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幕間2 楽しい日

2話続けて更新です。

ハロウィンの話を書こうと思ったのですが、日常回になってしまいました。短いです。

 



 俺がこの世界に来て約半年が経っていた。神霊たちと精霊たち、霊獣たちと一緒に暮らし始めてもう半年が経ってたか。早いなぁ。

 精霊たちがテレビを見てはしゃいでいる。テレビには仮装した人々が街を歩く姿が映っている。


「そうか。もうハロウィンの時期かぁ」


「ハロウィン?なんですのそれは?」


 俺の呟きにアクアが反応する。いつも通り俺の隣に座っていたので聞こえたのだろう。


「まぁ、もともとはある部族の儀式が発祥と言われているけど、今は単なる仮装パーティーになってるな」


 クリスマスやバレンタインと一緒だな。本来のものとは完全に別物のイベントだ。まぁ、宗教にあまり思い入れのない日本人らしい。楽しいこと、いいことを簡単に受け入れる。嫌なことにはかなり頑固だけどな。


「それって何が楽しいんですの?」


「まぁ……子どもたちは近所の家を回りながらお菓子をもらったりするけどな。単に楽しく騒げるイベントが好きなんだよ」


 俺がそう言うとシルフとヴォルト、それに精霊たちが目を輝かせてこちらを見る。


「お菓子!僕もほしい!!」


「ほしいっす!!」


 ハロウィン自体にはあまり興味はなかったようだが、お菓子がもらえるということに反応したようだ。


「あらあら。現金ですね」


 ルナも思わず苦笑いだ。まぁ異世界の宗教行事なんて興味ないわな。俺も別にハロウィンには思い入れないし。でも、せっかくだし……


「やってみるか。ハロウィン」


 俺の言葉に歓声をあげる精霊たち。とはいえ、ここには俺たちしかいないし向こうの世界と同じようにはできないな……。


「……ルナ、手伝ってくれるか?」


「もちろんです。何か考えがお有りなのですね」


「わ、私も手伝いますわ!」


 俺がルナに頼んだからかアクアが対抗して声をあげる。もちろんアクアにも手伝ってもらうつもりだ。それに他の神霊たちにも。


「もちろんお願いするよ」


 俺がそう言うとアクアは跳び上がって喜ぶ。さて、俺は準備をしなきゃな。






 ルナに段取りを伝えて俺は自分の部屋へとやってきた。パソコンを起動して通販サイト“神通力”を開く。そこでハロウィン用の衣装とお菓子を買い漁る。精霊たちには人形用の衣装だ。購入後、玄関に行くと大量のお菓子とハロウィン衣装が入った箱が届いていた。精霊たちはお菓子が詰まった箱を見て、群がってくる。シルフとヴォルトも一緒に。


「こらこら。まだダメだ。まずはこれを皆に配るぞ」


 俺はルナ、アクア、シェイド、テラと共にハロウィン衣装を精霊たちに配っていく。精霊たちは喜んで衣装を着込んでいく。骸骨や魔女、ミイラ男にオオカミ男、様々な衣装に身を包んだ精霊たちはなんとも愛らしい。


「次にこれだ」


 俺は精霊たちにカードを配っていく。とはいえこれは精霊たち全員には配らない。


「これはスタンプカードって言って、描いてある丸のところに一つずつスタンプを押していくんだ。そしてカードがスタンプでうまったら賞品がもらえる」


 スタンプカードの機能を説明すると精霊たちも思い当たったのか箱に入ったお菓子を見る。


「御名答。スタンプカードをスタンプでうめられたらお菓子がもらえるんだ」


 精霊たちから再び歓声があがる。


「じゃあルールを説明するぞ。精霊たちはグループを作ってこれから言うルートを通ってもらう。途中にあるチェックポイントにいる神霊たちにスタンプを押してもらってくれ全部のスタンプが押されたカードを俺のところに持ってきたグループにお菓子をあげるからな。ちゃんと全員分あるから焦らずに楽しんでくれ」


 もう精霊たちは狂喜乱舞だ。楽しみながらお菓子がもらえるこのイベントを喜んでくれているようだ。


「え〜お菓子もらえないの?」


「もらえないっすか?」


 神霊たちには運営側として手伝ってもらうつもりだったので自分たちがスタンプカードをもらえないと知って不満を漏らす。


「ちゃんと最後まで手伝ってくれたらちゃんとあげるよ」


「ほんと!?やったー」


「やったっす!」


「ただし、最後まで手伝ったらだ。途中で遊びに行ったりしたらお菓子はなしだ。いいな?」


「「ラジャー!!」」


 テレビで見たのかシルフとヴォルトが俺に敬礼する。まったく……現金なやつらだ。


「じゃあ神霊たちはルナの指示に従って配置についてくれ。精霊たちが来たらスタンプカードにスタンプを押す。最後のグループがチェックポイントを通過したら俺のところに戻ってきてくれ」







 最後のチェックポイントにいたルナが戻ってきた。どうやらみんな無事にお菓子をもらうことができたらしい。ハロウィン衣装に身を包みながらお菓子を食べて喜ぶ精霊たちを見て俺も嬉しくなる。こういうイベントごとはあまり経験がないので勝手がわからず大丈夫かと思っていたが、なんとか無事に終えられてホッとしている。


「みんな楽しそうですね」


 ルナがお茶を俺の前に置き声をかけてくる。


「そうだな。みんなが喜んでくれてよかった」


「そうですね……こんな日がずっと続いてほしいですね」


「来年もやればいいさ。それに冬にはクリスマスと正月があるし」


「くりすます?しょうがつ?」


「ハロウィンみたいなイベントだよ」


 正確には正月はイベントではないが、こっちの世界ではイベントと言ってもいいだろう。


「それは楽しみですね」


 楽しみか……向こうの世界にいるときは考えられなかったな。こっちに来て今のこの生活が本当に楽しい。毎日騒がしいけど、こんな日々がずっと続いてほしい。楽しそうにはしゃぐ精霊たち。庭で動物用のハロウィンケーキを食べている霊獣たちも精霊たちのはしゃぐ姿を見て楽しそうにしている。


「あ、ヤクモ様〜。何しているんですの〜」


 みんなの姿を見ているとアクアが俺のところに飛び込んできた。それに続いて精霊たちも俺のところにやってくる。霊獣の子どもたちも楽しそうだったのか加わってくる。皆が群がってくるので流石に踏ん張りがきかず倒されてしまう。


「でも……わるくない」


 こうして今日も騒がしい日々が過ぎていく。


『よかったね八雲』


 日向の言葉に笑みがこぼれた。





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