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攻略知識が役に立たない世界でした〜悪役貴族に転生した俺は、変態体質と死亡グラフを無くしたい〜  作者: 洸夜 真琥
第一章 ゲームにはない世界

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プロローグ ゲームクリアのその先へ

「……よし」


思わずガッツポーズが出た。

画面いっぱいに表示される文字。


《全実績解除》


「やっと終わったぁ……」


椅子にもたれかかり、大きく息を吐く。

時計を見ると午前二時三十分。


「またこんな時間か」

腹が減るわけだ。

冷蔵庫を開けると、お茶が一本だけ残っていた。


「昨日、買い物行くの忘れてたな」

ペットボトルを手に取り、一口飲む。

冷たいお茶が喉を通ると、不思議と実感が湧いてきた。


終わったんだ。

『エターナル・クロニクル』

俺が十年以上遊び続けたVRゲーム。

発売日に買ってから、学生時代も社会人になってからも、このゲームだけは飽きなかった。

休日になるとログインして、気付けば夜。

イベントが追加されれば徹夜。

新しい隠し要素が見つかれば、有給まで使って攻略した。今思えば、我ながらよくここまでハマったものだ。


「……まあ、面白かったしな」


ストーリーは何十周したか分からない。

勇者ルートも。

隠しエンディングも。

実績も。

図鑑も。

レア装備も。

やれることは全部やった。

攻略サイトにも載っていない小ネタまで知っている自信がある。


これでようやく卒業……。

そう呟いてから首を傾げる。

……いや、来週にはまた起動してそうだな。

結局そういうゲームなのだ。


モニターではスタッフロールが流れている。

もう何度も見た画面なのに、今日は最後まで見届けようという気分だった。


流れるキャラクターの名前を眺めていると、一人の名前が目に入る。


アルディス・フォン・ルーヴェン。


「あいつも最後まで救われなかったな」

主人公最大の敵。


侯爵家の嫡男。

剣も魔法も超一流。

顔もいい。

家柄もいい。

金もある。


「設定、盛りすぎだろ」


……なのに。

性格だけ終わってる。

婚約者には冷たい。

味方にも高圧的。

最終的には敵組織へ寝返り、勇者に討たれる。

完全に悪役。

まあ、自業自得と言えばその通りなんだけど。


でも人気あったんだよな。

理由?

もちろんスペックは良いし、見た目も良いからだ。

初めて変態イベントを見た時は、バグかと思った。


気の強い令嬢に冷たい目で見られて。


「最低ですわ」

なんて言われた次の瞬間。

アルディスが少し頬を赤くして、


『……悪くない』

と言った時には、飲んでいたジュースを吹きかけた。


「いや、悪いだろ」

コメント欄は大騒ぎだった。


『こいつ喜んでるぞ』

『公式が最大の変態』

『製作陣、絶対楽しんで作っただろ』


あのイベントは今でも伝説になっている。

まあ、嫌いじゃなかったけど。

悪役なのに、どこか憎めない。

もし違う人生だったら。

もう少し素直だったら。

仲間になれたキャラだったのかもしれない。


スタッフロールが終わる。


「さて、寝るか」

そう思った瞬間、画面が暗転した。


あれ?

タイトル画面じゃない。

真っ黒な画面に、白い文字が浮かび上がる。


《すべての物語を見届けていただき、ありがとうございます》


……こんなのあったっけ?

初めて見る演出だった。

全実績解除のご褒美か?

少し身を乗り出す。

次の文字が表示される。


《あなたなら、この世界を救えますか?》


急に重い質問だな。

思わず苦笑する。

救えるなら、アルディスくらいは救ってやりたかったけど。

その瞬間だった。


ブツッ。


部屋の明かりが消えた。

停電?

違う。

モニターが光っている。

VRヘッドセットも。

ゲーム機も。

部屋中の電子機器が白く輝き始めた。


「え、ちょっ……」

光は一瞬で部屋中を包み込む。


「待て待て待て!」

立ち上がろうとした瞬間、身体がふわりと浮いた。

床の感覚が消える。


「うそだろ!?」

白い光で何も見えない。


最後にモニターへ映った文字だけが、はっきりと目に焼き付いた。


《ようこそ、『エターナル・クロニクル』へ》


「……その演出、聞いてないぞ」


その言葉を最後に、俺の意識は光の中へ飲み込まれた。


最後まで読んでいただきありがとうございました!

少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです!


もし良ければ、ブックマーク、評価、感想など頂ければ幸いです。

これからもどうぞ宜しくお願いします。


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