009 国を出る事に決めた
こんこん。
「院長先生、リタです。お話いいですか?」
「どうぞリタ」
もう就寝時間だが、私は院長先生に話があって院長室に来た。
「この国を出る?」
「はい、院長先生。よーく考えて決めました。私はこの国を出て、別の場所で働き口を見つけたいと思います」
「容易な事ではありませんよ?」
「それもちゃんと考えました。でも院長先生は私に言ってくださいましたよね?私がこのスキルを授かったのには必ず意味がある。それは私自身が見つけなくちゃいけないって。この国の外に出て、知らない事や色んな事を経験した時、それが見つかる気がするんです」
「そう・・・・」
院長先生はじ、と私の目を見つめる。
私はどきどきしながらも院長先生の返答を待った。
「・・・・・決意は固いようですね」
院長先生は笑った。
あの優しい手が私の頭を撫でる。
「自分で決めた事だから、しっかりやりなさい。でもこれだけは忘れないで。貴方は決して一人じゃないという事を・・」
「はい、院長先生・・・・」
「リタ・・・・?」
「アンジェリカ・・起こした?ごめんね」
「ううん・・起きてた」
部屋に戻って自分のベッドに上がる。
他の皆を起こさないよう、小声で話した。
「そう・・・リタはこの国を出るの」
「うん」
「怖くない?知らない場所に行くのって」
「不安はあるよ・・。でも同時にわくわくもしてる」
「そうなの・・リタは強いね・・」
「そんな事ないよ。どのみちこの国じゃ笑い者の私は働き口は見つかりそうにないし・・・」
あははーと遠い目でから笑いする私。
アンジェリカは苦笑いしてた。
「アンジェリカは?あの剣士さん達のパーティーに入るの?」
「・・・・・・・迷ってるの・・・。冒険者になるって事は、モンスターと戦う事になるでしょう?私・・それが怖くて・・」
「・・・・・でも、剣士さんの役に立ちたいって気持ちもある?」
「・・・・・・・・・・・・」
アンジェリカは毛布で赤い顔を隠した。
おーおー、完全に落ちてるなこりゃ。
「ま、これはアンジェリカが決める事だからね・・。ゆっくり考えて後悔しないように決めなよ」
「うん・・・・・。リタは、いつここを出るの?」
「院長先生とも話したけど、色々準備もあるから一週間後には・・」
「そっか・・・・。ねえ、一緒に寝てもいい?」
「うん、良いよ」
アンジェリカが私のベッドに入る。
一人分のベッドが嫌な音を立てたけど何とかなった。
「小さい時はよく一緒にこうやって寝てたよね」
「そうね。懐かしいわ」
「おやすみアンジェリカ・・・」
「おやすみリタ・・・・・」
閲覧ありがとうございます!
もし少しでも面白い、もっと読みたいと思われましたら評価やブクマしていただけると大変ありがたいです(*´▽`*)
頑張ろうって力が湧いてきます!
よければ↓に☆がありますのでこれをタップして評価お願いします