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第27章

「……」

3人で迎えた朝。けれどルシェットは憂鬱な

気分のままだった。

「おはようございます。ルシェットさん、セ

ヴェル君」

「おはよう」

「……」

「ルシェットさん?」

「……うっ、うぇっ……」

(また最初の頃に戻ってしまいそうです。…

…何とかしなければ……)

「大丈夫です。僕ならここにいますよ」

「……そうか、それがお前のやり方か」

「セヴェル君?」

「そうやって、優しい態度をとってルシェッ

トを安心させて信頼を作る気だな」

「……そんな……」

「またそういう態度をとる気か。……気に

いらねぇな、そういう汚いやり方は」

「あぁ……僕は、僕はなんてことを……」

「ルシェット、しっかりしろ! 自分に負

けんじゃねぇぞ!」

「……セヴェル……」

「いつまでも落ち込んでんじゃねぇ、顔を

上げてしゃきっとしろ」

「……私は平気……。でも、エリュニスが

……」

「……僕なら大丈夫です。少し落ち着きま

した」

「……で、これからどうする?」

「依頼でも受けましょう」

「あぁ、ルシェットを英雄へと成長させる

ためだな」

「それは……確かにそうですが……」

「……セヴェル、あまりエリュニスをいじ

めないで」

「チッ……わかったよ。しゃーねーな」

「すみません、ルシェットさんに気を使わ

せてしまって」

「ううん、いじめがよくないのは本心だか

ら」


「ようこそ依頼所へ。仕事をお探しですか?」

「ああ、何かいいのがあるか?」

「それでしたら鳥集めをお願いします」

「妙に簡単な依頼だな。鳥を集めて籠の

中に入れればいいんだろ?」

「……はい、ですが鳥たちはちょっと特殊

でして魔法が効かない種類の鳥なんです」

「……全部自力で捕まえろって事か」

「そうなんです。そちらのお嬢さん、顔

色が悪いですよ」

「……いえ、平気です」

「そうですか? ではお願いしますね」


「あーあ、鳥集めか。しかも魔法禁止か」

「僕たちは魔法はかなり使ってきたんです

よね。特にルシェットさんはほぼ魔法に頼

り切りでしたから」

「……魔法、使えない。空を飛ぶことも

禁止って言われた……」

「魔法が使えないなら道具に頼ることに

なりそうだな。まぁ俺に任せておけって」

「……セヴェル、大丈夫なの?」

「これでも身のこなしはいい方だ。お前は

網でも持って待機しておけばいい。目の前

に鳥がきたら合図するから網を振り下ろせ

ばいいぜ」

「ありがとう。セヴェル……お兄ちゃん」

「はぁ? お兄ちゃんだなんて呼ぶなよ。

なんかこそばゆくて変な感じだぜ」

「早く捕まえましょう」

「ん? あぁ、そうだな」


「キーキー、ウコキキキッェェェ」

「こら待て! えいっ! 今だ! ルシ

ェット、捕まえろ」

「てやっ! ……よし捕獲完了したよ」

「こっちも捕獲しましたよ」

「魔法を使わなくても意外と簡単なんだな。

次の依頼は魔法を使わないっていうルールで

やってみたらどうだ?」

「それはいいですね。体力を鍛えるいい運動

になりそうです」

「ええっ……。私、魔法がないと……」

「そう心配するなって。いざとなったら俺らが

助けてやるって」

「そうですよ、危なくなったら僕がルシェット

さんを守ってあげますから」

「うーん、……でも……」

ルシェットが不安そうに顔を見上げると、エリ

ュニスの優しい笑顔とセヴェルの自信に満ちた

顔が見えた。

「……わかった、やってみる」

スタッフを握りなおしてルシェットはそう言った。

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