078 村での暮らしが始まりました
「ふわぁ・・・あ・・・」
カーテンの隙間から零れる日差しに目を覚ます。
ちょうど目覚ましが鳴る時間すれすれ。
タイマーを切って、目をこすりながらベッドから起き上がってカーテンをしゃっと開けた。
『んん・・・・・・』
「おはよ、ムゼンさん」
ムゼンさんはもそもそとシーツの中に日差しから逃れようとする。
でももう朝だ。
私はシーツをばさっと取ってやった。
『むぅ・・・我はまだ眠いぞ・・・・』
「もう朝ですよー。マイムさんの美味しい朝食が待ってますよー」
『起きる』
美味しい朝食というキーワードに、ムゼンさんがしゃきっと体を起こした。
ぐぐっと体を伸ばして、簡単な毛づくろいをする。
楽しい宴から早数日。
村に移住する事を決めて、仕事も無事に決まり正に順風満帆。
ここでの暮らしはあっという間に馴染んだ。
マイム達が分からない事があったらすぐに教えてくれたり、不自由がないようにと色々気を使ってくれたからだ。
それはもう、感謝してもしきれない。
「リタ、これが今日の弁当だ。これはムゼン様の、こっちはウェーブの。朝食の分も入ってるから叩き起こしたら食わせてやれ」
「いつもありがとうマイム」
出勤時間だ。
マイムは毎日美味しいお弁当を作ってくれる。
レイニーちゃんはリバーさんの病院だ。
といっても別に病気ではない。
リバーさんはお医者さんになる為に街で猛勉強した経験を生かして、村の子供達に先生となって勉強も教えているからだ。
マイムもやがては村長さんのあとを引き継いで立派な村長になる為に、日々鍛錬や勉学に勤しんでる。
泉の件で勉強がだいぶ遅れたので、ゆっくり学ぶ時間ができてうれしいとマイムは言ってた。
レイニーちゃんはあまり勉強は好きじゃないみたいだけど、将来立派なレディーになる為に頑張ってるんだって。
良い子だ・・。
「ウェーブさ~ん、もう朝ですよ~」
「ううううう・・・・・・・」
仕立屋『ナル』の開店時間は遅い。
まずウェーブさんを起こす事から私の仕事は始まる。
ベッドに噛り付くウェーブさんからシーツを引っぺがし、ムゼンさんが思いっきりジャンプしてウェーブさんのお腹めがけて・・。
どす!!!
「ぐふっ!!!」
容赦ないムゼンさんの一撃に、ようやっとウェーブさんはのそのそと起き出す。
「これ朝食です。着替えて顔を洗ったらちゃんと食べてくださいね」
「あ~い・・・・」
窓を開けて空気の入れ替え。
あ、カーテンにジュースのシミが・・。
昨夜、零してそのままにしたよう。
やれやれ、今日はカーテンの洗濯だ。
朝食をもそもそ食べるウェーブさんの私よりも酷い癖毛を整える。
掛け違えてるボタンを直してあげて、長い前髪もピンで留めて・・・これで準備完了!
「さ、お店開けますよ」
「あ~い~」
一日8時間勤務。
御給金はひと月、金貨12枚。
お世話になりっぱなしも嫌だから、と食費分はマイムに渡してるけど、それでも家賃分はかかってないので十分だ。
更にウェーブさんの計らいで、ここでの私は副業も許されている。
それは何かというと・・・。
「申し訳ないねぇリタ様・・。こんなにいっぱいの洗濯物を任せちゃって」
「お洗濯は大好きですから気にしないでください。それより赤ちゃん生まれたばかりで大変でしょう?今は育児に専念してください」
ふくよかなおばさんの腕に抱かれるのはスライム体の小さな赤ちゃん。
ああ可愛い・・・。
おばさんが持ってきた沢山の洗濯物が入った袋を受け取る。
確か5人目だっけ・・。
子供が多いと、洗濯も大変だよね。
孤児院でもそうだったから、その苦労はよーく分かるよ。
そう、私の副業は洗濯屋さんである。
スライム族の赤ちゃんは人型がうまく保てなくて、スライム体でいる事が多いです
リタの洗濯料金
5キロ未満 銅貨5枚、5キロ以上10キロ未満 銀貨1枚 10キロ以上 銀貨2枚から となってます
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