第二十二話 彼女はまたしても弄ばれる
「よし……!」
「あ、ごめん俺ちょっとトイレ行ってくる」
「私も」
「えっ?じゃあ俺も行こっかな」
「何?この雰囲気?じゃあ流されて私も行こう」
「ちょっと待ってよ!!なんでみんな危険を感じたかのように逃げるの?!」
「……雷と天宮がトイレに逃げてったから、何かあんのかなぁ〜って思って」
「右に同じ」
先程、何かを決意したのは今現在怒りが八分目までに来ている坂口恵美である。そして、それを察し早々とトイレに逃げて行ったのは天宮と大神。残ってしまって、何とかして坂口の怒りを宥めようとしているのが朝倉先生と柊木。この蝉の大合唱を耳にしながら、彼女は顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「あの二人〜!!先生!柊木君!連行して来て!!」
「お、おう」
「あれ?私坂口にもタメ語で命令されてる?」
「先生、大丈夫っスよ。機嫌が治ればいつもの調子になりますから」
「なるかなぁ……。私の予想だと、彼女は逆に泣くかもしれない」
「……あーその線も捨てがたいですね。アイツら次第ですか……無理っスね」
二人は海より深いため息を同時に溢し、彼彼女が走って行った方向へと向かって歩いた。朝倉先生と柊木は心底願う。あの二人が穏便に事を済ましてくれる事を。
ーー
「んで、何をお決めになられたのでございましょうか。もし宜しければ私目に貴女様の貴重な時間を使って、お教えして貰えれば幸いです。と言う所存です」
「何もかもバラバラな敬語だ……」
「あなたねぇ……ここはもっと直接聞くべきでしょ?坂口さん、早く言ってくれるかしら?私の大事な時間が失われるのだけど?」
「それ頼むって言わないからな、天宮?どっちかって言うと命令だよ?」
「ライライにしてもあかりんにしても、ちょっと私の事ナメすぎじゃない?」
「いや、ごめん。俺キャンディか、アイス以外は舐めないんで……」
「違うからッ!!」
「えっ?!」
「心底驚いた、みたいな顔してやがる」
「天宮に至っては無表情で睨んでるけどな」
「あかりん、怖いよ?」
「早く話して欲しいのだけれど?」
「あかりん、目が笑ってないよ?」
「早く話して欲しいのだけれど?」
「ヒィ!あかりんが壊れたぁ!!」
坂口さんは涙目になって朝倉先生の袖に隠れる。さっきまで怒っていたあの光景はどこに行ったのやら。そんな彼女の様子を見て、二人は一度ため息を吐いていつもの調子に戻った。やっぱり二人には坂口一人じゃ勝てない事がまた証明された。一体、彼女に人権が訪れる日はいつになるのか。想像してもその景色は思い浮かばないであろう。
「で?今度はどんな悪巧みを考えたんだ?銀行強盗か?それとも暗殺か?あぁ、テロか」
「どれも違うから!!なんでそんな残酷な事ばっかり思い付くの?ライライの頭、腐ってるんじゃないの?」
「悪いな、俺は腐男子じゃねぇから頭腐ってはいないんだ」
「誰がBLの話をしろと?」
「はぁ……話が一歩も進んでない。こんな人の口にちょっかい出すなら、早く内容を言って欲しいわ」
「誰が『こんな人』だ。どんな人だよ」
彼はまたツッコミを入れるが、彼女は綺麗にスルーして話題を戻そうとする。実際の所全部2人のペースで会話は進んでいるのだが、坂口恵美にとってそれは気づきもしない些細な事と済まされた。
「コホン!……それじゃあお話しましょう!」
「あ、教室に傘忘れた」
「今日晴れだぞ?」
「トイレにハンカチ忘れた」
「天宮、君結局トイレ行ってないだろ?」
「お前ら〜。あとで処刑してやるッ!」
「はいはい。あとでマックドでビックマックドセット奢ってやるから」
「やったー!!」
「よし、じゃあ今から行くか」
「うん!」
「おい、坂口!話はいいのかよ?って……」
柊木君の言葉はそこで止まる。なぜなら、彼女の手を引く大神君がものすごい鋭い目で『テメェ、なんで口走りやがった?』とでも言いそうになりながら柊木君の方を見るからだ。坂口さんは柊木君に言われ、あっと言う声を漏らして出口の前に仁王立ちした。そして私と彼が邪魔する間もなく、彼女は堂々と宣言した。
「帰宅部、全員で合宿に行こうッ!!」
はい!どうも!■です!
ギャグ回ギャグ回〜〜!
やっぱりギャグ回って書くのが楽しいしですね(笑)
さて、何やら嫌な予感しかしませんが、次回は土曜日の夜九時です!お楽しみにー!




