第201話 (187)見っけ
「あぁ……。もうダメだ……」
「落ち込んでるカッピーさん……可愛い……!」
「暇ねー」
「もう間に合わない……終わった……」
「ちょっと、垢消しちゃん! さっきからこのゾンビが呻いてうるさいんだけどー?」
「ニンジャさんのがうるさいです!それに垢消しじゃなくてカルーアちゃんです。ゾンビが呻くのは当然でしょ、ゾンビなんだから」
ガチャンガチャン
「あー暇。暇ねー」
「ハナさんにどう思われるか……ニセ姉も……あぁ……」
僕たちは万策尽きて、床にへたり込んでいた。サイレンが鳴ってから、それなりに時間が経っている。そろそろ僕の出番が近いのだろうか。いや、もしかしたらもう出番は過ぎているのかもしれない。そうなると、どうなったんだろう。ハナさんが1人で踊っているのか。ハナさんやみんなは、僕がいないことをどう思っているんだろうか。
「あぁ……。出口、どこかに出口は……」
「オロオロしてるカッピーさんも素敵……!」
「あんだけ探してもないんだからないわよ、諦めなさい」
ガチャンガチャン
「……」
「ちょっとそこのゾンビ。暇だからなんか話しなさいよ」
「話すって何をですか?」
「パークの面白裏話とかよ、なんかないの?」
「そんなの軽々しくここで話さないですよ……」
「プロ意識の高いカッピーさんも素敵……!」
「プロ意識高い奴がこんなとこに閉じ込められないでしょ」
「うぐっ!! 僕のせいだぁ……僕のせいでぇ……」
ガチャンガチャン
「あれ?」
「どうしたの炎上ちゃん?」
「カルーアちゃんです。外から何か聞こえないですか?」
「え?」
ガチャンガチャン
僕たちは耳を澄ませる。確かに入り口の方からガチャンガチャンという音が聞こえる気がする。僕たちは希望を込めて、入り口の方をじーっと眺めていた。誰かが助けに来てくれたんだと。外にある何かを移動させてくれているんだと。僕は必死に祈っていた。
——頼む! 誰か!
「また誰かが扉の前に物を置きに来たのかもねぇ〜」
ニンジャさんが嫌なことを言う。確かにその可能性もある。しかし、そこで気づく。そう、外に人が来ていることは確かなのだ。僕とカルーアさんは目を合わせて、扉の方へと近づく。今声を上げて助けを求めれば、声は外にいる誰かに届くはずだ。
「「せーの!!」」
バン!
僕とカルーアさんは体重をかけて、扉を押す。隙間を作って外に声を届けるためであったが、扉は先ほどより遥かに軽くなっており、簡単に開いた。そう、さっきまで開かなかった扉が開いたのだ。
ドタドタッ
「いったぁ〜い!」
「あ痛ててて」
僕とカルーアさんは外に倒れ込む。痛みと同時に嬉しさが込み上げる。そう、外なのだ。
「そ、外だぁぁあ!!!やったぁ!!」
「カッピーさん! 急いで! ショーが……!」
カルーアさんにそう言われて、急いで立ち上がる。すると、目の前に2人が柵を持って立っていた。
——そうか、柵が置いてあったんだ
柵を持っている探偵の格好をした男を見ながら、閉じ込められた原因を理解していた。確かこの人は、犬が迷い込んだ時に見たハッタリとかいう探偵さんだ。ハッタリさんは、僕を指差してこう叫んだ。
「よぉーし! カッピー見っけ! これにて事件解決や! オレに解決できひん事件はないんや!」