第20章
セヴェルと分かれた2人は暇をもてあまして
街中を散歩していた。
その中で雑貨店を見つけ、中に入っていった。
「いらっしゃいませ」
犬や猫の刺繍がされたタオル、ボールペン、
野菜や果物に似せた消しゴム、メモ帳などが
あった。
「何買う?」
「ええっと、メモ帳と鉛筆、消しゴムとタオル
を買いましょう」
「……タオル、色んな柄がある」
「どの柄でもいいんですが……選んでくれませ
んか?」
「……じゃあこれ」
ルシェットが選んだのはコスモスの花が刺繍さ
れた水色のタオルだった。花の色は白色で、清
楚な雰囲気がした。
「じゃ、これで会計お願いします」
「はい、ありがとうございました」
雑貨店を後にした2人は保存食の買い足しにきて
いた。
「いらっしゃいませー」
「干し肉と干し芋、ドライフルーツにチーズ、
クラッカーも買いましょう」
「結構沢山買うんだね」
「ありすぎて困ることはないですからね。何か
欲しいものはありますか?」
「クラッカーにちょっと飽き気味かも」
「それは仕方ないですね、そう言えばリリアンさ
んにもらった野苺のジャムがありましたね。クラ
ッカーに付けると美味しいですよ」
「じゃあそれで」
「他にも寄るところがあるので行きましょうか」
「うん」
保存食の買い足しを終えた2人は、冒険者の道具
が揃うといわれる通りに来た。
フック付きロープ、ランタン、コンパス等を買い
込み、通りを後にした。
「これでいつ依頼が来ても大丈夫ですね」
「うん……」
一通りの買い物を済ませた2人は貸し住宅へと
戻っていた。シャワーと食事を済ませた2人は
眠りについた。
その夜。エリュニスは目を冷まし、ルシェットを
起こさないように着替え、外に出た。
「……おや、エリュニスじゃないか」
「……兄さん……」
暗闇の中なので姿は見えないが、エリュニスの兄
と思わしき人物が立っていた。
「適合者のお守りも大変だな、今度は成功すると
いいが」
「兄さんの時には失敗したんでしたっけ」
「……それを言うな、警戒心が強くてな。お前の
子はおとなしくていい子ではないか」
「……まだなついてはくれませんよ」
「お前のことだからベタベタに甘やかしているんだ
ろう?」
「そうなんですか?」
「……まったく、お前の自覚がないというのはある
意味問題だな。成功するように祈っているよ」
「まずはなついてくれるまでですね。……成功、
するかはどうかはそこからです」
「まぁ、酒でも飲みにいくか」
「でも、ルシェットさんを寝かせているので帰ります」
「……はぁ、甘やかしすぎだなお前は」
帰ってくるとルシェットが起きて待っていた。
「……どこいってたの?」
「ルシェットさん……心配をかけたみたいですね」
そう言ってエリュニスがルシェットの頭を優しくなでる
とそれだけでルシェットは顔を真っ赤にそめた。
「心配した……」
「すみません。さあ寝ましょうか」
「うん」
そういって2人はベッドの中に入って眠った。
翌日。
朝食を食べている最中、ルシェットは眠そうに船を漕いで
いた。
「眠いんですか? ルシェットさん」
「……うん。ふぁ……」
「食べ終わったら寝てもいいですよ」
「……でも、エリュニスはどうするの?」
「僕は書類を纏めないといけないので起きていますよ」
「寝る……おやすみなさい」
「はい。さて……どこから手を付けましょうか」
ルシェットが起きた時、エリュニスは書類を纏め終わり
ミントの香りのするハーブティーを飲んでいた。昨日、
帰りに買ったものだ。
「おはよう、エリュニス」
「おはようございます」
「私、何時間寝てた?」
「そうですね……3時間ってところでしょうか」
「昼寝にしてはちょっと長めかな……あれ、薄荷の臭い
がする」
「ああ、ミントティーを淹れたのでその臭いですね。
ルシェットさんも飲みますか?」
「うん」
ティーポットからカップにミントティーを注ぎいれ、
ルシェットに差し出した。
ルシェットは受け取って一口飲んだ。
「喉がすっきりする……」
「美味しいですか?」
「……うん。美味しい」
「それはよかったです。今日はゆっくり休み、明日に
なったら依頼を受けに行きましょう」
「今日は自由に過ごせるんだね。何しようかな」
「……小説でも読みませんか? 本屋に行きましょう」
「うん、そうする」
「え、そんな展開なの?」
本屋で小説の立ち読みをしていた2人は店主に煙たがら
れていた。
「買ってから読んでくれないか」
「ああ、そうでした。……はい、お金です」
「どうも」
「ルシェットさん帰りますよ」
「うん」
貸し住宅に着いた2人は買った小説を読んでいた。
「今日の晩御飯どうする?」
「適当に作りましょう」
「今日は私が作る」
「いいんですか? ……じゃあ、お願いします」
エリュニスは本から顔を上げて話をするとまた本を読む
ことに戻ってしまった。彼がそっけない態度をとるのは
少し珍しい。それだけ小説を読むことに夢中になってい
るからだろう。
玉ねぎとキャベツ、ベーコンをバターで炒め塩コショウ
で味付けしたものに水を入れてスープにし煮込んだもの
とパンが晩御飯だ。
「できた……エリュニス、晩御飯だよ」
「あ、はい。分かりました」
「……いただきます」
「あ、野菜が甘くて美味しいですね。キャベツですか」
「うん、あと玉ねぎも入ってる」
晩御飯を済ませた2人はシャワーを浴び、ベッドで眠った。
翌日。朝食を済ませ、着替えを終えた2人は依頼所に向かっ
ていた。
「今度の依頼は何ですか?」
「……今度のはちょっと特殊でな。冒険者を目指す者向けに
学校が作られてな。そこで教師の手伝いをして欲しいとのこ
とだ。期間は3ヶ月てところだな」
「随分長いんですね」
「ああ、正式な教師が集まるまでの臨時というわけだ。あと
服代や食費、生活費は用意してくれるようだぞ」
「分かりました。受けましょう。ですが条件があります」
「なんだ?」
「僕とルシェットさんはペア扱いということにしてくれませんか?」
「ああ、そんなことか。適合者のお守りも大変だろうな」
「はい。よろしくお願いします」
「それともう1人この依頼を受けたものがいるぞ」
「セヴェル君ですか?」
「ああ、彼には戦士と盗賊の学科をお願いしてあるぞ。君たち2人
は魔法と僧侶の学科をお願いしたい」
「分かりました」




