第7話『違法作業開始!中村照の陰謀!』
ロシア領内某所にて、国際反米テロ組織アバンギャルドの中央委員会政治局会合が開かれていた。
彼らは非合法組織であるため全員が一箇所には集まり総会などはできない。そこで中央委員会が設けられ、議決機関となっている。ちなみに、中央委員たるメンバーを選ぶのは中央委員会自身の指名による。その中央委員会からさらに選ばれたメンバーが政治局を構成し、アバンギャルドの頭脳となっている。中央委員会、政治局の両方を率いるのが元CIA工作員のフロム・シュターデンだ。
シュターデンは自ら司会となり議事を進行する。
「これまでの作戦は当局に鎮圧されたが、大局的に見れば、まずまずだ」
イージス艦武装占拠を通じたアルフォンの通信傍受機能の暴露は不発に終わっている。
「敵の敵は味方! そう考えれば、今はCIAに対抗するために、特捜専隊と協力するべきだと考える」
* *
警察庁はアバンギャルドに潜入工作員を送り込んでいる。無論中村照警視正の手下だ。
「……以上が、アバンギャルドに潜入中の公安作業班からの報告です」
「うむ、そのまま内偵を続けろ。作業班はいずれ作戦で活躍させる」
作業班とは、公安警察の中でもさらに影の存在、警察庁警備局警備企画課理事官の直轄部隊のことを言う。
「アバンギャルドは国会でテロを起こすようだが、作業班は東京ドームを爆破する!」
中村はデスクから立ち上がると、部下に警視庁への訪問を手配させた。
「接見だ」
警視庁公安部の特別な留置場には、アバンギャルドの二重スパイとして捕らえられた山本剛志警部がいた。
彼はグレーのスエット姿にサンダルで無精髭を生やし、みすぼらしい犯罪者の格好だ。
中村は取調室に山本とふたりきりになった。
「中村理事官、今更なんでしょうか。私はアバンギャルドとの内通が露見した身、そんな私を……」
「婚約者の仇を討ちたくはないかね?」
「!」
「アバンギャルドは国会武装占拠を計画中だ。君も帰参し加われ。そして畠山総理大臣に銃を突きつけ言うんだ──」
畠山総理大臣は元警察庁警備局長であり、山本剛志の婚約者を中国に派遣し、置き去りにした人でなしだ、そう山本は思っている。
「畠山元警視監! お前は俺の婚約者を見殺しにした!」
国会議事堂衆議院本会議場で公安警察官が内閣総理大臣に銃を突きつける。これほどドラマチックでスリリングな演出はあるまい。
* *
「日向君、入るよ」
秋葉原の雑居ビルに入居する特捜専隊では、日向竜介巡査部長が自室に篭って憔悴していた。
「まだ終わってはいない」
竜介は相変わらず祐から目を逸らす。
そんな彼を桜祐警部が叱咤激励する。
「僕を超えるんじゃなかったのか!」
「!」
「行こう、皆が待っている」
……会議室兼食堂に出向くと、パソコンと格闘していた千代田春警部が振り向いた。
「あ、祐くん、暗号でこんなメッセージが送られてきたんだけど」
「えっ……アバンギャルドが特捜専隊に協力するって!?」
「一体どうして」
桜、千代田、大河内、君塚、乃木が考え込むが。
「信じましょう」
その思考の渦を若い日向竜介が打ち破った。
「まだ終わってはいない。そう言いましたよね、桜警視」




