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天上から。


あぁ、全く以て面白くない。


あれだけ手をかけて、感情のない殺戮兵器に仕立て上げて、気に入らない者どもを徹底的に排除しようとしたのに。


一度感情を得て丸くなってつまらなくなったから、他の神をけしかけて“四番目”を作って、お気に入りの“三番目”に当ててみた。


本来ならそこで、折角見つけた三番目の感情も記憶も全部消してまた自分好みに仕立て上げようとしたのに。


余計な知恵をつけたのか、三番目は四番目を一緒の個体としてでなく別々の、それぞれ独立した個体として確立させてしまった。つまらない。


一番目が反旗を翻してきて、二人ほど再起不能になった神がいたけどそんな連中、どうだっていい。


自分の娯楽がこの世の全て。それで良いと思っているし、それが正解だ。

だって、自分は、自分たちは神なのだから。


あぁ、そういえば一番目が反旗を翻す前に、プログラムに細工をして妹達を助けようと動いていた気がする。


まぁ、無駄な動きだと思う。


多少の遅れは出るが、自分たちが自ら手を出せば、すぐにでも解決する問題だからだ。


そんな事よりも問題は別の神々だ。


自分がやろうとしていることに勘付いたのかは知らないけれど、余計な横やりばかり入れてくる。


自分が直接手を下して、“あの時のように”、三番目のあの苦悶に歪んだ表情が見たいのに。


一番目はダメだ。だって、純粋な竜種としての特性が強すぎて、自己が確立してしまっているから。


二番目もダメだ。だって、治癒の能力が高すぎて、実験して痛めつけて楽しむ前に、傷が回復してしまって苦悶の表情を見せてはくれないから。


三番目がちょうどよかった。


とりあえず全部混ぜてみたら、奇跡的にバランスを保って、けれど痛覚などの感覚はしっかりとあって。一番痛めつけがいがあって、愉しみがいがあった。


なのに、一番目が二番目と三番目を逃がしてしまったから。


二番目はすぐに見つかったけれど、回収する気はなかった。


だって、つまらない失敗作だから。


三番目を探したのに、三番目は長い間ずっと見つからなかった。


見つかったころには感情を得てしまっていて、あの頃の純真無垢な三番目では無くなってしまっていた。


純真無垢な、穢れを知らない三番目を痛めつけるからこそ愉しかったのに。


だから四番目を作ってぶつけたのに、それも三番目と二番目に邪魔された。


だったら“次の手”を使うしかない。


だって、あれらは俺の玩具なのだから。


多少壊れたって問題ない、すぐに修復できる。


今の三番目は理想に少し近くはなったけれど、けれどそれを治そうとしてしまっている。


それじゃいけない。面白くない、つまらない、愉しくない。


あいつは、葵は、俺を愉しませるための玩具でなくてはならない。


『さて、と。できたかなー、っと。』


本当なら俺が直接出向きたいけれど、少々他の神々に見張られていて難しい。


だから、“新しいもの”を作った。


敢えて知恵をつけず、あいつらが庇護したくなるような存在に仕立て上げた。


だから、絶対あいつらは引っかかるはずだ。


培養液の中で眠る、少年の姿をした“新作”を見つめながら考える。


さて、どうやってぶつけてみようか。


そのまえに、この新作に名前を付けないといけない。


‥‥‥‥‥


よし、決めた。


その名前を培養液の中の少年の脳に直接インプットさせて、じっと様子を見守る。


彼は全く動かず、ただただ与えられた力を発揮する為だけに、その準備のために眠っている。


彼に与えた力は、最近お気に入りの神話から抽出してみた。


“魔王”。そう呼ばれる存在の力を出力できるように調節された少年の姿をした新作。


さて、あいつらはどうやって対応するんだろうか。


『あーあ、愉しみだなぁ。』


思わず零れる言葉。歪む口元。


零れそうになる嗤いを堪えて、新作をあてた時の反応を想像してみる。


あぁ、本当に愉しみだ。


新作がもしも三番目を壊してしまったら、そのまま持ち帰らせよう。


そして“ちゃんと”直して、また遊ぼう。


あの可愛らしい絶叫を思い出して思わず震える。


『あーあ、早く会いたいなぁ。』


そのためにも早く新作の調節を終わらせないといけない。


歪んだ一柱は、その新作を見つめて不気味に微笑む。


彼女たちはまだ知らない。


自分たちが見つかってしまったことを。


彼女たちはまだ知らない。


“本当の恐怖”を与える存在がどんなものなのかを。


異形でありながら人間達と折り合いをつけて生きている彼女たちはまだ知らないのだ。


ここからが本番。


別の場所では、死なない少女が傭兵として戦っていた。


別の場所では、死にたがりの少女がその日も自らの滅びを待っていた。


別の場所では、自覚した自身の力とどう向き合えばいいか分からなくなってしまい、けれどもそれを相談する相手がおらず、迷い子となった存在がいた。


別の場所では、一時の安息を本を読みながら過ごす少女がいた。


これは、彼ら、彼女らの物語。


決して重ならない、けれど隣り合って存在する世界で暮らす異形たちの物語。


異形だらけの世界のただ中で生きる者達の、物語。





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