2-22 未知との遭遇1
拓海達三人はジャイアントボアトロールの討伐依頼を受けて、デプラファンという商人達が荷物の運搬用に飼ったりしている茶色の馬型のモンスターで一日かけて移動してアストレアの北側にあるクライン村に来ていた。
「ふぅ……ようやく着いたか。装備を確認して宿を決めたら、今日中に依頼を完遂させようか」
「そうだね〜。早く依頼を完遂させて村の人達を安心させてあげよ!」
「そうですね。では、早速村に入りましょう!」
三人はデプラファンを連れて村の門番がいるところにまわり込んだ。門番は二人いるようで、拓海がギルドが発行した依頼書を見せると快く村に案内してもらった。
「デプラファンは村を入ってすぐ右手にある小屋に預けて下さい。村からの依頼なので滞在中はこちらが無料で面倒を見ます。また、村唯一の宿は村の一番奥の方にあるのでご利用下さい」
三人は門番に村長の家を聞き、お礼を言うと小屋にデプラファンを預けて宿に向かった。
村は一階建ての建物が多く、村で唯一の二階建ての建物なので目立っていて迷うことはなかった。
拓海は道行く村の人々の拓海達に向けられているであろう物珍しそうな視線を感じた。この村にはひょっとして冒険者がいないのだろうか。
そんなことを拓海が考えていると三人は村の宿に辿り着き、中に入ると胡桃が二人に提案してきた。
「宿で荷物を置いたら、まずは村長の家に挨拶しに行かない?」
「そうだな。ここら辺の土地のこともよく知らないから、モンスターの水場とか何か聞けるといいな」
「では一旦部屋で準備したら一階で集合しましょうか!」
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「よし、これでいいかな……」
小瓶に入った簡単な回復薬といった使えそうな道具類を腰のポーチに入れ、腰に長剣を装着して防具を着込んだ拓海は借りた宿屋の部屋を出て一階への階段を降りた。
拓海が一階に着くと、宿屋の玄関付近で準備を終えてそわそわした様子のアイリスが何時も通りの白くヒラヒラとした生地ではあるが、修道女を連想させるような防具に背中に杖を携えて既に待機していた。
そして拓海の視線に気付いたのか、アイリスは拓海の方に目を向けるとパァッと太陽のような満面の笑みを浮かべて手をひらひらと振った。
そんなアイリスに拓海は笑みを浮かべ、片手を軽く上げて応えた。
「おまたせ! そういえば、アイリスは装備を買い替えたりないのか? 初めて会った時から同じ装備だけど、そろそろモンスターの攻撃にしっかり耐えれる装備に変えた方がいいんじゃないか?」
ふと気になって拓海がそう質問するとアイリスは苦笑いしながら答えた。
「そうですね〜、一応武器は変えるつもりはありませんが防具は今悩んでるところで……。丈夫な上に機動力を失わないような素材は高価ですからね」
そして、アイリスはそこで言葉を切ると何を思いついたのか頰を赤らめて恥ずかしそうに目を伏せて拓海の方をちらちらと見つめ始めた。
「どうした?」
「あの…….拓海さん、お願いしたいことがあるのですがよろしいでしょうか……」
「内容にもよるけど……とりあえず話してみてよ」
拓海が怪訝な顔でアイリスにそう答えると、何故か顔を赤面させたアイリスが上目遣いでこちらを見てきた。
そんなアイリスの視線と表情を目の前で受け、拓海は何故か恥ずかしさが込み上げてきた。
(ちょ、直視できん……)
破壊力抜群のアイリスの顔を見て手で口元を隠して赤くなる拓海に気付かず、アイリスは意を決した様子で話し始めた。
「あ、あのっ! 今度私が装備を買う時、一緒に来てくれませんか? 拓海さんに装備を選んで欲しいな〜……。なんて……どうですか?」
アイリスの頼みとは簡単に言えばデートのお誘いだった。しかし、それに気付かない拓海は別に何も問題ないと判断して口元に笑みを浮かべて頷いてみせた。
「おう、俺で良ければいいぞ。でも俺より同じ女の子の胡桃の方がいいんじゃないか?」
「それは……あの……。と、とにかく拓海さんに選んで欲しいんです!」
「そ、そうか。それじゃあ約束な」
そうアイリスにしては珍しく、かなり必死そうに頼まれたので拓海が二つ返事で答えた。
「やった……!」
それを聞いたアイリスは笑顔を浮かべて小声でそう呟き一人上機嫌になっていた。
まあ、そこまで喜ばれるようなことをした覚えはないんだけどと拓海が苦笑してると、意気揚々と胡桃が二階から準備を終えて降りてきた。
「おまたせ! って……アイリスどうしたの?」
「何でもありませんよ〜! それより早く村長さんに挨拶しに行きましょ!」
「そ、そうだね!」
それから上機嫌のアイリスに不思議そうな顔をする胡桃と拓海の三人は村の中央にある村長の家に向かうのであった。




