【番外編】事情聴取記録
※今回の更新は番外編です!
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被聴取者名:
貴橋 のぞみ
(Dネーム:パンドラ)
聴取官:
罪園 リアム
場所:
スカイスクレイパー・シティタワー 37F 第4会議室
日時:
令和XX年XX月XX日 14:30
罪園 リアム「では、貴橋 のぞみさん。これより事情聴取を開始します。先日のオークプリーストとの戦闘について、できるだけ正確な情報を提供してください」
のぞみ「別にいーけどさぁ。
冒険者の話題なら、本名は止めてよ」
リアム「Dネームを希望ですか?」
のぞみ「あんま好きじゃないんだよねー、本名。
新幹線みたいだし、ダサくない?」
リアム「否定します。良い響きの名前かと」
のぞみ「……ありがと。
ま、とりまDネームでよろ〜」
リアム「承知しました。では、パンドラさん」
パンドラ「はい、なんでしょう?」
リアム「…………」
パンドラ「何でも聞いてくださいまし。わたくしは自らの行ないにおいて、隠すことなどありません。リアムさまの質問には正直に答えますわ♪」
リアム「二重人格ですか?」
パンドラ「公私は切り分けるのが性分ですの」
リアム「……怖い」
パンドラ「あ?」
リアム「その、凄まないでください……」
パンドラ「ちっ。あのさぁ、こっちは交通費と金一封の謝礼が出るっつーからわざわざ来たんだから……必要な質問だけして、さっさと済ませてよね」
リアム「努力します。
本題から入ることにしましょう、単刀直入に」
(ダンジョン『樹鋼の幽獄塔』の資料を提示)
(出現モンスター『オークプリースト(U)』)
リアム「パンドラさんは『U案件』をご存知ですか?」
パンドラ「ええ、はい。噂程度には存じていますわ。
(U)と呼称がつく強力なモンスターだと」
リアム「具体的にはどういった内容ですか?」
パンドラ「規格外のステータス、通常の出現分布の規則性に留まらない広範囲の行動範囲、それと……『特定の冒険者』を狙う習性ですわね」
リアム「事実と符合します。
情報源はどこから得ましたか?」
パンドラ「『メイズポータル』内のSNSの書き込みと、冒険者仲間と飲んだときに少々――でも、具体的に誰に聞いたかまでは記憶してないですわ。なにせ、お酒の席の話ですもの。わたくし、お酒を飲むとついつい口数が多くなってしまって」
リアム「承知しました。
パンドラさんは酒乱の気あり、と」
パンドラ「あ?」
リアム「……訂正します。
楽しくお酒を飲める大人の女性、と」
パンドラ「話を戻しますわね。そこで聞いた話では、そういった特殊なモンスターが狙う『特定の冒険者』とは『高レベルの冒険者』である――具体的には、わたくしや星羽ミハルのような『A級冒険者』であるという噂までは把握していました」
リアム「そこまで話題になっていたのですね……」
パンドラ「ということは、事実ですの?」
リアム「(無言でうなずく)」
パンドラ「そう……」
リアム「いずれはダンジョン公社から正式に発表があります。正確な事実について調査中ですので、今は他言無用でお願いします。無用の混乱を避けるために」
パンドラ「わかりました。
それについては、お約束しますわ」
リアム「感謝します。では、次の質問です」
(オークプリーストとの戦闘画像)
(対峙する黒髪の青年が拡大される)
リアム「戦闘時に共闘していた冒険者、
イモータル・リュウについてですが……」
パンドラ「あーっ、あのときのイケメン高校生ッ!」
リアム「……否定します。
彼は浪人生です、高校生ではなく」
パンドラ「そうなの!? つーか、高校生でも浪人生でもイケメンには変わりねーじゃん! ウチの年齢からしたら誤差みたいなもんだしぃ。つーか、リアムっちってこの子の情報知ってんの? 本名は? 住所は? ってかLINEやってる!?」
リアム「リ、リアムっち……?」
パンドラ「ん、嫌だった?」
リアム「否定します。嫌では、ないです」
パンドラ「で、で、教えてよぉ、芋竜の情報!」
リアム「個人情報ですので……弊社が教えるわけには」
パンドラ「そっかー、残念」
リアム「(考え込む)」
パンドラ「リアムさま、どうしたんですの?」
リアム「急にキャラを戻さないでください」
パンドラ「そちらこそ、急に黙ったりして……」
リアム「弊社はパンドラさんから、
あることを聞き出したかったのですが――」
パンドラ「あること……?」
リアム「星羽ミハルのユニークスキルについてです」
パンドラ「……さぁ。わたくし、存じていませんわ」
リアム「そう言うと思っていました。
では、交換条件はどうでしょうか?」
パンドラ「どんな条件を出されても無駄ですわ。わたくし、そもそもミハルさまのスキルのことなど、まったく知らないのですから」
リアム「『冒険者としての進退に関わる交換条件』です」
パンドラ「……ほう?」
リアム「イモータル・リュウと星羽ミハルのパーティ『ハッピー・エクリプス』は今後のダンジョン攻略において重要な役割を果たすことになると弊社は予測しています。ですが、彼らにはパーティとしての致命的な欠陥があるのです」
パンドラ「回復職の不在……でしょうか?」
リアム「肯定します。パーティの最小単位は戦士職、魔法職、回復職の三人です。ところが高レベルの回復職の多くは既に有名パーティに所属している――冒険者が所属できるパーティが一つだけである以上、回復職を新たに見つけるのは困難です」
パンドラ「え。リアムっちの『条件』って……」
リアム「ダンジョン公社は近々、従来の規則を部分的に撤廃し、複数パーティ間での条件付きの重複登録を認める改正を実施する予定です。その先行例――モデルケースとしてパンドラさんを選任するというのはどうでしょうか?」
パンドラ「それって……!
ウチが芋竜のパーティにも入れる!?」
リアム「あくまで、所属申請が可能となるだけです。
入れるかどうかは彼ら次第ですが……」
パンドラ「えぇ……ど、どうしようかなっ……でも、芋竜との約束があるし……ミハルのスキルは黙っとく、って言っちゃったんだよなあ……あー、くそ、芋竜とパーティ組みてえけど……あのピュアガキの感じだと、ミハルとはまだプラトニックだろうから……ウチにも全然ワンチャンあるしぃ……うーん、迷う……どうしよ……! つか、単純に力になってあげたいのもあんだよね、下心無しに……でも、約束破るのはなぁ……!」
(以後、30分間ほど悶えるパンドラ)
リアム「――では、条件を追加します」
(星羽ミハルのユニークスキルの内容は他言無用の機密事項でありS級冒険者昇格試験でのみ使用する、と追加したところパンドラは契約に合意。事情聴取、終了)
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番外編【事情聴取記録】 おしまい
※次回は本編に戻ります!
罪園との戦いを終えた芋竜の前に、
最強のラスボスが登場!




