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第202話 (188)走って行こう

「カッピーさん、良かったぁ〜!」


「あ、あかねちゃん! ハッタリさんもありがとうございます!」


「まぁ、ええってことや。探し物探すのがテーマパーク探偵の仕事や。まさか女と一緒とは思わへんかったけどなぁ」


「いや、これには訳が……」


「ええ、ええ。カッピーがそないな奴やないってことはオレもわかっとる。そんなことより、急がなあかんのやないか?」


「そ、そうです! ショーが……」


「大丈夫です! 走れば何とかギリギリ間に合うかも……! 着いてきて下さい!」


 あかねちゃんがそう言って、走り出そうとする。僕は急いで着いて行こうとするが、カルーアさんとニンジャさんのことを思い出す。


「ハッタリさん……! その2人のことは一旦追求しないであげてください! 後で話しますから!」


「2人ぃ〜? わかったわかった。そんなことより急げや! ビッグボスのネェちゃんがカンカンや!」


 ハッタリさんは手をひらひらとさせて、僕たちを追い払う。そして、カルーアさんと目が合う。そうだ。この扉を出たらもう赤の他人なんだ。どう声をかけるか迷っている僕に、カルーアさんは両手をグーにしたポーズを送ってくる。


(頑張って下さい!)


 僕も片手でガッツポーズを返す。カルーアさん、ありがとう。後でちゃんとステージ見にきて下さいよ。写真楽しみにしてますから。


「カッピーさん! 急いで!」


「あ、はい!!」


 僕はメインステージの方へ向かって走り出した。待っててください、ハナさん。今行きます!


◆◆◆


「……」


「……」


——気まずい


 走っていくカッピーさんを見送りながら、私は探偵の格好をした男と2人でその場に取り残されていた。


——何なんだ、この人は。


 そう思っていると、探偵風の男が口を開く。


「ネェちゃん、カルーアゆう奴やな?」


「え?!どうして知って……」


「そりゃテーマパーク探偵やからな」


——て、テーマパーク探偵?!


 テーマパーク探偵って何なんだろう。私が知らないだけで、テーマパークのスタッフさんにはそう言う役割の人が当たり前にいるものなんだろうか。というか、どうして私のことを知っている? 探偵というだけあって、パークに来る人の情報は当たり前に頭に入ってるということなのか?


 混乱している私にテーマパーク探偵が話しかけてくる。


「ネェちゃん、急がんでええんか?」


「え?」


「ショー見に来たんちゃうんか?」


「そ、そうですけど……」


 少し驚く。てっきり捕まえられるのだと思っていた。


「はよ、いきーや。始まってまうで」


「い、いいんですか?」


「カッピーもああゆうとったし。理由は後で聞くわ。それよりショーや、ショー。オレも昨日リハで見たけど、一見の価値ありやで」


 探偵さんは辺りをキョロキョロと見回しながら、そう呟く。リハを見られるなんて、羨ましいな。私もテーマパーク探偵の求人があったら応募してみようかな。


「ぼーっとしてどうしたんや?」


「いや……ありがとうございます……!」


「ええって。その代わり、テーマパーク探偵のことは誰にも言うなよ」


「わかりました……!」


 探偵さんにそう返事をして、私はメインステージの方へと駆け出した。向かいながら、カッピーさんに悪いと思いつつ、少しだけこんなことを考えていた。


——あの探偵さんかっこ良かったなぁ。次はあの人を推そうかな……?


◆◆◆


——必殺! 隠れ身の術ってね!


 ニンジャさんは外に出たカッピーとカルーアに注目が集まっている間に自分の身を布で隠して、こっそりとベイサイドエリアを抜け出していた。


——私はタダでオールナイトを楽しませてもらうわよ! ざまぁみろってんだ!


 賑やかなストリートの方へと駆け出して行くニンジャさん。彼女のオールナイトは今始まったのだった。


◆◆◆


——さて、『2人』言うとったな。


 ハッタリはカッピーがその『2人』と言ったことが気になっていた。1人はカルーアだとして、後1人いるということか。


——まだ、一仕事残っとるっちゅーわけや


 ハッタリは帽子を深く被り直して、辺りを調べ始めるのだった。

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