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エピローグ

 ベトナム・ホーチミン市のグエンアンニン通りは、人々の活気があふれる通りで、多文化が交差するエネルギッシュな雰囲気が漂っている。人の数の割に合わない道幅なのだが、そこを人だけではなくバイクや車も行き交っている。その道幅がこの賑やかさを演出しているといっても過言ではない。


 道の両脇には所狭しとお店や屋台が並んでいる。色鮮やかな看板や商品が通りを彩っている。特に夕方以降は店舗のネオンや露店の明かりが灯り、また違った表情を見せる。


 通りを歩けば、地元の人々はもちろんのこと、海外からの観光客も多く見かける。日本も今やインバウンド大国となり、渋谷も似たような人種の入り混じりだったのだが、この街にはそれと似た雰囲気を醸し出している。




 大山はこのグエンアンニン通り沿いでベトナムコーヒーを提供してくるショップでPCを広げて作業をしていた。




 ベトナムは世界有数のコーヒー生産国であり、特にロブスタ種の豆を生産している。このロブスタ種は、深い苦味と独特のアロマが特徴で、カフェインがたっぷり含まれている。そのため、一口のインパクトが他の豆よりも強い。そんな豆をベトナムコーヒーは使用しているのだが、抽出にも特徴がある。専用の金属製のドリッパー、「フィン」と呼ばれるものを使う。その際にゆっくりと抽出していくため、濃厚で芳醇な味わいを生み出してくれる。


 もちろんそのままコーヒーを楽しんでも良いのだが、そこに甘く濃厚なコンデンスミルクを合わせるのがこのベトナムコーヒーのポピュラーな飲み方だ。ロブスタ特有の深い苦味が、コンデンスミルクのクリーミーな甘さでまろやかに包み込まれ、まるでデザートを飲んでいるかのような満足感を得ることができる。




 大山はベトナムコーヒーを嗜みながら、ゆっくりと獲物を吟味していた。大山のもとにはすでにSNSを通じて何件かの応募が集まっていた。この中から次に大山と共に歩んでくれる仲間がいるのかもしれないと思うと大山は心の底から興奮を覚えた。大山は残りのコーヒーを飲み干して、会計を済ませた。




 そして大山はグエンアンニン通りの人混みの中へと溶けるように、隠れるように、消えていった。

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