表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
168/246

[二部九章]文人の想い

タイトル通りです。


未希さんに言われてから、僕は彼女が地方に散らばった仲間に連絡を取ると言いながら手紙を書き始めたのを見てから、眠っている葵を見つめる。


(僕が、もっと強かったら。)


きっと彼女を守れたかもしれないのに。何か、もっと何かできたかもしれないのに。

‥‥‥‥‥悔しい。

初めて、こんなに好きになった女の子がこんな状態になるまで、何一つできなかった自分が恨めしい。


(何やってたんだよ、僕は‥‥‥‥‥!!)


ぐっとこみ上げてくるものを堪えていると、要兄が声をかけてきた。


「文人。」


要兄を見上げてみると、いつも通り何を考えているのか分からないような表情をした要兄が、包帯を差し出してくる。


『え、何‥‥‥‥‥?』


「手、見てみろ。」


そう言われて素直に自分の両の手を見てみる。‥‥‥‥強くこぶしを握り締めすぎて、爪が食い込んだのか、血が滲んでいる。


『‥‥‥‥‥ありがと、要兄。』


本当に、何をやっているんだ、自分は。

そう思いながら、差し出された包帯と脱脂綿を使って傷の手当てをする。


「お前は何でも器用にこなすが、案外直情的なところもあるからな。それが悪いとは言わん。が、できることがないわけじゃないんだ。未希に言われてた奴に連絡とるのだって、お前にしかできないことなんだろう。ならさっさとそれをこなすことだな。‥‥‥‥‥色々考えるのは、その後にしておけ。」


そう言われて、何も言えない、何も言い返せないことが悔しい。でも。


(要兄の、言う通りだ。‥‥‥‥八代先生に連絡しないと。)


席を立って、病院の敷地内でスマホを取り出し、八代先生へと電話をかける。

‥‥‥‥何コール目かは忘れたけれど、少ししてから八代先生が出る。


「もしもし?あんたが連絡してくるち言うことはなんかあったん?」


そう言われて、ぐっと唇を噛みしめてから、ゆっくりと事の発端、それから葵の現状を話す。

一通り話終わると、暫くの沈黙の後、八代先生が電話の向こうでため息をついたのが分かった。


「—————葵が意識不明?」


『‥‥‥‥はい。』


「あんたが付いていながら?」


ぐ、っと、スマホを持つ手に力がこもる。


『‥‥‥‥‥‥‥‥‥はい。』


何とか込み上げてくる感情を抑え込みながら、話を続ける。


『それで、ですね。暫く、休学させてもらえませんか?‥‥‥自宅が、彼女の、葵の仲間が集まる拠点に、なるのに丁度良いだろうって、葵のお姉さんが。』


「ほん。‥‥‥あー、なんか見たことあるかもしれんわ。あの病院の小娘か。」


なんと。すでに面識があったとは。少し驚いたけれど、ちょっとだけ考えなおしてみる。

そう言えば、妖刀を探しに行くときに、葵が行方不明になった生徒についての事件を八代先生に任せていたことを思い出す。‥‥‥‥その時に出会ったのかもしれない。


『多分、そうだと思います。‥‥‥‥それで、休学の理由、他にもあって‥‥‥‥葵を襲った人への対抗策を組むためと、僕の安全のため、です。』


葵が危険な状態なのに、自分の安全のため、なんて言葉が出てくるのがおかしくて、バカバカしいな、と思ってしまう。けれど、そうしないといけないと諭してきたのは、他でもない葵の姉の未希さんだ。

自分でも、今の自分はちょっと冷静さを欠いていることくらいわかる。だから、彼女の言葉に素直に従おうと思った。対抗策を組む、っていうのは、それを踏まえたうえで、ボク自身にも何かできることがあるんじゃないかと考えたからだ。


「ほー、あんたの安全のためち言うんは分かった。けどなぁ。‥‥‥‥対抗策の方は、あんたがやる必要あるんか?それ。」


ぐ、っと、言葉に詰まる。

先生の言う通りだ。

きっと、僕が何もしなくっても、葵の仲間や未希さん達が何か対抗策を考えてくれるはずだ。

でも、でも‥‥‥‥‥!!


『っ、僕だって、悔しいんです!あの瞬間、何もできなかったことが‥‥‥‥‥!!見ているだけしかできなかったことが!それに今、僕が他の人に何もできない、葵にも何もできないことが‥‥‥‥‥凄く、悔しいんです‥‥‥‥っ』


「‥‥‥‥あー、既視感あるなぁ。」


『‥‥‥‥え?』


一瞬あの瞬間の事が頭に浮かんで、先生の言葉を聞き取れなかった。

何を、言ったんだろうか。


「いんや。なんでもあらへんよ。あんたはその葵の姉に言われた通り、自分の身守っとき。」


暫くの沈黙の後、付け加えるように先生が言った。


「‥‥‥‥あんたが無事でいる事。それが、葵が目を覚ました時の最善やろ。現状あんたができる、最善の策や。」


『‥‥‥‥‥‥はい。』


どこか優し気な先生の声を聞いて、少し、気持ちが落ち着いた気がする。

‥‥‥‥‥‥先生にも、いろいろな事情があったんだろうか。聞いてみたいけれど、今はそれを聞くときじゃないことくらいわかる。


「もし、力が必要なら‥‥‥」


『え?』


「まぁ、そのお相手にもよるかもしれんけど。力が必要になったら、そん時は呼びはって。」


『‥‥‥‥‥‥はい。』


そう答えると、通話が切れる。

‥‥‥‥‥‥先生は、案外優しいんじゃないだろうか。

葵と一緒にいる時や、授業を受けているときは、厳しくて、厳格な人だと思っていたけれど。

最後の言葉には、僕に対する優しさが感じられた。


(自分の最善‥‥‥‥‥か。)


少しだけ、気持ちが落ち着いた気がする。

包帯を巻いた両の手を見てから、僕は苦笑して、帰る前にもう一度葵の顔を見てから帰ろうと思い、病室へと戻る。





要さんと文人さんの関係は結構良好な方です。

方や対人関係が得意で方や対人関係スキル皆無とか言う正反対の性格ですけど。

やー、そう言えば要さんの外見を出していないことに気が付きました。どっかで描写ぶち込みますが銀髪金目です。APP18です。

そのうち獅噛が書いてくれるはず(チラッチラ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ