76. 遺跡への旅
中和薬は、クラウスに偽装の商人を作らせて、目ぼしい貴族を回らせることになった。
それで少しは被害を抑えることが出来れば良いんだが……
そろそろ、遺跡の方に行く手配をしないとな。図書館にも話を通してリベルの休みを確保しないといけないな。
俺は図書館長へ手紙を出し、リベルの休みを侯爵家から申請し、リベルにも連絡を入れた。
遺跡からは、雪が降る前に帰って来なくてはいけない。
数日後、リベルから休みの申請が通ったと連絡があった。
数日後、俺達はは遺跡に向かっていた。
今回の同行者は俺とリベル。イーサンとエヴァン、クラウスと騎士数名。騎士の中にコルトとラーナがいた。
「リベル、馬車の旅は初めてか?」
「あ、そうですね……よく考えたら今まで無いですね」
「そうか、疲れたり気分が悪くなったらすぐに言うんだぞ」
「はい、わかりました」
遺跡まで、馬車で2日途中の街で一泊する予定だ。
最初は馬車の中で最近の出来事や読んだ本の話をしていたが、リベルが途中から眠そうになってきた為、しばらく仮眠をとるようにすすめた。
前にあまり眠れないと言っていたが、今もそうなんだろうか……
ガタンッ
「!おっと」
馬車が揺れると、リベルの体が傾いたので俺は咄嗟に支えて隣に座り直す。
そのままリベルの体を倒して頭を膝に乗せてやる。
硬い膝枕になってしまって申し訳ないが、無いよりはマシだろう……
暫くして馬車が止まり、馬車のドアがノックされる。
「アルディス様、一旦休憩に入ります」
「分かった」
俺はリベルの肩を軽くゆすりながら声をかけた。
「リベル……リベル」
「ん……」
「リベル休憩場所についたぞ」
リベルが目をこすりながら開けるとこちらをのぞき込むアルディスの顔が見えた。
「え?……え?アルディス様……」
「寝ぼけているのか?」
「はっ!す、すいません!」
「まっ! 痛っ」
慌ててリベルが起き上がった為に、アルディスの顔にリベルの頭が直撃してしまった。
「ああ!!すみません!大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だ」
俺がそう答えた瞬間、扉が開きクラウスが声をかけてきた。
「失礼します。アルディス様何か物音がしましたが、どうかなさいました……か!?」
「ああ、クラウス……」
「失礼いたしました。ごゆっくりどうぞ……」
クラウスが扉を閉めた後、俺は何を言われたのか理解できなかったが、今の俺達の状況を見返してみて察した……
俺の膝に上半身を預けたまま、リベルが俺の顔をのぞき込んでいる。片手は俺の胸に置かれ、もう片方の手は、当たった場所を見ようと俺の顔へ伸ばされていた。
「!違う!誤解だクラウス!戻ってこい!!」
リベルは分かっていないようで、いきなり叫びだした俺をキョトンとした顔で眺めていた。
その後、クラウスに誤解を解きに行った際にクラウスからは
「リベル様を妾として迎えられるのかと思い。根回しをするところまで考えました。貴族の中にはそういった方もおられますので」
「いや、妾とか迎えないからな!」
信じてもらえたのか微妙な気もするが、何とかさっきの誤解は解いた。
クラウスに紅茶を入れてもらい、飲みながらこの先について話す。
「この後は、もう少し先の街まで行き今日はそこに泊まる予定だ。何か買いたいものがあれば、そこで買い足すことが出来ると思う」
「分かりました」
「やっぱりまだ眠れていないのか?」
「そうですね……でもさっきアルディス様のそばで眠った時は、しっかり眠れたんです。安心できたからなんでしょうか……」
「そうか、俺がそばにいることで安眠出来るなら、旅の間は一緒にいよう」
「ふふ……一人で寝れないなんて子供みたいですよね」
「そんな時もあるさ」
十分に休憩を取った後俺達は次の街を目指して出発した。
リベルももう眠くないということなので、俺達の馬車にクラウスを乗せ、トランプゲームをして暇をつぶすことにした。
「クラウス……普通主人には花を持たせるんじゃないのか?」
「ゲームは平等と心得ています」
「うーん、こっちかなぁ」
「くっ……」
ポーカーなどはクラウスが強く、運で左右されるようなゲームはリベルが強かった……。
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