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異世界に導かれし者  作者: NS
第2章 聖都アストレア
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2-21 噂

「……み…….た……み……拓……拓海!?」



 誰かが自分の名前を呼んでいるのが聞こえた気がして、拓海は目をゆっくりとあけた。


 目を開けると胡桃、アイリスが心配そうな表情で顔を覗きこむようにしてこちらを見ていた。


 ゆっくりと起き上がった拓海は周りを見渡すと、どうやらアルカディア城の一階の最上階に続いているエレベーターの近くで倒れていたようだ。


 そんなどこか心ここにあらずといった様子の拓海に胡桃が心配そうな顔で声をかけてきた。



「大丈夫? さっき受付の人が走ってきて、拓海が倒れてるって言われたから急いできたんだけど、外傷も特にないようだしさ。それに気を失っていたようだけど何かあったの?」


「あれ……? さっきまで騎士団長と話していたはずなんだけど……」



 胡桃に聞かれて拓海はさっきまでのことを思い出そうとして困惑した。さっきまで話しをしていたのははっきりと覚えているのに、一部の会話の内容が思い出せないのだ。それに何か身体に違和感があり、いつもと何かが違う気がした。



「とりあえず、移動するか」



 その後三人で昼ご飯を食べて、話し合った結果拓海が疲れているのかもしれないということで今日は解散することになった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 暇になってしまった拓海は自分が泊まっている宿の自室のベッドで横になっていた。寝ころんだ拓海は天井を見つめながら、ぼんやりと今日あったことを思い出そうとしていた。



(ルミエールさんに父さんのことを聞いたはずなんだけどな…….。何故か記憶が抜け落ちてる……。それに何か大切な物を託された気がするんだけどな)



 そうこう考えているうちに、今日の決闘での疲れからか拓海はそのまま眠りに落ちた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










 拓海がアストレア聖騎士団と接触した日の夜のこと。


 冷たい風が吹き、モンスターの遠吠えが聞こえる森の深部。


 木々がざわめき、湖が空に広がる星々をうつしている。


 幻想的な雰囲気の中で誰にも気づかれることもなく、黒き影が湖の上に降り立つようにして現れた。


 人に死の恐怖を与えるために現れた。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 次の日、拓海達は三人で依頼を受ける前に朝食を食べようとアルカディア城の酒場に来ていた。三人は朝食をそれぞれ注文すると朝食が運ばれてくるまで雑談していた。



「いや〜何か最近モンスターの討伐依頼が増えてない? 気のせいかなぁ……。こんなに討伐依頼が急激に増えたのは初めてだよ」



 机に頰をついて息を吐く胡桃が言うように最近の討伐依頼の数は拓海が冒険者登録した時の二、三倍になっていた。冒険者になってそこまで時間が経っていない拓海にはよくわからないが、胡桃の話しではここまで急激に討伐依頼の数が増えたのを見たのは初めてらしい。



「ほとんど討伐依頼しか出てないし、今日はBランクの何か討伐依頼でも受けるか……」


「そうですね。では、ジャイアントボアトロールの討伐なんていかがですか? 動きも読みやすく、立ち回りの初心の確認にもなりますし」



 アイリスの提案で朝食を済ませて、拓海達はジャイアントボアトロールの討伐依頼を受けるために受付に向かおうと拓海が席を立った時、たまたま後ろの席で話をしていた二人の冒険者の話が耳に入った。



「最近、死の森での討伐依頼を受けたCランクの冒険者の四人組が行方不明になったらしいぞ」


「行方不明? そいつらは見つかったのか?」


「いや、まだ行方不明らしい。今は死の森での討伐依頼はSランク以上の冒険者以外は受けられないらしい」


(死の森?確か俺がこの世界にきた時に胡桃と初めてあった場所だよな……。あそこに何かいるのか…….?)



 拓海が席を立ってそんなことを考えていると、先に席を立って受付にいた胡桃に名前を呼ばれて我に返り、胡桃とアイリスの方に走っていった。

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