表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/164

ゼリリン、狩場をみつける


第一王女さんを助け出し、偶然にも魔族を倒してしまった俺はまたもや謁見の間のようなところまで呼び出されていた。


どうやら俺を牢屋に閉じ込める云々というのは勘違いだったらしく、騎士たちがついてきたのも魔族の敵襲を悟った故の行動だったようだ。

さすが王城に仕えているだけあって、よく訓練された騎士さんたちである。


まあとにかく、長い話は苦手なので、手短に頼むよ王のおじさん。


「勇者よ…感謝する。魔族を打倒するだけでなく、キャミィまで助け出してくれるとは…王として、親として最大限の感謝を捧げよう」


目頭に涙をためた王のおじさんが頭を下げると、周囲の騎士たちも一斉に片膝をついて頭を垂れてきた。


なんだなんだ、こういう空気は苦手なのだが…

とりあえず弁解をしておこう、このままでは変な方向に神聖視されてしまいそうだ。


「えっと、僕が助けられたのは偶然です。それに僕は勇者ではありません、ただの子供です」

「だが、しかし…」


あんなところに魔族がいるなんて知らなかったんや、許して。

王のおじさんも俺の態度から何かを察してくれたようだが、いかんせん大事な愛娘を救出された感動からもどってこれず、頭を下げたままのようだ。


すると、第一王女であるキャミィがこの場の全体に向けて発言した。


「みなさん、勇者…いえ、セリルがこのように言っているのですから、これ以上の追求はやめましょう。たとえ彼が勇者であろうと、そうでなかろうと、私はセリルという希望を信じます。それで良いではないですか」

「「「おおぉぉぉっ!王女様、バンザイ!!」」」


ものすごい歓声と共に、この場のすべてから拍手が沸いた。


なんてカリスマなんだこのお嬢さん、どこぞの出世払いの公爵家ちゃんとは大違いだぞ。


「…うむ、確かにそうだな。セリルよ、これからは勇者だのなんだのと抜きにして一人の男として付き合ってくれぬか。私はそなたが気に入ったっ」

「あ、うん…じゃあそういうことでいいよ。それじゃあ僕はそろそろ元の場所に帰らないといけないから、またね?」


一人の男としてっていうことは、勇者として拘束されることも少なくなるんだろうし、気軽に訪れることができるな…これは僥倖。


それにさきほど倒した魔族の死骸からも魔石を引っこ抜いておいたし、DPダンジョンポイントや魔物図鑑に登録させるのが楽しみだ。

土の迷宮の方はポイントの入手速度が緩やかになってきているし、今後の狩りはここらへんでよさそうだな。


「ぬっ?戻るとはいったいどこへ……」

「あっ、お待ちになってくださ……ッい…」

「じゃ、ばいば~い。収納!」


また最後に何か言っていたが、今日も今日とて時間切れだ。

また今度来るから、そのときにでも話を聞けばいいかな。


…そして、例のごとくDPを確認することにした。

さっそく魔族のコアを吸収っと…


【亜空間迷宮、DPダンジョンポイント:4122】

明細履歴:

ダンジョンガチャ使用(-1000)

下級魔族の魔石(+100)


おおう…

ものすごい収入だった。


下級魔族がどのくらい居るのか知らないけど、あの程度の強さでこの収入なのは美味しい。

これが上級とか魔王とかになってくると、そもそも倒せるか怪しくなってくるが、それは追々こちらも強くなっていけばいいだろう。


魔石があるということは魔物図鑑にも登録できるのだろうし、今後の報酬が楽しみだな。


それじゃあ、いったんおうちへ戻りますかね。

聖女様からの攻撃で上着は弾け飛んでしまったけど、母ちゃんにはどこかに上着を忘れてきたっていえば怪しまれないだろう。

怒られはするだろうけどね…


それじゃ、自然に帰るとしますか。


「ただいまー」

「あらあら、おかえりなさいセリル。…上着はどうしたのかしら?」

「…あれ?あれれ?」


わざとらしくからだをペタペタと触る俺、策士なり。

どうか怒りを鎮めてくれ母ちゃん、俺は悪くないんだ。


「うーん、わすれた?」

「ふふふ、忘れたじゃありませんっ」

「あばばばばば…!」


だめだ、やっぱり許してくれなかった…

さすがに手ごわいぜ。


「あーっ!セリルがまたお母さんに怒られてるっ!あははははっ、えいっ!もぎゅもぎゅ…」

「ぬわーっ」


たった一人でも手ごわかった母ちゃんに続き、ノリでレナ姉ちゃんも参加してきて大変なことになってきた。

いまや俺の顔は4つの手で揉み解されている…

これはしばらくオモチャにされそうだな。


…それにしても、レナ姉ちゃんが近づいてきたのに全く気付かなかった。

さすが忍者さんの修行を受けただけのことはある。

アサシン・レナ爆誕。



そしてその日の夕飯、森の中で遊んでいたルー兄ちゃんが意気揚々と今日の成果を語っていた。


主に、セミの抜け殻は図鑑でみたとおりだったとか、森には知らない植物がたくさんあったとか、そんな感じの話だ。

うむ、楽しかったようで何よりだ。

目がキラキラしているし、きっと凄く心に響いたのだろう。


正直、俺よりもルー兄ちゃんのほうが勇者っぽいなと思ったことはここだけの秘密である。



明日は久しぶりにパチュルの町にでも行ってみようかな。

道具屋のおっちゃんもどのくらい店がでかくなったのか気になるし、キノッピの在庫もそろそろ尽きてきている頃だろうしね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ