4-18 悪夢2
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「ここは……どこだ……?」
拓海は周りを見渡す。
周囲は霧に覆われていて一メートル先も見えない。そして、冷えた空気が拓海の不安を掻き立て、首筋を撫でる微かな風に拓海は恐怖を感じた。
「誰か……誰かいないのか!!」
不安と恐怖が拓海を襲い、耐えられなくなって思わず叫ぶが、周囲からその声に応える声は無かった。不安と恐怖感に押し潰されそうになりながら拓海はどこに続くかわからないその霧を歩く。何も考えないようにして、ひたすら歩き続けた。
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どのくらい歩いたのだろうか。
拓海がふと立ち止まると、知らない間にどこか見覚えがある草原の中一人立っていた。
拓海はその場でぐるりと辺りを見渡す。
「あれは……」
拓海の背後の少し離れた場所に柑菜、胡桃、ロイといった見覚えのある人達がずらりと横並びに立っていた。
そして、そんな見知った顔触れに少し安堵した拓海が口を開く。
「み、皆……よかっーー」
しかし拓海はそれ以上言葉を続けることが出来なかった。
見てしまったのだ。
皆の目には光が宿ってなく、生気を失ったような無表情な顔を。気付いてしまった拓海が思わず一歩たじろぐと、皆一斉に口を開き呪いのように話し始めた。
「お前のせいだ」
「お前の弱さが私達を傷つけた」
「お前なんか死ねばいい」
「お前の顔など見たくない」
そこで拓海は考える事をやめた。
声にならないような悲鳴をあげながら後ろを向き、逃げるように無我夢中に走った。
「はっ、はっ、はっ……あ、あぁ……」
項垂れた拓海は両膝に手をつき、肩で上下に揺らす。
胸に手を当てると、自分の耳に直接聞こえてくるほど心臓の鼓動が激しくなっているのと同時に、周囲に灰色の霧が立ち込めているのに気づいた。
呼吸が荒く、視界もぼんやりとしながらも何かに導かれるように拓海はその霧の中を歩き出す。
「アイリス……?」
ぽっかりと霧が一箇所だけ晴れている場所に出ると一人の少女ーーアイリスがぐったりと倒れているのに気づき拓海は駆け寄って抱き起こした。
「アイーー」
「お前のせいだ」
拓海が声をかけようとした瞬間、アイリスの口だけが動きこの世の者とは思えないような低い声でそう呟くとアイリスはそのまま灰色の霧となって消えていった。
拓海が呆然としていると、背後から誰かが歩いてくる音がした。
「お前なんかいない方が良いんじゃないか?」
聞き覚えのある声に拓海は振り返ることが出来なかった。
それは他の誰でもない拓海の声だった。
「そう……かな……」
「あぁ……そうだ。弱いお前なんか誰も必要にしていない」
「そうか……」
やがて何も考える事が出来なくなり、目からは生気が失せた拓海は力無く両膝から地面に崩れ、その場で項垂れた。
「あばよ……」
背後で剣を振りかぶる気配がした。拓海は逃げる気力もなく静かに目を瞑った。
ーーあぁ……これでよかったんだ……。これで……ーー
「ぐふっ……!?」
拓海の背後からどこか懐かしい、聞き覚えのある少女の悲痛に満ちた声が響いた。
「き、貴様っ!? 何故だ!? ここに!?」
「ふふっ……。あの子のおかげで……ね……。ゴフッ……。拓海っ! 聞きなさい……」
誰かは分からないが黙って拓海は目を瞑ったままその少女の言葉に耳を傾けた。
「貴方は……一人じゃない! 貴方の周りには貴方を必要とし、支えてくれる人が沢山いる! 私も貴方を支えるから……。自分に負けなでっ!」
「死にぞこないがぁ!! あと少しのところで!! くそっ……くそがぁあぁーーーー」
拓海の目に生気が戻り目を開くと、ゆっくり周囲に纏わりつくように広がっていた霧が霧散した。
そして、ハッと我に返り振り返った拓海の視界に、輪郭が薄くなった少女がぼんやりと目に映る。拓海が声をかけようとした瞬間、辺りは眩い光に満たされた。
そこで拓海の意識は途切れるのだった。
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