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無原罪御宿の吸血鬼 ヴァンパイア・イン・イマキュレート・コンセプション 悪女と呼ばれた記憶喪失の女は、凶悪吸血鬼の血を宿して新生する  作者: ごっこまん
3.ラムシング訪問

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011 血まみれの歌姫

   †


 は? いきなりそんなこと言えって……ああもう、わかったわよ! すみません、皆さん。先に謝っておきます。……今のはノーカンでしょう! はい今ここから! 言えば良いんでしょ! 言えば!


 雁首揃えて無能ばっかよく集めたもんだな。あくびが出るぜ。


 ……威勢ばかりの……孕み女と、尻に敷かれる愚鈍な騎士、目が……曇った、アン? 拝露道士(アンスロモンク)に、肝が据わっちゃいるが埃にまみれた経験頼みの……耄碌ババアときた。ミキ・ソーマだけか? この村の脅威は?


 騎士の話を聞きゃ、わかることだろうが。


 この悲劇の渦中にいるこの私……。……。……。……う、美しくも、……はか、はかな、儚い……絶世にして傾国もたらす妖しさ香る! 空ゥー前ッ絶後の! 超絶怒涛の大・大・大・大・大悪女ォ! 老若男女を手玉に取り、老若男女に愛された女ァ! ……はあ、はあ、はあ。……。……エリー様の、立場を考えれば、簡単にわかることだぞ……この、大間抜け、ども……。


(小休止。エリー、顔を赤くし、悶えながら腿を殴る。はっきりとした発音ではないが、唇の破裂音と擦過音を駆使し「バカバカバカ死ね死ね死ね」と目を回しながら唱える。


 ベア院長、おもむろにエリーの足元に湯呑を置き、小銭を捻り出す。周囲が「芸じゃないんですから」などとやんわり諭すが、エリーにとっては屈辱の重ねがけであった)


 よ、良く歌った。褒めてやる……え、今のは違う? もう!


 こほん……テメエらの貧弱な脳で覚えているか不安だが、エリーは狙われていたんだぞ? 襲撃は崖が初めてか? 禁域で戦端が開かれたって本気で思ってんのか?


 違えだろ。


 エリーはずっと逃げていたに決まってんだろ。夜の様子がそう物語ってんじゃねえか。


 強引に森を抜けたのもよ、引き返さねえで崖に向かったのもよ、すぐそこまで追手が迫っていたからだ。


 じゃあよ、ここに泊まるつもりだっつってたのを、すぐ発った理由は何だと思うよテメエら。


 この屋敷に内通者がいる。少なくとも連中はそう判断したってこったろうがバーカ!


(そんなバカなこと……。イーリャがいきり立つ。同時にロバートも「あり得ない」と首を振る)


 何があり得ねえもんかよ、ボンボン娘が。そっちのウドの大木もだ。ここに泊まってんのは村の顔見知りだけか? ……ほら見ろ。知ったかぶりどもがよ。


 一つ訊くが、エリーたちがだんまり決めて出てった理由がわかんのか? 自分たちは命を狙われていて、ここには内通者がいる。なんてバカ正直に打ち明けてみろ。この屋敷の連中はもう無関係じゃ済まされねえ。殺しのリスト入りは確実だぜ。


 標的と無関係な内なら、内通者も捨て置くさ。だが、標的と関係を持った上に、事情まで知られたとなっちゃあ、口封じに出てもおかしかねえだろうが。


 屋敷だけじゃねえ。森の方は森の方で、引き返されたら困るだろうよ。殺し屋ども、今もしっかり網を張って、崖側の報告を待ってんじゃねえか?


 もっとも、伝言役に使えそうな鳥人(ハーピィ)は、オレが殺しちまったけどなあ!


 ……え、それも? いやいやいや、こっちはもうそれどころじゃ……はあ……。ぎゃははははは。


   †


【上手く歌えたじゃねえか。血まみれの歌姫(ディーヴァ)


「もうやだ死にたい……」エリーは恥じて両手で顔を覆い、束の間、情けなさに涙した。「なんて言ってる場合じゃないわよ!」


 屋敷と森に、殺し屋の一味がまだ潜んでいるかもしれない。


 まだ終わっていない。身中の吸血鬼相手だけでも手一杯なのに、殺し屋の脅威がまだ去っていないとは。


 唐突に身の危険を突きつけられた若者衆が、息を呑む。


「吸血鬼に告げます」決然とイーリャが口火を切る。「よくもそのような世迷言を口走ってくれましたね。当家と当村に、愚かにも殺人行為に与する不届き者がいる? あり得ません! これ以上コシノフとラムシングを侮辱するならば、叩き切って差し上げます!」


「それ私ごといっちゃいますよね!? とんだとばっちりなんですけれど!?」


「落ち着きな、イーリャ」


「ですが院長……!」


「村を思う気持ちはわかるがね。嬢ちゃん」おもむろにエリーを指名する。「お前さんの中身は、ご親切に何でも教えてくれるクチかい?」


 絶対違う。エリーは断言した。


「つまり、中身はわしらのことなんざ眼中にない。言った方が得だから言ったにすぎん。この点を忘れちゃいけないよ。……ただ、その点踏まえても、今のはまあまあ出来すぎちゃいるがね」


「我が家をお疑いなのですか……!? よりにもよって、吸血鬼の妄言を信じると!?」


「一考の余地があるだけさ。心底信じたかないわい」


 じゃが、取りこぼせんよ。さっきの指摘。


 渋々、イーリャが義憤を鎮めた。が、納得はしていない。


「ロバート、今のお話をどう思われますか」


 不完全燃焼の矛先がロバートに向く。より素朴かつ村人側の立場に寄った意見への期待が透けて見える人選だった。おまけに将来の騎士。現状は自警団崩れにすぎない身の上ながら、発展途上の村では立派なご意見番の一人である。


 愚直にロバートは腕を組んで思案する。


「……状況証拠だけで二人の行動を説明するのは、性急だと思う。今くらいの指摘なら、口から出任せでも言えることだ」


「でしたら」


「だが、エレクトラさんは実際に殺し屋に襲われていて、ソーマ護律官やヘーゼルがそれを目撃している。出任せだとしても看過できない指摘だ」


 森と屋敷に敵が潜んでいると考えて損はない。ロバートは重々しく告げ、元来の純朴さ故にイーリャを愕然とさせた。


 今問われるのはこの村の名誉ではない。確実な安全が確保できるまで、危険の芽を洗い出すこと。


 信を置く民を疑う。イーリャでも、納得せざるを得なかった。

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【余計な一言】

サンシャイン池崎+仮面ライダー鎧武 極アームズ

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