触れてしまったらちょっと火傷しましたじゃ済みそうにありませんからね。
「おー、いいぜ、何々、‥‥‥‥‥‥‥‥お前のマスターである、天音 葵が天上からの刺客により負傷、現在意識不明のため、アカイム街、寿図書館に集合すべし‥‥‥‥‥‥?なんだこれ、めちゃくちゃ物騒じゃないか?お前のマスターってやつ、強いんだろ?それに、天上ってどこの事だ?天国か何かか?」
『‥‥‥‥‥‥色々と、話さないといけないことがありそうですが、とりあえず空間をその図書館に繋げます。マスターが怪我、しかも意識不明となれば、私は即座に馳せ参じなくてはなりませんから。』
そう言うと、小首をかしげながらも頷く伽羅繰様。
「んで、準備とかはいるのか?」
『いえ、このままで平気です。すぐに繋げますから。そして、術が発動するまでの間に先の問いにお答えしましょう。まず、マスターについてですが、マスターは天上、先ほど言った天国という言葉が正解になりますが、そこにいる神々が創った存在で、少々特殊な方なのです。そして、強さは私を優に超えるでしょうね、実際、正面切って戦ったのに負けましたし。』
「‥‥‥‥‥えぇ‥‥いや、そもそもお前の強さが分かんねぇから何とも言えないけどさぁ‥‥‥」
ふむ、と少々伽羅繰様に分かりやすいような例えを探してみる。
神話生物、は未だ出会っていないでしょうし‥‥‥‥‥あぁ、一つ分かりやすい例がありましたね。
『日本には、自衛隊、という軍に近い組織があると聞きました。その自衛隊とやらが固まって私と対面しても、私は一瞬でその自衛隊の方々を殺すことができます。それこそ指先一つで。』
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥スケールデカすぎて逆に分かんなくなった。つまりめっちゃ強いって事?」
ふむ。この例えくらいしか浮かばなかったのですが、まぁ仕方がありません。
私は素直に頷いて、軽く空中から外套を取り出して外出の準備を整えることにしました。
『そうですね。では、少々その図書館へ行ってまいります。そんなに時間はかからないと思いますが‥‥‥‥ちゃんとご飯は食べてくださいね?冷蔵庫に保管してありますから。』
「分かった分かった。ちゃんと食うから。気ぃつけてな~」
そう言って作業に没頭し始める加羅繰様。
さて。寿図書館。‥‥‥‥あの、マスターと共にいるように託した青年の姓が確か寿でしたね。
そこが拠点となる、と言ったところでしょうか。
まぁ、考えても仕方がないので向かうんですが、ね。
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はー‥‥‥‥‥緊張してきた。
なんだっけ、内亜はよく覚えてるけど、ノワール、とかいう悪魔の王様?なんかもいたっけ。
それ以外には誰も来ないと思うって未希さんは言ってたけど‥‥‥‥
「んば。」
『っわぁぁああ!?』
足元の影からぬっと内亜が顔を出してきたのに本気で驚いておかしな声を上げてしまった。
「えっと‥‥‥ごめんなさい、そういうのはやめた方がいいよって言ったんですけど‥‥‥」
正面から声がして顔をあげて、つい固まった。
『葵‥‥‥‥‥‥じゃ、ないね。君は?』
葵とそっくりの外見。けれど薄いミントグリーンの瞳と髪は、葵とは全く違う。
きっと彼女が、件の少女なんだろう。
「ティナ、です。内亜さんと一緒に、葵さんの事を聞いて来たんですけど‥‥‥やっぱり場違いですかね‥‥‥?」
そう問いかけてくる彼女はとても気弱そうで。
一瞬葵と見間違えたことが悔しくて、でもその気持ちは内心だけにとどめておく。
『ううん。大丈夫だよ。この馬鹿みたいに急に現れたりしないで置いてくれてるあたり、ちゃんとした人‥‥‥‥‥人?なんだなって思うし。』
「それは良かったです。じゃあ、ちょっとだけ失礼しますね。」
そう言って彼女、ティナはしゃがむと、僕の影に手を突っ込んで内亜を引っ張り出す。
「あいたたたたた!!!ちょ、ティナ、やること雑、雑!!」
『よしもっとやれ(少しくらい手加減してあげたら?)』
「文人!!お前本心と建前が逆!!」
そう言って少し騒がしくなった頃。カランカラン、とclosedにしてあるはずの図書館の出入り口が開く音がした。
「全く。騒がしいのは全く変わりませんね、内亜。もう少し品性という物を学んでは如何ですか?」
『あ、えっと、ノワールさん。』
そう声をかけると、悪魔の王である彼は深々とお辞儀をしてにっこりと微笑みかけてきた。
「はい。お呼びいただきましたので馳せ参じさせていただきました。ノワールです。」
「うっわぁその猫かぶり本当に見てて吐き気がするんだけど」
「ふふ、知っていますよ。貴方が何をしていたか。あぁ、マスターも呆れ返るでしょうねぇ。」
「はー???何ストーカー?気持わっるいんですけどぉー」
「ふふ、マスターの従者として、いついかなる時に他の従者がまずい事をしでかさないか監視をするのも役割の一つだと考えておりますが故。」
『えーっと、とりあえず、みんな静かにしてくれない?ちょっとくらい情報の精査させて‥‥‥‥』
そう言うと、みんながシーンと静まり返る。‥‥‥‥逆にやりづらい。
「はいはいー、じゃ、とりあえず葵のところ、連れてってよ。話はそこで聞こう。」
そう内亜が提案する。普段は空気読めない発言しかしないくせに、ちゃんと発言できるのかと少々驚く。
「駄犬に賛成するのは癪ですがそうですね、そう致しましょう。‥‥‥では、案内をよろしくお願いしますね?」
そう言われて頷き、僕らは葵の眠る部屋へと向かう。
とはいえまだまだ先に出てくる予定の人とかいっぱいいますからね、さてさてこれからどうなることやら。ちなみに明日は幕間(?)×2です。よろしくお願いします。




