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惑星ガイアのものがたり  作者: Tossy
はじまりのものがたり2
328/368

W7.交通省

昨日、飛行船に乗ったフランちゃんとセド君は燥ぎまくっていた。最近忙しくて構ってあげられなかったからなぁ。久々に二人の相手をしてあげた。

飛行船は楽しかったのだろう。

飛行船を降りてからも、空の上を移動した時の事を話していた。

リリスさんとヤシネさんは、最初のうちは、おっかな吃驚していた。

普通、こんな風になるよね。ウチの親族だけがおかしいんだよ。

高さに慣れてからは、空から見たマリムの町並みを楽しんでいたみたいだ。


今日は、何の用事も入れずに、まったりと家族で過すことになった。


バールさんを呼んで、家族写真を撮った。


折角なので、バールさんを飛行船に招待して上空からのマリムを撮影したりした。

のんびりと、空から家族でマリムの街を見た。

フランちゃんとセドくんも一緒だ。

今日は、上下水道の視察じゃないから、のんびり、上空からのマリム観光だ。


一部、騎士の方達がのんびりではない会話をしていたけれど、仕方が無いよね。

飛行船の計画の話し合いは明日する事になっている。


ーーー


日が変って、打ち合わせの時刻になったところで、領主館に見憶えの無い人がやってきた。

ギアンさんという人で、国務館の交通管理部門の管理官の人らしい。

アイルは何度も会って、話をしていたらしいけれど、私は、ほぼ初対面だ……と思う……。

もともとアトラス領の騎士さんだったらしいから、どこかで会ったことがあるかもしれないけれど……憶えていないのか、会った事が無いのかすら分らない。

先日の財務省の長官の人のこともあるからなぁ。私の人の記憶は全然当てにならないんだよな。


一応メーテスには交通研究室というのがあるんだけど、あの研究室に人が居るのを見たこともないな。


今後の事があるからと、お義祖父様じいさまが呼んだのだそうだ。


「色々と要求したい事があるのでしょうけれど、アイルとニケの負担にならないように、考えて発言してくださいね。」


こんなお祖母様の言葉で打ち合わせが始まった。


今日の打ち合わせには、ユリアお母さん、フローラ義母おかあ様、お祖母様、お義祖母様ばあさまも参加している。

男性達が無茶な事を言わないようにする為なんだそうだ。


二人ほど居るよね。無茶を言いそうな人が。私の父親と私の祖父だけど。


最初は宰相のお義祖父様じいさまからだった。


「もともとは、私の願いを聞いてくれて、アイルとニケが作ってくれたものだ。

大型の飛行船で王国西部の侯爵の領都アスト、テルソン、ハロルドを結ぶのは必須だ。あとは要求が有った各地を結ぶために1隻、流通が手薄になっている旧ノルドル王国との物資輸送のためにも少なくとももう1隻、最低でも5隻は欲しい。」


何か陳情を受けているような気分になったけど、普通はお義祖父様じいさまが陳情を受ける側だよね。

しかし……あの大きな輸送船を5隻となると……チタンは足りないな。

ヘリウムも大量に必要になる。

ヘリウムを作る工場を建てないとならないな。


「各侯爵領都のために1隻ずつなんて、本当に必要なのですか?」


えっ?

お祖母様が宰相閣下に?


「いや、今のままだと、同じ侯爵領でも、ゼオン領とアトラス領だけが優遇されているように見えるだろう。

当然の要求として各侯爵家から要求が出てくる筈なのだ。」


「そんなもの、要求が出てきたところで、少しずつというのが本来の対応の筈です。他所よそが便利になったからと言って、当然の要求の様に言ってくる方が奇しいのです。」


「そうは言ってもだな。王国の東の海沿いだけ利便性が上がっている状況は放っては置けないのだ。」


「オルムート。アイルとニケの負担にならないようにという事に関してはどう考えているんですか?

最初から5隻もの飛行船を準備する必要が、本当に在るのですか?」


「いや……そんな事は無い。二人の都合に合わせて製造してもらえば良いのだ。」


「そんな事言っても、二人のことだから、他の事を放ってまた一気に作りますよ。鉄道の敷設がそうだったじゃありませんか?

ところでアウド。

あの大型の飛行船をアトラス領で使う予定はありますか?」


「いえ、今のところは……。

既にアトラス領内には南北に鉄道が走っています。鉄道が通っているところでさえ未開拓な場所が多くて、当面あの大きな飛行船を使う事は無いです。

それに、運用をどうするか考えてからでないと、あの大きさの飛行船は扱いに困りかねません。」


「それならば、まずは1隻、あの大型の飛行船を王国が対価を払って譲ってもらえば良いのではありませんか?

それで、運用してみて、時間を十分に空けて依頼を掛けたら宜しいのでは?」


「いや……まあ……そうだな。少し急ぎすぎたのかもしれない。」


「今、アウドが運用を決めてと言っていましたけれど、王国としてはどうする心算なのです?

また、アトラス領に依存する事になるんじゃないですか?」


「いや、だから、今日は交通管理部門の者にも来てもらっている。

王国全国への対応が必要になるからだ。」


「申し訳ありませんが、発言をさせていただいても宜しいでしょうか?」


ギアンさんだね。この人、打ち合わせが始まってからずっと浮かない顔で座っていたんだけど、飛行船の事、反対なのかな?


「良いぞ。交通管理部門のギアン管理官。」


「実は、先程から何のお話をされているのか全く理解できておりません。

その「飛行船」とは一体何なのでしょうか?

聞いている限りで想像すると、何かの乗り物ということで宜しいのでしょうか?」


あらら、お義祖父様じいさま達は飛行船の説明もせずに、管理官を呼び付けてたのか?そりゃ浮かない顔にもなるよ。


「飛行船の事は聞いていなかったのか?」


「はい。不勉強で申し訳ありません。

それで、飛行船というのは何ですか?新設の船なのでしょうか?

飛行と言う意味が良く分りません。港が不要な船?という事なのですか?」


既に飛行船は何度もマリムの上空を飛んでいるんだよね。司教さんの話では、リリスさんやヤシネさんを乗せたことで、街の中では新しい移動手段だと知られ始めているらしい。

熱っぽい視線で司教様が乗ってみたいと言っていたのは別な話だ。

この人は、飛行船を見なかったのかな?


「何度もマリムの上空を飛んでいたであろう?」


「その話でしたら、家で妻から聞いていました。何か得体の知れないものが空を飛んでいたそうで……それが飛行船というものだったのですか?

その空を飛んでいたものはは乗り物というか貨物を運ぶものなのですか?

海、陸に続いて、今度は空ですか……。」


先刻まで、浮かない顔をしていた管理官は、明らかに困惑顔だ。


どうやら多忙なギアン管理官は、休暇も無しで日中はデスクワークに勤しんでいたらしい。

何度もマリムの上空を飛行船が飛んでいたと言っても、昨日までの4日間だけだから、見ていないのも当然だろうな。


それから、アイルやお義祖父様じいさま達が、ギアン管理官に飛行船について説明をした。

様々な理由から、鉄道を引けない山間部や西部の都市などとの間で人と物を輸送するために利用する事を伝える。


「それで、その飛行船というものの運航管理を交通管理部門で行なうという事なのですか?

何をどうすれば良いのか皆目分らないのですが……。」


「まあ、それは追々だ。何しろ、飛行船というものが出来て間も無いのだ。各領地の領主達と相談をしながら王国でどう使っていくのかを考えていかなければならない。

その取り纏めと、その後の運航管理を業務として実施してもらう。

多分会議は王宮で実施する事になるのだが、無線機で構わないので、参加してもらうことになる。」


「そうですか。まだ、これからなのですね。」


「それでなんですけど。」


アイルがギアン管理官に話し掛けた。


「飛行船は普通の船と比べても風の影響を大きく受けます。強い風が吹いている場合には、離陸することも着陸することも出来なくなりかねません。どこを結ぶにしても、その場所の気象観測が必須になります。

これは、既にメーテスの気象研究室の准教授のウテントには伝えてあります。

それと、ビーコンですね。

雲が厚くて、地上が見えない時に、どこを飛んでいるのか判断するためにこれも必須です。こっちはメーテスの電気研究室の准教授のアルフに伝えてあります。

これらの設置は、交通管理部門にお願いします。」


「気象観測所の設置とビーコンですね。大型船の時と同じ仕組みですね。

ただ、その為には、電気が……なるほど、コークスを飛行船で運ぶという事になるのですね。

しかし……業務量が……。

宰相閣下、とても今の人員では対応出来ませんが。

何とかして頂けませんか。」


「それは、既に考えている。交通管理部門は、王国中を結ぶ重要な交通手段を管理することになる。

陛下に上奏してからとなるが、今後は交通省として人員を大幅に増やす予定だ。各地に駐在員も必要になるだろう?

ちなみに、初代の長官は君にやってもらう心算だ。」


「えっ、交通省?私が長官ですか?」


「そうだ。これまでの事もある。他にアトラス領で生み出された交通に関わる道具を管理運営してもらうのを任せられる者は居ない。」


「それは、身に余るお言葉です。

しかし……私は……その飛行船という物を未だ見たことがありません。」


「そうであったな。長官は未だ飛行船を見ていないと言っていたな。

実際に見て、搭乗してもらった方が良いだろう。

アイル頼めるかな?」


「ええ。良いですよ。じゃあ、飛行船が停まっている場所に案内しますね。」


そのまま、宰相お義祖父様じいさまとアイルが、ギアンさんを連れて外に行こうとしたところで、お祖父様が声を掛けた。


「オルムート。ちょっと待て。騎士団の相談がまだだ。」

何時もお読みいただきありがとうございます。


ワクチンの接種で体調が悪くなってしまい1週間近く寝込んでしまいました。その間、小説の投稿ができず申し訳ありませんでした。

具合はと言うと、熱が出るとかではなく、酷い倦怠感と悪寒(熱は平熱なんですけどね)、めまいなどで、横になっている他無かったです。

医者に言わせると、免疫が出来つつある証拠だと言うのですが、副作用のないワクチンにはならないものでしょうかね……。


ようやく平常に戻ったので再開できるようになりました。

また、何日か毎に更新します。

継続してお読みいただければ有り難いです。


コメントで宰相閣下のマリム訪問を指摘されてしまいました。なんとも情けないミスです。この件は、修正方法含めて検討中です。近々修正版をアップします。

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