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ゼリリン、驚愕する


──次の日の朝。


早朝に確認した60キノッピのうち、48キノッピを手に道具屋のおっちゃんのところに向かっていた。

2年前の闘技大会などでわんわんの姿は確認されてしまったので、町の門番さんのところまで降りずに爆走している。


うん、やっぱりめちゃくちゃ速いな。


3歳の頃はまだしっかりとしがみつけなかったが、体も成長してしっかりと掴まれるようになったので、わんわんもスピードを今まで以上に上げているようだ。


「おっ!またあの門番さんみっけ。相変わらず門番をやっているところを見ると、まったく出世していないみたいだ」


相変わらずいつもの門番さんだった。

結構近くまで来ているんだけど、こちらのことを確認せずに大あくびをかいている。

これじゃ出世は希望薄かな…



「やぁ門番さん、久しぶり。2年くらい会ってなかったね」

「ふわぁあ…ん?お、ぉお!あの時のガキじゃねえか!しばらく見ないうちにデカくなったな、ハハハハ!…で、今日は久しぶりにキノッピ探しか?精が出るなっ」


やはり覚えていてくれたようだ。

いくら認知されているとはいえ、急にわんわんを連れてるからちょっとくらい警戒されるかと思ったけど、そんなことは無かったらしい。


こういう図太いところはさすが騎士なのかもしれない。

……いや、この人の性格か。


「うん。今日はちょっとだけキノッピを見つけたから、1個だけわけてあげる。赤キノッピでいいよね」

「おぅ!さすがは2年前のエキシビジョンマッチ優勝者だ、そこらへんの商人とは器が違うぜ。それじゃありがたく頂くとしよう…うむ、通ってよし!」

「あいよー」


ふっ、相変わらず1キノッピで釣れるとは、たわい無いやつよの。

…ちなみに赤キノッピはウィンナー味だ、帰って堪能してくれ。


そしてわんわんを俺の影にしまい、変わらぬ街並みを通りいつもの道具屋へとやってくると、そこには知らない建物が建っていた。


「道具屋のおっちゃんの家が、冒険者ギルドよりデカくなってる…だと…ばかな…」


なんなんこの建物…

5階建てのちょっとした城みたいになってるぞ、いったいおっちゃんに何があったというんだ。


まあ、とりあえずは入ってみないことには始まらない。

おじゃましまーすっと。


「おじゃまします…?」

「おぉ!いらっしゃいっ!リジューン王国最大の道具屋、キノッピポーションズへようこそ!お母さんとお父さんはどこかな?」


入店したとたん、知らない人から接客をされた。

というかいつのまに王国最大の道具屋になったんだ、成長はやすぎるだろおっちゃん。

いくら迷宮産キノッピが優秀だと言っても、これはでかくなりすぎだ。

元々、どれだけやり手だったんだ…


「いや、今日は僕個人が店主と交渉しに来たんだ。2年前にここのオーナーに世話になってた、セリルっていったらわかるかな?」

「ん…?セリル?…なっ!!あの伝説のキノッピマスターッ!?」

「キノッピマスターってなんやねん」


おっと、思わずツッコミを入れてしまった。


だがさすが道具屋のおっちゃんというべきか、店員さんにも俺に関する教育はしっかり施していたようだ。

これなら交渉もスムーズに進むな。


「しょ、少々お待ちをっ…今店長を呼んできますっ!」

「ほいさー」


挙動不審になった店員さんをよそに、でかくなった店内を見回してみた。

以前は雑貨やポーションなどしか置いていなかったが、店がでかくなった影響なのか武器防具も取りそろえ始めているようだ。

まあ、商売っていうのはこうやって手を広げていくものだからね、戦略としては正しいのだろう。


そして待つこと3分ほど、もどってきた店員さんに案内されて5階へとやってきた。

たぶんここがおっちゃんの執務室なのかな?

扉も重厚感があるし、なんとなく風格がある。


「て、店長!伝説のキノッピマスター、セリル様を連れてまいりましたっ」

「うむ、入れ」


扉の中から懐かしの声が聞こえてきた。

やっぱりここで間違いないようだ。


そして俺が扉をくぐると、店員さんは冷や汗を拭きながらそそくさと退室していった。

よっぽどこの交渉が重要と見える。


「おっちゃん久しぶり、またキノッピを採ってきたよ」

「ガハハハッ!2年前に唐突にいなくなった思ったら、またなんの前触れもなく現れやがったか。まったく、お前にはいつも驚かされてばかりだ。俺はな、お前が姿を消したときに思ったのさ…これは何かの試練だってな」

「ほうほう…あ、ここに47キノッピ置いておくね」


おっちゃんが何かを語りだしたが、眠くなるような長い話になりそうなので、とりあえずキノッピだけは先に置いておいた。


ほら、金貨47枚ちょうだい。


「…それでよ、俺は考えた。お前という、俺の人生にチャンスをくれた奴に対してどう報いればいいのかってな。そして考え抜いた末に誓った、手元にあるのは300を超えるキノッピ……、これを元にして、この国最大の道具屋に昇華させてみせるってなっ!」

「ほうほう。あ、このお菓子もらっていっていい?おいしそう」


まあおっちゃんに聞かなくても、前々からおすそ分けはもらってたし勝手に持っていこう。

道具屋だけあって、お菓子でもなんでもおいてあるのが良いところだな。


「……でよ!」

「ところでおっちゃん、とりあえずキノッピ買い取ってくれない?」

「……お、おう。待ってろ、いま払う」


うむ、確かに金貨47枚。

まいどありだな。


それじゃあキノッピも売れたことだし、次はパチュルにでも会いに行こうかな。

公爵家に訪問するのは初めてだけど、まあなんとかなるだろう。


闘技大会優勝の時にもらった、金のがんばったで賞メダルももってるしね。




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