特別な月と特別な満月
それは、いつもの様に部室の扉を開けた時だった。
「やったわよ牧田君」
「どうしたんですか、結星先輩?」
いきなりハイテンションの結星先輩。
「ついに私達の仲が認められたのよ」
「本編にそんなシーンありましたっけ?!」
「これを見て」
そう言ってスマホを取り出した結星先輩。
そこには本編の作品情報が載っていた。
「これがどうかしたんですか?」
「ここよ、ここ」
「?」
「アクセス解析⋯⋯月間PV⋯⋯えっ?!」
「そう、5月のPV数が1000を越えてるの。コレはもう、私達の事をみんな応援してくれているという事で間違いないわね!」
「いつの間に」
「しかも四半期ランキングにも載っていたのよ!完全に公認の仲って事ね!」
「流石に少し違うのでは?」
「いいえ、これはもう、そういう事よ」
どうしよう、このまま放っておくと本編がとんでもない方向へ⋯⋯。
「これはもう、早く物語を進めてもらわなければ」
「ちょっと待ってください。そういえば今年の5月ってちょっと珍しい月が見られるんでしたっけ」
「そういえばそんな物もあったわね」
駄目だ。このままでは完全にキャラが崩壊してしまう。
「フフフ、どうやらお困りの様だね」
「あなたは本編でも普通にキャラクターが怪しい都築先輩。しかも既に退場済みなのに」
「フフフ、細かい事は気にしない」
そう言うと、いつかの怪しいキツネのお面をかぶった都築先輩は妙な舞を踊り始めた。
「一体何を⋯⋯」
そこで僕の意識は途切れた。
ーー「牧田君⋯⋯起きて⋯⋯」
なんだろう、結星先輩の声?
僕は一体?
「大丈夫、牧田君?」
大丈夫? 何かあったっけ?
恐る恐る目をあけた僕の前には、結星先輩が立っていた。
「すいません。少しボーッとしていたみたいで」
そう言いながら周りを見渡すと、どうやら今は夜の様子。
「待っている間に疲れちゃったみたいね。うたた寝してたわよ」
「待ってた?」
「今月の満月はレアだから一緒に見ましょうって言ってたじゃない。本当に大丈夫?」
レアな満月?
そういえばGWも満月だったよな⋯⋯。
「そうよ、今日31日も満月。同じ月の2度目の満月は『ブルームーン』というのよ」
「ブルームーン?」
「満月の周期は29.5日で微妙にずれているから2、3年に1度しか見られないの」
「それが今月なんですね」
「しかも、今年の満月の中で最も小さく見える、『マイクロムーン』と重なっているのよ」
「それって珍しい事なんですか?」
「ブルームーンもマイクロムーンも周期的にあるけれど、次にこの2つが重なる時は、正確には計算出来ていないぐらい先の話よ」
「そんなに珍しいんだ⋯⋯」
「だから、特別な夜を一緒に過ごしましょうって言ってたのに」
⋯⋯あれっ、この感じ?
「でも結婚したら、いつかまた2人で」
やっぱりこれは⋯⋯。
「2人じゃなくて、3人?それとも4人?もしかしたら⋯⋯」
間違い無い。
「結星先輩!」
「なあに?」
「これって番外編ですよね」
「ちっ」
「ちっ?!」
「バレちゃったらしょうが無いわね」
気がつけば僕達は夜空の下では無く、部室に戻っていた。
「もう少しで既成事実だったのに⋯⋯」
「番外編だからってやり過ぎです!!」
「それは置いといて、今月はランクインと1000PV越えも達成した特別な月でもあるのだから」
「それは確かに」
「だからちょっとぐらいご褒美あってもいいじゃないの!」
「それは違います!」
いや、別に嫌なわけでは無いけれど、それはいつかは本編でーー。
「とにかく、あらためて読んで下さった皆様にご挨拶するのよ」
ーーという事で、活動報告でも書きましたが、あらためて応援ありがとうございます。
手探り状態で始めたこの連載が、ここまで反応を頂ける日が来るとは、正直思ってもいませんでした。
あらためてこれを励みにしっかりと書いていきたいと思いますのでよろしくお願い致します。
作中でもあった様に、今月31日の満月は少し特別な物なので、よろしければ少しだけ月を眺めてみるのはいかがでしょうか。




