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迷宮アカデミア ~咲き誇れ、きざはしの七花~  作者: 悠戯
最終章『咲き誇れ、きざはしの七花』

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もうちょっとだけ先の未来③

 五年もの月日が過ぎても変わらぬモノが多くある。

 それと同じくらいに変わったモノもあるわけですが。


 分かりやすい変化の代表例は学都の街並み。

 本物の剣や槍を扱っている武器屋の隣で当たり前のようにスマホショップが営業していたり、馬車と自動車とが入り混じって道路を走っていたり。界港から比較的近い国や都市以外だと、まだまだここまで地球の影響が色濃く出ているわけではないのですが、それでも実に大した順応性だと言えるでしょう。



「最近帰ってないけど、私の実家でもネット回線引いて皆バリバリ使いこなしてるみたいだしね。メールアドレスすら教えてなかったのに、イタズラ半分で私のパソコンにハッキング仕掛けてくるのはマジ止めてほしいけど」



 流石にレンリの実家関係者ほど使いこなしているのは例外ですが、それでも最近では一般の商店や個人がパソコンやスマホを持つのも珍しくありません。あの五年前の夢の中で見せたような人類の逞しさが、妙な方向で発揮されたという捉え方もできるでしょうか。


 なんにせよ、今のこの世界は平和すぎるほどに平和です。

 戦いたがりの友人達にとっては刺激がなさすぎて退屈な面もあるようですが、たまにどこかの異世界に足を運んでは、殴ってもあまり心が痛まなさそうな世界を滅ぼす系の悪党相手に実戦的なトレーニングもしているようです。

 この五年で更に指数関数的に腕を上げ続けているシモンやライムなどは、そろそろ魔王でもあまり手加減できないレベルに近付いているとかいないとか。



「さて、到着っと。誰かいるかな?」



 レンリとウルは先にかつての居候先に寄ってマールス氏に挨拶を済ませた後、そのまま今度は例の秘密基地へとやって来ました。友人の皆がいつでも好きな時に立ち寄って自由に過ごせる場所というコンセプトで作られただけあって、特に約束を取り付けておらずとも一人や二人はいるのが常。いつでも話し相手や遊び相手には事欠きません。


 ラメンティアと運命剣を除く友人達とはレンリも頻繁に会っていますし、別に積もる話というほどのモノはないのですけれど、それでも親しい友達とお喋りに興じるのは愉快なもの。はてさて、今いる顔ぶれはどんなものかと屋敷の扉を開けたレンリの前に立っていたのは――――。




 ◆◆◆




「や、ルー君。その様子だとキミもこっちに戻ったばかりかな?」


「ああ、そっちも今帰ったとこか」


 レンリ達よりもほんの少しだけ早く来ていたのでしょう。

 屋敷の玄関ホールには、まだ撮影機材の入ったカバンを肩から提げたままのルグの姿がありました。彼は冒険者時代に住んでいた集合住宅(アパートメント)の部屋で今でも寝起きしているのですけれど、貴重な機材や写真を安アパートに置きっぱなしにするのは不安があるため、この秘密基地の私室を荷物置き場や資料庫のように使わせてもらっているのです。


 ルグの見た目も以前とは少なからず変わっています。

 幸い、この五年のうちに遅めの成長期が来てくれて今ではレンリやルカを見下ろすほどの高身長に……とは、残念ながらいきませんでしたが。それでもどうにか150センチ台後半くらいには届き、わざわざ背伸びをせずともルカと視線が合うようになりました。



「今はキミだけかい? ルカ君は?」


「ああ、さっき電話で聞いたらアイと一緒に駅までユーシャ達を迎えに行ってるって。ほら、魔王さんの(トコ)小さい子供が沢山いるし人手が多いほうが良いだろうから、ってさ。今夜はそのままシモンさんの屋敷に泊ってもらうって」


「なるほど。あの家は確か今、えぇと……ひぃ、ふぅ、みぃ……十人家族だったっけ。コスモスさん達抜きでカウントしてもそれだもんね」



 五年前の時点で子供が二人生まれ、親三人に子供四人の七人家族だった魔王一家でしたが、現在はそこから更にリサが二人、アリスが一人産んでの合計十人家族。

 彼女達は自前の能力で出産に伴う肉体的な苦痛を軽減できますし、あれでも一応はれっきとした王妃様方であるわけで育児に要する経済力の余裕もあります。そう考えてみれば家族が増えやすい家庭環境ではあるのでしょう。


 戸籍上の話をするならば、コスモス達ホムンクルスや二足歩行するロールケーキも魔王の子供扱いになるので現時点で三百人家族を超えているのですけれど、そうした特殊判定の面々を抜きにしてもかなりの大人数。そのうち勇者だの魔王だのといった事情には一切関係なく、大家族特集か何かでテレビ局の取材が来てもおかしくなさそうです。



「ま、相変わらず家族仲が良さそうで結構なことだね」



 レンリや他の友人知人も今ではすっかり慣れたものです。

 あれから何度か増改築を繰り返している魔王宅にはウル達やユーシャも住んでいますし、小学生になった上の子供達もどんどん頼もしくなっています。もし仮にここから更に増えたとしても、これだけの人手があれば特にこれといった問題はないでしょう。



「あ、そうだ」


「うん? どうかしたか、レン?」



 まあ魔王の一家と比べたらささやかな変化かもしれませんが、おめでたいことがあった身内は他にもいます。そう、例えば……。



「うっかり言い忘れてたけど……おめでとう、ルー君」



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